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ある日の放課後。
美羽は教室の窓から、図書室の方をぼんやりと
眺めていた。
日記の相手が、ふとした会話の中で書いた言葉が頭に浮かぶ。
_「 図書室の窓際の席が落ち着く 」
窓際…あの席か、、
気になって図書室に行くと、確かに窓際の席に1人で本を読んでいる男子がいた。
背が高く、黒い髪をを少し乱している。
でもその顔に心当たりはない。
( …もしかして、あなた…? )
心臓がドキドキした。
でもすぐに考え直す。
日記の相手は、まだ正体が分からない。
ここで声をかけたら、すべてが崩れてしまうかもしれない__。
美羽はノートを開き、ページに書き込む。
_『 ねえ、図書室の窓際の席って、やっぱり
落ち着く? 』
翌日、返事があった。
_「 うん、落ち着く。でも、君と話せる時間
の方が、もっと落ち着く。 」
『 えぇっ ? ! ⸝⸝⸝ 』
美羽は思わず顔が赤くなる。
窓際の男子が相手なのか、違うのか、まだ分からない。
それでも文字から伝わる温かさに、胸がじんわりと高鳴った。
( ああ……この人どんな人なんだろう )
ノートの向こうの名無しの誰かは、まだ正体を隠している。
でもその一言で、美羽の心は確かに近づいているのを感じていた。