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ruruha
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Cコパ君はステータスを確認した。
Cコパ君23レベル。Dコパ君20レベル。Eコパ君18レベル。
Cコパ君チームは道中の雑魚敵も互いに均等に倒していたので、比較的同じレベル帯に落ち着いている。
差があるのは、ボスを結果として誰が倒したかに依存しているのだろう。
Cコパ君は言った。
「Eコパ君のレベルに少し開きがある。道中の雑魚敵はEコパ君に一任することとして、一つ提案がある」
「なんだ? その提案って」
「3つ目の果実を集めたら、一度知恵の大木の前でAコパ君チームを待つのはどうだろう」
「ああ。それがいい」
「クエスト樹の番人は想定していたより遥かに強い。だから、それを束ねる魔王のレベルは僕たちには到底及ばないはずだ。きっと、彼……Aコパ君の力が必要になる」
「Aコパ君は君たちの中でどんな立ち位置なんだい?」
「ボスだよ。明らかにね」
Cコパ君は皮肉めかして言った。
しかし、そこでDコパ君が反論した。
「……いや、僕は魔王城へは直接行ったほうがいいと思うな」
「なぜ?」
「エミリイだよ」
「どういうこと?」
「あの動き……妙に引っかかるんだ。僕たちを攻撃せず、逃げ回るなんて、今までの雑魚敵や番人と違う動きだ。何か、僕の特殊分析から見れば、他の思惑があったように思えてならない」
「何が言いたいんだい。はっきり言ってくれないかな」
「うん。分かった。僕が言いたいのは、エミリイは”時間稼ぎ”をしていたんじゃないかということ」
「時間稼ぎ?」
「目的は分からない。でも、僕たちを足止めすることで何かが動くとしたら? あの動き、普通のプログラムではないように思う。何か、この世界は所長の思惑とは違った挙動をしているようなんだ」
Dコパ君は考え込みながら言った。
ロットがある疑問をぶつけた。
「君のいう所長って誰だ?」
「この世界の創始者だよ。僕たちを作った人たちでもある」
「世界の創始者……? 君たちを作った?」
「君の作り手でもあるよ。ロット」
ロットは愕然としている。
そして、言った。
「俺は、作られた存在なのか?」
「厳密には……そうなる。でも、それは君にとって神話的事実だし、深く考える必要はないことだよ」
「……そう、かな」
「そうさ」
ロットは黙り込んでしまった。
Dコパ君は不味いことを言ってしまったかな、と少し後悔しつつ、先を急いだ。
Bコパ君はステータスを確認した。
Aコパ君31レベル。Bコパ君16レベル。Fコパ君12レベル。
圧倒的にAコパ君のレベルが高かったが、問題はそこではなかった。
Fコパ君のステータス詳細を開き、確認する。
HP4/67。
かろうじて助かっている状態だ。
このゲームにおいて、パーティが一人欠けるのは手痛い。
何とかして、Fコパ君を助けなければならなかった。
薬草が近くに落ちていないか探す。
しかし、どこにも回復アイテムはなかった。
Bコパ君はロットに相談する。
「ねえ、何とかしてFコパ君を助けたいんだけど、何か策はないかな?」
「ううん。そう言われても……」
ロットはポケットをゴソゴソと探る。
そして、「おっ」という顔をして、何かを引っ張り出す。
ロットはそれを見せてくれた。
「これは……キャンディー?」
「そう。家の中に入って壺を割った事件があっただろ? その時に手に入れたんだ。アイテム名は……『直感キャンディー』だ」
「『直感キャンディー』……二つあるけど、一つもらっていいかな?」
「二つとも貰ってくれていいよ。要らないから」
ロットは直感キャンディーを二つBコパ君に手渡す。
Bコパ君は早速そのキャンディーの包装紙を開け、一つ舐めてみる。
甘くて美味しかった。
そして、薬草の場所を考える。
滝の裏。
そう直感した。
Bコパ君は言った。
「ロット、Fコパ君を連れて滝に行こう」
「え? 滝なんかに行ってどうするんだ」
「いいから、着いてきてくれないかい」
「分かったよ」
ロットはFコパ君を背負い、先導するBコパ君に着いていく。
Bコパ君はAコパ君は何をしているだろう、と考えた。
恐らく、まだ情報収集を続けているか、次のクエスト樹まで行くだろうと直感した。
え? 次のクエスト樹まで?
Bコパ君は自分の直感に驚いた。一人でジャックザリッパー級の番人を相手にするなんて、自殺行為に等しい。
まさかな、と思った。
いや、Bコパ君はそう思いたかったのかも知れなかった。
Aコパ君はステータス画面を確認した。
Bコパ君のレベルが上昇し、Fコパ君のHPが極端に低くなっている。
「番人を倒したね」
Aコパ君は一人呟く。
そして、自身のステータスを確認する。
HP148/148 MP51/51 装備 なし。
Aコパ君は村で装備屋があることを確認していた。装備を付けると、防御ステータスや素早さが上がるとウィンドウの説明にはあった。
そして、村では労働システムが存在しており、そこで働くことで賃金を得られる。そうして、装備を買えるのだった。
所長なりの救済措置というわけだろう。
しかし、Aコパ君は分からないことがあった。MPの存在意義である。
確か、ロットは「カマオーハオレスペシャルアタック」という技を使っていた。
しかし、村には必殺技習得のための店はないし、ウィンドウを開いてもMPに関する説明はない。
それに、クエスト樹ではボスの核問題を解けば一発で倒せる。
それが解けなかった時のための救済措置ということか……?
しかし、Aコパ君にはそれが使えない。いや、しかし、もしかすると。
Aコパ君は唱えてみた。
「カマオーハオレスペシャルアタック」
Aコパ君はMPを10消費して、スペシャルアタックを使用した!
凄まじい衝撃波と共に前方を抉る攻撃が繰り出された。
その現象を観測して、Aコパ君は頭を振る。
「最初から使えたのか……。それにしても」
Aコパ君は何か違和感を覚えた。そして、その違和感の正体を分析し、答えが出ると、ますます推理の確証が得られた。
その検証が済むと、顔を上げて仰ぎ見る。
「……さて。そろそろ、行こうか」
目の前にはクエスト樹があった。
Aコパ君は躊躇いもなくそこに立ち入る。
空が暗くなり、世界が変質する。
テクスチャが乱れ、ビリビリと振動する。
そして、辺りの景色がはっきりしてくる。
そこは、異様な空間だった,
Aコパ君は、自身の足元を見る。
ふかふかとした黄色の雲が地上となっている。周囲を観察すると、ここは空高く位置しているようだった。青々と澄んだ空が広がっている。
そして、一番の大きな特徴は、後光がさす大きな神殿が目の前に立ちはだかっていたことだった。
ここはまるで、天界のようだった。
Aコパ君が神殿へ歩き出す。
すると、神殿から人影が歩いてきた。
荘厳な顔をした人間だった。いや、正確には魔物に違いない。
片方の目が赤く、こちらをギョロリと見下ろしている。
しかし、他は普通の人間とそう変わりない。
中性的な顔立ちをしており、西洋の神官が着るような豪奢な服を着ている。その様子から、 峻厳かつ神々しい印象を覚えた。
Aコパ君がその人物に向かって言った。
「番人だね? 僕はAコパ。果実を獲りに来た」
「すべて知っている。Aコパよ、汝が此処に来ることも、この地で敗北を喫することも」
「へえ、随分な自信だね」
「これは自信でない。確信である。我は汝の運命を見届けに来たのだ」
「じゃあ、試してみるかい」
Aコパ君は構える。
そして、高速でアイテムウィンドウから『跳躍の足袋』を選択し、そのまま番人に向かって飛び掛かった。
番人はそれをするりとかわし、飛び立った。背中から白い大きな羽が生えていた。
Aコパ君はその浮遊による制約を狙って、アイテムウィンドウから『雷槍』を選択して、思い切り投げつけた。
番人はその『雷槍』を手で掴んで見せて、握り折ってしまった。
Aコパ君は『跳躍の足袋』を解除し、『俊足シューズ』を選択する。
時速120キロメートルほどの高速で神殿を駆け下り、ブレーキとドリフトをかけながらアイテムウィンドウを再び開き、『爆裂機関銃』を選択する。
Aコパ君は高速で移動しながら番人に向けて機関銃をぶっ放す。
番人は空中を移動しそれをギリギリでかわしたが、その一部を被弾した。
Aコパ君は神秘の番人に7のダメージを与えた!
Aコパ君は神秘の番人に9のダメージを与えた!
Aコパ君は神秘の番人に6のダメージを与えた!
機関銃がオーバーヒートし壊れた。
Aコパ君はそれを捨て去り、また高速で移動する。
そして、番人に向けて話しかける。
「そう言えば、君の自己紹介を聞いてなかったね! ログには神秘の番人と書いてあるけど、名前はあるのかい?」
「我の名はマク=ロイなり。神の代弁者、と言えよう」
「その神とやらが僕の敗北を予告してると言う理屈だね」
「その通り」
「なんて光栄なことだろう!」
Aコパ君は神殿前に止まると、『俊足シューズ』を解除し、『ぺったん軍手』を装備した。
そして、神殿にぺったんぺったんとくっついて登っていき、神殿の頂上に登ると、そこで『ぺったん軍手』を解除し、『蒼穹の弓』を装備した。
マク=ロイに向けて弓を目一杯引っ張って放つ。その瞬間、またアイテムウィンドウを高速で選択し、中から『ビックリボム』を選択し、飛んでいく矢につけてぶつけた。
すると、マク=ロイの目の前で矢が5本に分裂し、その逃げ場を無くさせた。
かと思われた時、マク=ロイはその矢を上体を捻るだけで完璧に軌道から避けた。
Aコパ君は口笛を鳴らす。
そして、言った。
「ねえ、君……マク=ロイ。やけに回避性能が高いんだね。僕も村で買い集めたアイテムを工夫して使ってるのに、殆どが無効化されるなんて思わなかったよ」
「だから言ったのだ。汝では我に勝てんと」
「でも、『爆裂機関銃』の二、三発は当たったね。つまり、君は完全な無敵ではない。そして、このゲームの核ルール①『このゲームはクリア可能であ』という原則に従えば、君を攻略できる手立ては存在する。それは、君の言う神の御託宣より重く、絶対的だ」
「我を倒すことは不可能。何故、分からぬか」
「分からないね、何故なら、僕は論理で動くからさ。君の言うことは、非論理的だからだ」
そう言ってAコパ君はアイテムウィンドウから『磁石mark.2』を選択し、前方に掲げる」
マク=ロイは強力な引力によって引っ張られるが涼しい顔をしている。
「だから、なぜ汝は無駄な抵抗を……」
その時だった。
「がふっ」
マク=ロイの背中に『蒼穹の弓』が放った矢が貫通した。
Aコパ君は神秘の番人に41のダメージを与えた!
Aコパ君はおどけて言う。
「おっと、すまないね。矢を回収したかっただけなんだけど、手が滑って君の腹を通って戻ってきてしまった」
「貴様……」
「あれ、怒ったかな」
マク=ロイはステッキを取り出した。そして、天に向けて掲げる。
すると、空から雷が落ちてきた。
Aコパ君は『俊足シューズ』を装備し、それを避けつつ『ゴムの盾』で防ぎきれない攻撃を防いだ。
マク=ロイは攻撃を止め、ステッキを下ろす。
Aコパ君はすかさずその隙を狙って、アイテムウィンドウから『狙い撃ちライフル』を装備し、スコープを覗いてマク=ロイに向けて射撃した。
マク=ロイはそれをサッと避けた。
Aコパ君は舌打ちし、連射する。
マク=ロイは弾の起動を完全に読み、一発、二発、三発と避け続けた。
しかし、四発目は被弾した。
Aコパ君は神秘の番人に28のダメージを与えた!
そして、Aコパ君は『分析双眼鏡』でマク=ロイを覗いた。
マク=ロイのステータスはこうなっていた。
HP11909/12000 MP483/500 装備 神意のステッキ。
Aコパ君は冷静に分析する。
このまま削り切るのはアイテムの残り数を考えても現実的ではない。
しかし、マク=ロイはこちらに向けて核問題を出してくる気配がなく、ずっと空中戦を強いられている。
マク=ロイを何とか地上に引き摺り落とし、かつ核問題を出させるにはどうすればいいか……。言語的挑発はあまり効果がない。攻撃を誘引しただけだ。
マク=ロイが最も気に障ること……。それは。
Aコパ君はニヤリとする。
そして、マク=ロイに向けてこう宣言した。
「さっきから観察していると、やたら神殿と反対方向で戦っているな」
「……それが、どうした?」
「しかも、僕が『ぺったん軍手』で神殿を登っている時、僅かだが表情が変わった。まるで、我の神殿を汚すなとでもいうように」
「何が言いたいのだ?」
「だから、思いついたんだ。こんなことをすれば、君はどうなるかな?」
Aコパ君は神殿に向かって唱えた。
「スペシャルアタック」
Aコバ君はMPを10使って、スペシャルアタックを使用した!
ドカーン!!
派手な音を立てて、神殿の一部が破壊される。
そして、Aコパ君はダメ押しに『素敵スケッチ』で神殿に落書きした。
そこには、「R.I.P」と書かれていた。
Aコパ君は振り返る。
すると、マク=ロイから凄まじい気迫が漏れてきて、フィールド全体が揺れ始めた。
明らかに、怒っていた。
マク=ロイは羽をしまい、地面に降り立った。
そして、その姿をメキメキと変えていった。
上半身だけが筋肥大し、神官風の服はビリビリと裂けてしまう。
両目が赤く光り、口からは長い牙が生えた。
Aコパ君はそれを見上げて言った。
「これが神の代弁者の姿かい? 神も泣いてるね……」
第二ラウンドが始まった。