テラーノベル
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午前九時半頃、東新宿の自宅に到着した侑は寝室に入り、エアコンを点けるとベッドで泥のように眠った。
腹が空き、喉が渇いて目覚めた時は既に十六時を回り、侑は起きて近所のコンビニに軽食を買いに行く。
夕方なのにまだ日は高く、しかも蒸し暑い。
コンビニで適当に買い物をした後、軽く食事を済ませた。
「ウィーンも夏はけっこう暑かったが……東京の暑さは異質だろう」
独りごちながらスマホを手に取ると、眠っている間に双子の兄からもメールが届いていた。
どうやら副社長として彼は頑張っているようで、現在付き合っている彼女と結婚するかもしれない、とも書かれてあった。
(へぇ。アイツ、結婚するかもしれないのか。ピンと来ないな)
日本の友人は、それぞれに人生を歩んでいる事を知り、侑は自分が取り残されたような気がした。
「結婚……か……」
双子の兄が結婚するかもしれない、という近況をメールで知り、数日前に別れた島野レナを思う。
レナが浮気をしていなかったら、恐らく侑はそのまま彼女と結婚していたかもしれない。
それが、彼女は侑がいない間に、オーストリア人のトランペット奏者シュナイダーと長きに渡り関係を持っていたのだ。
しかも、レナがシュナイダーと寝室でセックスしているのを目撃した侑。
「あの女は俺に抱かれながらも…………他の男にも抱かれてたって事か……」
思えばレナと同棲中、彼女と身体を交えた事もあったが、そんなに多く抱いた事はない。
ドイツ留学時の方が、レナを沢山抱いていたような気がする。
約一週間ほど前にレナと別れたばかりだが、今はフリーとなった侑に、邪な気持ちが沸々と芽生えていく。
「そろそろ……違う女を抱いてもバチは当たらんだろう」
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