「おーい、サンドイッチが出来たぞ〜」
そうしていると、お爺さんに呼ばれて振り返る。
手にはバケットがあり、3種類のサンドイッチが見える。
「うわあ、美味しそうですね!✨」
「ふっふっふ、そうだろう。ワシの隠し味を入れたサンドイッチは美味いぞ」
「とても楽しみです!」
これはフルーツが挟まれてるな。どんな味なのだろう?フルーツはゼリーとかそのまま、アイスとかでしか食べたことが無いからな。
「右に進むと食事のできるスペースがある、そこでゆっくりしていると良い。
おや?メリアじゃないか。いつの間に仲良くなったのだ?」
「御爺様!今気がついたのですか!?ローズ会いに来たら彼に出会ったのですよ」
「ほっほっほ、そうかそうか メリアはわしの孫でな、仲良くしてやってくれ」
「あ、はぁ……」
今日あったばかりのはずだが、信用し過ぎてばないだろうか?
名前すら名乗ってないが。
まぁいいや、お爺さんが戻って行ったので渡されたバケットを持って、教えてもらった場所へ行こうとすると袖を掴まれる。
「あ、の……私もご一緒しても…いい、かしら?」
「……僕と一緒に居ても楽しくないと思うよ?」
その言葉に思わず苦笑いを返してしまう。
「っ!そ、そんなこと無いですわ!あ、アーロン様はとてもかっこよくて素敵な紳士ですわ!」
僕がそういうとメリアさんが慌てたように言ってくる。
かっこ……?すてき……?
今日会った男(本当は女だけど)に警戒心が無さすぎではないか???
大丈夫だろうか?僕が悪いやつだったらどうするつもりなんだろう?
「……まあ、勝手にすれば」
そう言って歩きだすと、後ろからメリアさんがついてくる。
改めて見るとかなりの美少女なんだなと思わされる。
大きな瞳や小さな薄桃色の唇や真っ白な肌だったりと美しい。
女の子に免疫(めんえき)のない男なら笑いかけるだけで恋に落ちるんじゃないか?
少し歩いて行くと周りが水に囲まれた食事スペースが現れる。
橋の架かっている所があるが周りに散らばっている石を踏んで渡ることも出来そうだ。
面白そうだな。
水……というか深さ的に池だろうか?足がついても膝にも届かないだろう。
地面を蹴って、石に飛びのりメリアさんの方を振り向く。
「メリアさんは橋から渡ればいいよ」
「いいえ!私も石を飛び越える事が出来ますので!」
「え、」
そう言って彼女も石に飛び乗る。
ドレスが長いので濡れてしまわないか心配だ。
「女の子ってドレスが濡れることとか気にしそうだけどな」
「アーロン様!私は水如(ごと)きで臆(おく)しませんわ!」
「ふーん……でも不安定じゃない?
危ないよ、やっぱり橋の方が安全だよ?」
「んもう!馬鹿にしてます!?
令嬢でもこれくらいなら余裕で行けますわ!……ってきゃッ!?」
「ええ、」
そしてメリアさんは言ったそばから足を滑らせた。芸人だろうか。
すぐにバケットを左に持ち、急いで石を蹴り、右手でメリアさんを支え、自分の方へ引き寄せる。
運悪く水が掛かっている石に飛んでしまったらしい。
「ほら、だから危ないって言っただろう?大丈夫?」
「…っ!//」
すると、メリアさんの顔がみるみる赤くなり、タコのようになってしまった。
まあ、言って直ぐに滑ってしまったので恥ずかしいのだろう。
僕なら誰の顔も見れないな。
メリアさんを降ろして手を取る。
「捕まってて良いからとりあえず向こうまで行こうか」
「ふぁい……」
メリアさんの手を引いていくと気のない返事が返ってきた。本当にどうした?
向こうまで渡りきって手を離すとメリアさんは俯いて震えていることに気付く。
「…?メリアさん?どうかしt」
「あ、あの!!!」
「っ!?」
どうしたのかと聞こうとすると、急に大きな声を出され上半身が仰(の)け反(ぞ)る。
唐突に叫ばれるとびっくりするじゃないか、一体どうしたのだろうか?
「……わ、私…あ、アーロン様のことが好きですっ!//」
「……え?」
…………ゑ?
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