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第二十三話 見つからない答え
その日の夜。
いつもの時間にサイトを開くと、
相手からすぐにメッセージが届いた。
『今日、ちょっと探してみた』
『何を?』
『昔の写真』
『あれから?』
『うん』
彼女は少し姿勢を正した。
昨日まで話していた、あの写真。
『何か見つかった?』
『何枚か』
そう言って、何枚かの写真が送られてきた。
どれも古いものだった。
家の近くで撮ったような写真。
知らない場所。
昔の風景。
その中の一枚に、彼女は目を止めた。
『これ……』
『どうした?』
『この場所、昨日の写真と同じじゃない?』
相手から返事が来ない。
彼女は写真を見比べた。
建物の形。
木の並び方。
少し変わっているところはあるけれど、
同じ場所に見える。
しばらくして、
『やっぱりそうだ』
と届いた。
『覚えてた?』
『いや』
『じゃあどうして分かったの?』
『写真を並べてみたら分かった』
彼女はもう一度二枚の写真を見る。
昔の写真と、今の写真。
同じ場所なのに、写っているものが少し違う。
時間だけが過ぎている。
『ここ、昔からあったんだね』
『うん』
『誰と行ったかは?』
『まだ分からない』
『そっか』
それ以上聞こうとしたとき、
彼から一枚の写真が送られてきた。
今までとは少し違う写真だった。
人が写っている。
ただ、顔の部分は古くてよく見えない。
その隣には、もう一人いるようだった。
『これ……誰?』
『分からない』
『一緒に写ってる人?』
『たぶん』
彼はしばらく何も送らなかった。
そして、
『この写真だけ、なんか嫌なんだ』
と届いた。
『嫌?』
『見てると、思い出しそうになる』
彼女は写真を見つめた。
何か特別なものが写っているわけではない。
それなのに、相手がそう感じる理由が気になった。
『無理して思い出さなくていいよ』
『でも知りたい』
『そっか』
『自分のことなのに、何も分からないのが嫌なんだ』
その言葉に、彼女はすぐには返せなかった。
忘れてしまったものを、取り戻したい。
そう思うのは当然なのかもしれない。
『じゃあ、少しずつ探せばいいよ』
『少しずつ?』
『うん』
『急がなくてもいい』
しばらくして、
『ありがとう』
と届いた。
そのあと、二人は写真の話をやめた。
好きな食べ物の話をしたり、
学校であったくだらない出来事を話したり。
気づけば、いつもの夜に戻っていた。
そして会話の終わり頃。
『そういえば』
『ん?』
『会ったとき、写真見せるって言ったけど』
『うん』
『もう一枚持っていく』
『どれ?』
『秘密』
『また秘密(笑)』
『当日のお楽しみ』
彼女は少し笑った。
『分かった』
サイトを閉じたあと、
彼女は今日送られてきた写真を思い出した。
昔の場所。
知らない誰か。
そして、思い出せない約束。
まだ答えは何一つ見つかっていない。
でも、昨日より一歩だけ近づいた気がした。
彼女はそう思いながら、スマートフォンを伏せた。
その頃、彼は机の上に二枚の写真を並べていた。
今の写真と、昔の写真。
同じ場所。
違う時間。
そして、その二枚の間には――
まだ誰にも話していない、もう一つの写真があった。
コメント
4件
そうなんですー! さっすがリオンさん! ありますよねー! そう言ってもらえて嬉しいです! ありがとうございます! 楽しみに待っててください!
うわ、この回、じわじわ来るなあ…。同じ場所の昔と今の写真を並べて「時間だけが過ぎている」って気づくところ、すごく切なかった。それに「この写真だけ、なんか嫌なんだ」っていう相手の言葉、何か隠された記憶がありそうで気になる。ラストの「まだ誰にも話していない、もう一つの写真」の伏線も効いてる。答えはまだ見つからないけど、一歩ずつ近づいてる感じが好き。続き、早く読みたい!
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桜咲かな
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