森を抜けた拓真と亮太は、小さな廃屋に身を潜めていた。USBを慎重に扱いながら、二人はこれに託された希望を信じていた。
「これがあれば実験を止められるはずだ……」拓真が呟き、ポータブル端末を取り出してUSBを挿入した。
しかし、画面に表示されたのは予想外のメッセージだった。
「データ破損」
「破損?」亮太が画面を覗き込む。「そんな……彼は命がけで渡してくれたんだぞ!」
さらに、端末が異常な動作を始めた。画面がフラッシュし、謎のプログラムが勝手に起動する。
「WARNING: Malicious Software Detected」
「ウイルス……?!」拓真が驚愕する。
端末は完全に操作不能となり、次の瞬間、端末から音声が流れ始めた。
「ようこそ、反抗者たちよ。我々の計画を阻止しようとするなら、それなりの覚悟をしてもらおう。」
亮太は息を呑んだ。「これは……誰だ?」
「計画を?」拓真は画面を叩きながら叫んだ。「あんたは誰なんだ!」
音声は嘲笑のようなトーンで続けた。
「USBは確かに渡されたものだが、彼に本当の中身を伝えた者はいない。これはトラップだ。残念だったな。」
「じゃあ、あの人は……騙されてたってことか?」亮太の声が震える。
「まだ終わりじゃない。」音声がそう言うと、端末が一気に停止した。だが、次の瞬間、廃屋の外から不気味な足音が近づいてくる音が聞こえた。
「まさか、これで居場所がバレたんじゃ……」拓真が窓の外を確認すると、そこには暗闇から浮かび上がるいくつもの赤い瞳があった。
「来たぞ……!」亮太が構える。
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