テラーノベル
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ムダ先!空から…俺!?
5話 「一触即発」
#四季愛され
視点めっちゃ変わります。表記めんどくさいので皆様口調で察してください。
01
きっかけは四季が大声を出して廊下を走り回っていることだった。
話を聞くと空から未来の四季が降ってきたらしい。にわかには信じ難いが言ってることは理にかなっている。とりあえずは自称未来から来たという一ノ瀬四季を信じることにした。後にこの判断が合ってたとも言えなくなることはまだ知らなかった。
02
「ねぇ四季くん」
「ん?なんだ?チャラ先」
「その、身体の傷って…」
「…あぁ見たのか」
夜遅いということもあり、先程四季は部屋に戻らせた。保健室には京夜と俺、そして一ノ瀬だけだ。静寂な空気を京夜が破った。少しに気になっていたことを。その痛々しい傷について。
「その傷は…いつできたものだ…」
「時期はもう忘れたんだけど…俺1回ヘマして拷問受けたんだよね。そん時の傷。」
頭が殴られた気がした。拷問。俺は何をしていた?生徒を守れていないじゃないか。なにをしていたんだ。
「俺は、俺はその時何してた。お前をそんな目に合わせる場に俺は行かせたのか?」
「いやいや!ムダ先のせいじゃねぇよ!しかも卒業したあとのことだし!」
「…痛かった…よね」
「え?あ、まぁ痛かったけど助けてくれたし、もうほぼ痛まねぇよ。だから2人ともそんな顔しないでくれ」
そんな笑って言わないでくれ。その時見た一ノ瀬の顔が忘れられない。
「ごめんね、四季くん…それよりお腹空いてない?」
「めっちゃ空いてる」
先程までの空気が嘘だったかのように変わった。どうやら食い意地があるとこは変わっていないらしい。
「じゃあ食堂行こっか」
「おう!!」
一ノ瀬がベットを降りた。俺の隣に来た時違和感を抱いた。今の四季と身長が変わっていない気がする。
「…四季。お前身長伸びなかったのか?」
「え?い、いやまぁなんと言いますか…鬼神の力の影響で身体の成長が止まったっていう…」
「だから2人ともそんな顔しないでって!俺生きてるんだし!それだけで十分!!生きてるなら身長なんてどうでもいいんだよ!な?だから…」
「そうだな…悪かった。」
またその顔だった。その目だった。どこか遠くを見るような。
03
俺は昨夜の宣言通り観戦に来ていた。ちょー!楽しみ!
「おい一ノ瀬」
「ん?なに真澄隊長?」
「お前なにか隠してるだろ」
おっとまっすーいきなりぶっ込んだね。確かに思ったけれども
「隠してるって…そりゃ隠すよ…未来のこと全部話したらバタフライ効果とか起きそうだし…」
「それ以外だ。未来から来たということもにわかに信じ難いがそこはもういい。」
「じゃあなんだよ…」
「お前の目だ。その目。俺たちを見るテメェの目が気色悪ぃ」
「き、気色悪い!?失礼すぎん!?」
まっすーめっちゃ直球じゃん!!!確かにこの四季くんはなんというか不気味というか怖いけれども!!
「そうですよ隊長。少し失礼です。もっと言い方を丸くしてください。」
「そーだよまっすー!確かにあれだけど流石に失礼だよ! 」
「まって馨さんもチャラ先も俺の目が気色悪いって思ってること?」
おっと図星だ
「あー…いや…」
「なんというか…ねぇ」
「…お前は俺たちを確かに見ている。でも見ていない。」
「え?なにどういうこと?ムダ先…」
「俺たちを通して他の誰かを見てる…そんな目なんだよ」
そう。俺たちを見てない目なんだ。この四季くんは。特に生徒四季くんに向ける目。あれは絶対過去の自分に向けるような目じゃない。もっとこう、何かを思っているような不気味な目。
「…なんだその事かwだって未来の真澄隊長達を思い浮かべてただもん」
多分これは本当だとは思う。でも何か、もっと違うことを隠してる。それに拷問の傷だと言ったあれ。あの傷痕は死んでもおかしくないぐらいの痕だった。
「…そーかよ。でもお前は他にも隠してるはずだ」
「…じゃあ隠し事を当ててみてよ。そしたらわかるでしょ?」
わお。そう来たか。
「え、なんかヒントとかないの?」
「えーヒントー?んー…じゃあ俺の実力がヒントってことで。5分経ったし探してくるわ」
「え、ちょ!ってめっちゃはや!!」
「もう四季くんの姿見えませんね…」
「何あの速さ!?どういうことなの!?いくら未来から来たと言っても速すぎない!?」
「知るか。まぁ確かにあの速度はおかしすぎる」
「たかだか数年であんな…」
「…おい一ノ瀬のやつもう捕まったぞ」
「え?」
まっすーが持ってる端末には誰が捕まったとか通知が来る。だけどあまりにも早すぎる
「見えないからわからないが、これだけはわかる。あの四季は異常なほど強い。」
ダノッチの言葉に俺と馨くんが息を飲んだ
「数年で…四季くんになにかあったのでしょうか…」
その後次々と捕まった報告が来た。四季くんが最初に戻ってきて腕を怪我していた。浅い怪我だったから治療もしなかったが怪我をしたのは四季くんだけ。そこに違和感をまた抱いた。
03
最初にアイツが喋った時の印象は【うるせぇやつが増えた】だった。だがその印象もすぐに崩れた。今が何月かを聞いてそのあとの反応だ。よくわからねぇが危険だ。そう感じた。そしてその後また騒ぎ始めて気のせいかと思った。でもまぁ、危険ていうのは合ってたのかもしれねぇ。かくれんぼの時に問い詰めてみたがのらりくらりかわしてきた。とりあえずは置いておくことにしたがどうも違和感が絶えない。違和感を抱いてたのは無陀野も、京夜も馨も。いや少なからず生徒達も違和感を抱いただろう。特に一ノ瀬は確実に気づいていただろう。
04
夜。俺たちは保健室に集っていた。集うってのも無陀野達と未来から来た一ノ瀬…いちいちめんどくせぇな。わかるから一ノ瀬でいいか。まぁその5人でだべっていた。と言っても今日の講習の反省会みてぇなもんだが
「いや〜みんなこん時から強いよなぁ」
「いや四季くん全勝だったよね?」
「負けるの嫌すぎて手加減できなかった…」
「そういうところは変わらずガキなんだな」
「ガキじゃねぇよ!…てかちょっとトイレ行ってくる」
「行ってらー」
一ノ瀬が保健室を出ていった。
「…なにあの四季くん怖い!!なんか…こう!つ、掴めないというか!!」
「わかります…いや話してる時は別になんともないんですけどずっと探られている…というか…」
「あのクソガキ…何隠してやがる…」
「…そのうちわかるだろう」
「てかてか四季くんちょー!!強くない!?なんだっけ、足だけ炎鬼…?そんなことできちゃうの!?」
「多分そのような力を使わなきゃいけない状況もあったんでしょうね」
「おい無陀野いるか」
「あっれー!迅々じゃん!!どうしたのー!ダノッチ〜?いるよー!ほらここここ!」
「どうした皇后崎。もうすぐ就寝時間だぞ」
「…四季が帰ってこねぇ」
「四季くんが?どういうこと?どこに行ったの?」
「四季のやつ毎日墓参り行ってるんだが今日まだ戻ってこねぇ。いつも10分程度で戻ってくる。なのにもう30分は帰ってきてねぇ。」
「そういえば昨日も墓参りの帰りに未来の四季くんが落ちてきたって言ってたね」
雲行きが怪しくなってきた。嫌な予感がした。そもそも未来の一ノ瀬も戻ってきてねぇ。
「…アイツ遅くねぇか?」
「アイツ?」
「あぁ未来の四季くんね。たしかに戻ってきてないね。」
「…嫌な予感がする」
「奇遇だな無陀野。俺もだ」
「嫌な予感って…」
そん時だった。
ドォォォン
05
「なんの音!?」
「森の方からだ! 」
「馨!」
「もうやってます!僕のわかる範囲に居るかはわかりませんが…」
「とりあえず外に出るぞ。皇后崎。おそらく他の生徒もこの音に違和感を抱くだろう。お前はそいつらに状況を説明してやれ」
「お前らは!?」
「俺達は一ノ瀬たちを回収しにいく。」
「…わかった。必ず四季を無事に回収しろよ」
「一応輸血パック持ってった方がいいかな?」
「持ってたことに越したことはないかと」
「怪我してないといいんだけど…」
「馨いたか?」
「いました!2人…多分どちらとも四季くんです!」
「嫌な予感が当たっちまったな…」
「それって四季同士が争ってるってこと!?なんで!?」
「理由がわかってればこんなことになってないだろ」
「それで、どこにいる?」
「西の森の方に!!」
「そうか、じゃあ先に行くぞ」
「ちょ!ダノッチもまっすーも速すぎ!馨くんは俺の事置いてかないよね!?」
「大丈夫です。流石にあの人たちのスピードについていけません。」
「と言いながら馨くんの方が速いけどね!?」
06
無陀野の方が数m前に居たが俺も視認できた。
俺の目に映ったのは死にかけの一ノ瀬と銃を撃とうとしている未来の一ノ瀬だった。嫌な予感とはこれだったのか。いや、それよりも
「無陀野!!」
「わかってる。そっちは頼んだ」
俺は血蝕解放で完全拒絶を発動し、気配を消して未来の一ノ瀬に近づく。そして無陀野が一ノ瀬をギリギリ助けたところで俺も一ノ瀬を拘束した。
「…あーあ。タイムアップかぁ」
「おい一ノ瀬、なんで殺そうとした」
「むだ、先、ますみ、隊長も、」
「喋るな四季。今すぐに京夜がくる」
「まっ、て。まだ」
「お?殺させてくれるのか?そーだよな!お前が生きてるからみんな死ぬんだ!」
こいつ…一ノ瀬を暴走状態にさせる気か。
「てめぇ…一ノ瀬挑発に乗るなよ」
「真澄隊長、ごめん。」
何を考えやがるこいつ。
「おい四季。」
「大丈夫、頭は冷えてる」
「なぁ、お前。確か拷問受けたんだっけ?」
「は、急になに?そうだけど」
こっちもこっちで何を言い出しやがる。拷問?そんなこたぁ聞いた事ねぇぞ。
「そのせいで記憶飛んだんじゃねぇの。お前ほんと忘れすぎ。親父への思いも、皆の想いも、過去の思い出を!!全部そのせいで忘れてるんじゃねぇか?」
「…忘れてるのかもな。全部。」
「俺が拷問受けたのもう片手で数え切れないぐらいだぜ?そりゃちょっとやそっとは忘れるわな。分からねぇだろお前には。俺の気持ちが、俺の苦しさが!あと何回死ねばいい!?繰り返せばいい!?何回、何十回、何百回やってもダメだった!なんで!なんで!おまえが!お前がいなければ!お前を殺せば俺も終われるのか!?そうなら俺は何回でも殺してやる!!」
何を言ってるのか全くわからない。気でも狂ったのかと思った。だがその時覗いた一ノ瀬の顔はあまりにも泣きそうな顔をするもんだからつい力を緩めてしまった。
「何言って…まずい、無陀野!」
「わかってる」
未来一ノ瀬は俺の拘束を抜け出し、一ノ瀬に向かって銃弾を打ち込んだ。すかさず無陀野が傘を展開したが、わざわざ自分から傘から抜け出した。
「四季!!」「一ノ瀬!!」
07
銃弾は確実に四季の頭に当たった。はずだった。
「は、なんで、だってそれは」
どういうことだ。何が起きた。確かに銃弾は四季に当たってしまった。一ノ瀬も戸惑っている。
「だって俺だもん。お前ができることなら俺が出来ないはずがねぇ。」
「だとしても!炎鬼にはもう!」
「やっぱ忘れてんな。俺5回目だぜ?」
何がだ?5回目。なんの事だ。四季たちにしか伝わらない何かがある。
「は、…はっ。ははっ。そっか、そうだ、そうだった」
「てめぇなんだ急に…」
「四季くん!!」
京夜達が来た。とりあえず気を失いかけてる四季を早く診てもらおう。
「酷い怪我…まずいな、」
「あー。まじで忘れてたわ。うん、ごめん。今度はちゃんと話そう」
「おう…」
その時見せた未来の四季の顔が、初めて心からの笑顔だとこの時感じた。
だがそれよりも。
08
「てめぇ、こんなことして一ノ瀬とまた合わせられるわけねぇだろ」
真澄隊長の言う通り、この2人をまた合わせるのは危険だ。
「いや〜わかる。俺もそう思うよ?でも1回でいいからチャンスくれね?」
「その前にだ。聞きたいことがある」
「いいよ。でも先にこいつ運んでりなよ?まじでこのままだと死ぬぜ?」
「その原因作ったやつが何言いやがる」
「まじでごめんって…」
「京夜、四季はどうだ?」
四季くんの方を見てみると京夜さんが止血を行っていた。
「ある程度回復はしてるけどそれでも治療が必要。馨くん、四季くんのこと抑えてて、今から俺の血入れるから。」
「分かりました。念の為輸血持ってきてて良かったですね」
「あの銃声だったし誰かは怪我してるよなって思ったからね。だとしてもこんな一方的なのは予想外だけど」
ほんとに持ってきてて良かったと思う。僕は気絶している四季くんの顔を固定しながら真澄隊長達の話を聞いていた。
「あれ撃ったのこいつだけどな。いや、良かった。ちゃんと成長してて。それじゃなきゃ今頃こいつ殺せてたし。」
「てめぇは一回黙れ。」
「真澄隊長怖いからそんな目つきで見ないで〜ちゃんと説明するからさ、」
いくら未来の四季くんとは言え、四季くんからは出ないような言葉ばかり出てくる。なぜそんなに過去の自分を嫌うのか。そもそも本当に未来から来た四季くんなのか。桃によって作られた偽物なのかもしれない。
そんなことを考えていると治療が終わったようだ。
「おっけー。四季くんの傷もほぼ治ったよ」
「さて、四季くん。説明して貰おうか。」
「うん。…ッゴフッ」
僕の言葉に返事をしたと思ったら、未来の四季くんが血を吐いた。
09
「四季?!」
「は、」
「四季くん!?」
急に吐血し始めた四季くんはどんどん顔色が悪くなっている。どういうことだ。未来四季くんもこっちの四季くんから攻撃を喰らっていたのか?
「だ、だいじょ、ぶ。ゲホッ、な、なれてる、から、少しした、ら。おちつく、から、まっ、て」
「な、慣れてるって…」
吐血に慣れてる…つまり今までにもあったということ。
しばらくした後未来四季くんは呼吸を整えてこう言った。
「よし、落ち着いた。」
「お、落ち着いたって…顔色やばいよ?」
吐血は止まったもの、あまりにも顔色が悪い。いつ倒れてもおかしくない。
「大丈夫!でも心配してくれんなら外じゃなくて中で話さね?流石にキツイかなって」
「こんなことしたやつのこと信じられるわけねぇだろ」
言い方はキツイがその通りである。四季くんを傷つけた以上、警戒はしなければならない。でも未来四季くんの顔はどこか泣きそうで、どこかに消えてしまいそうな表情をしていた。
「いやぁわかるよ真澄隊長?でもさ、もうほんとに限界でさ、血蝕解放もできねぇぐらいガタ来はじめてるから、そこは信じて欲しいなって…」
「真澄、今は四季を信じよう」
「うん。俺から見ても今の四季くんは死んでもおかしくないぐらい弱ってると思う。」
多少大袈裟だがほぼその通りだ。吐血したのだ。身体の状態が気になる。
「チッ しょうがねぇな、ほら立てよ偽物」
「あはは…一応俺も一ノ瀬四季なんだけどなぁ…まぁここの真澄隊長達からしたら偽物なのかぁ」
目を伏せてその言葉を言った君は儚かった。
「大丈夫四季くん?立てる?」
「馨さんはやっぱ優しいなぁ… うん…やっぱみんな優しいよ、どの時間軸でも、世界でも」
「あ”?てめぇ何言って…泣いてんのか?」
泣いていた。静かに。
「ぅん…泣いてる…ごめん。一応精神的にはムダ先達より年上なんだけどなぁ」
「…後でその事も詳しく聞こう。」
「そうだね。ダノッチ四季くんのこと背負ってあげて。多分立てないし。馨くんはこっちの四季くん背負ってるし」
「わかった」
まだ何も分からない。本当に未来から来た四季くんなのか。でも偽物って考えは頭に浮かばなかった。先程からちょくちょく言っている不思議な言葉は、どれも嘘に思えなかった。
10
そうして四季を背中に乗せた。あまりにも軽い。そういえば昨夜も食べる量が少なかった気がする。この異様な軽さも先程の言葉に関係しているのか。そう思っていたら、後ろからすすり泣く声が聞こえた。
「あのね、ムダ先、俺ずっと頑張ってたの。どんなに拷問されようが黙って死を受け入れて、絶望しそうになったこともあったけど、みんなのこと思ったら、がんばらなきゃ、って。つぎもぉ、がんばろうって。でもどんなに頑張っても上手くいかなくてぇ、どうすればいいんかなぁ、気づいたら精神的には50 00歳以上なのかも。もう大人ってすら言えなくなっちゃった…ねぇムダ先…俺もう、生きてたくないよ」
その声は俺への助けを求める言葉に聞こえた。なのに同時に自分自身への暗示にも聞こえた。
言ってることはまだ理解できない。でもこの四季は確実に何かあった。この四季は壊れかけている。そう感じた。なんて声をかければいいかわからなくなった。でもこれだけは言えるのだ。
「…四季。俺にはまだよく分からないがこれだけは言える。
お前は頑張ってるよ」
この言葉が此奴に響いたのかはわからない。でも四季は俺の肩に顔を埋めて小さな声でこう言った。
「ぅん…ありがとう…」
11
無陀野達が森に行ったあと、予測通り他の奴らも廊下に出てきた。とりあえず説明して保健室で待つことにした。心配の声や疑問を抱くやつも居たが俺もどちらかと言えば疑問だった。未来から来たとかいう一ノ瀬四季。同じ四季のはずなのにアイツに抱いた印象は謎。確かにテンションや言葉遣いは四季なのにどこか違う。どうやら本人も苦手意識を持っていたらしい。遊摺部と屏風ヶ浦が話していた。一体何者なのか。
しばらくした後無陀野達が戻ってきた。練馬の偵察部隊の副隊長が怪我をしている四季を背負って、無陀野が未来の四季を背負ってきてだ。どういうことか問い詰めてみればいろいろあったらしく、未来の四季からこれから話を聞くらしい。俺たちも当然聞くことにした。とりあえず怪我している四季をベットに寝かせ、俺たちは空き教室へと向かった。
12
教室についた俺らは一ノ瀬を囲むように座ったりした。そして
「さて、洗いざらい吐いてもらおうか」
「いや全部話すんだけどさ…いやほんと皇后崎達には聞かせない方がいいと言うか…」
ここで言い逃れか?確かにガキ共は寝る時間だが無陀野は此奴等がついてくるのを止めなかった。つまりそういうことだ。
「おい。俺はお前らのせいで睡眠を邪魔されてんだ。だから俺達にも聞く権利はある。 」
「だとよ。言い逃れはできねぇぞ?」
「…わぁったよ…全部話すよ。俺が体験してきた人生。約5000年以上を。」
未だに顔色の悪い一ノ瀬だったが、その言葉を言った一ノ瀬はどこかに消えそうで、そして笑っていた。
13
話し始めた内容はあまりにも信じられないような話だった。でも嘘じゃない。そう本能が告げている。話はあまりにも残酷だった。思っていたよりも。ずっと誰にも話さず過ごしてきたのだろう。何度も拷問を受け、何度も戦争に巻き込まれ、実験されて、繰り返して、死んで、また親の死体を見るところから始まって、泣きそうになる心をしまって、我慢して、苦しんで、死んで、死んで、死んで、死んだ。考えただけでもゾッとする。でも、それでも四季は諦めなかった。弱音を吐かずにずっと繰り返した。俺達のために。仲間のために。苦しかっただろう。泣きたかっただろう。でも誰にも話せない。話しても意味がない。そう思ってしまったのだろう。それは壊れてしまっても仕方ない。逆に精神を保てている方が不思議だ。なのに。なぜ、なぜそんな明るく話せる。まるで物語を読み聞かせするかのように。なぜ笑って話す。もう充分な衝撃を受けたのにまた新しく衝撃を受けた。
あと3日。あと3日しか持たない。先程の吐血も考えてみればおかしい。傷1つなかった者が急に吐血。それはもう内部からのダメージしかありえないだろう。俺は此奴のどこを見ていた?そもそも未来の四季を1度しっかり見たか?あの泣きながら助けを求めた発言。異様に軽かった背中。あの異様な強さ。身体の大量の傷。考えてみれば分かるじゃないか。ループとはわからなくても、此奴は最初から助けを求めていたのではないか?
14
一通りの話が終わった。俺は何も言えなかった。古傷が傷んだ。根をあげそうになる拷問を1度では無く何度も?声をあげれない。それは他もそうだった。だが 静かな空気を破ったのは無陀野の生徒だった。
「死ぬことが怖くないのか?」
「あぁ、それこっちの俺にも聞かれた。もちろん最初は痛かったし怖かったけど…慣れって言うのかな。怖くなくなっちゃった。恐怖よりも次は成功させるって気持ちが強くて。」
慣れてはいけないことだ。でも此奴の場合慣れることが精神を保つ方法だった。次に口を開いたのは無陀野。
「俺たちは何をしてるんだ。」
「いやムダ先達はちゃんとやってたぜ?ただ俺がループの事話さなかっただけで」
「子供にそんなこと…」
「いや馨さん。俺肉体的は確か に子供かもしれないけど精神的にはもうじじいなんだぜ?」
「それでも!それでも君は…僕たちから見たら子供なんだよ」
「俺たちから見たら君は迷子の子供だよ」
「迷子って…」
たしかに精神はとんだじじいでも、此奴の精神はまだ見た目相応だと思った。きっと繰り返してるうちにそうしないと自分を守れなかったのだろう。
「さっき俺が背負った時に言ったこと覚えてるか?」
「あぁ。あれね。めっちゃ嬉しかった。嘘だとしても。死ぬほど嬉しかった」
「そうか。だがあれは嘘じゃない。」
「いやいや、俺はムダ先達から見たら偽物だろ?そんな偽物に優しくしなくていいって」
さっき俺が言った言葉。引き摺ってやがった。そこで俺は初めて口を開いた。
「…そんなこと言うくせになんだその顔は」
「え、どんな顔」
「…おめぇは助けてくださいって顔してんだよ。ガキが」
「…ガキじゃねぇもん」
泣きそうな顔しやがって。そこはほんとにガキだ。
「おうおう精々ガキは泣きやがれ」
「四季くん。いいんだよ泣いて。君は頑張ってるよ。ごめんね。俺たちがいながら君を苦しくさせちゃって」
「四季。お前は凄い。頑張ってきたことがちゃんと伝わってる。だから今は、今はゆっくり休め」
「君は偽物じゃないよ。本物だ。僕たちの知らない一ノ瀬四季でも、僕たちは君が大切なんだ」
一ノ瀬の目にはどんどん涙が溜まっていた。
そして
「四季。」
「俺らはお前の味方だ」
無陀野の生徒の1人。皇后崎が発言した途端に一ノ瀬はわんさか泣き出した。
15
四季くんが泣き出した時にはもう俺も泣いちゃった。ダノッチの生徒も何人か泣いてたし。そしてみんなでぎゅうぎゅう四季くんのこと抱きしめてた。何人かは無理矢理巻き込んだだけだけど。
その後四季くんは寝ちゃった。当たり前だ。かなり限界が来ていたはずなのに。
とりあえず保健室に運び、そのまま寝かせた。他の生徒は寮に戻らせた。俺たちは保健室で話を続けた。これからのことを
「…とりあえずさ、四季くんと合わせるのありだと思うよ?」
「僕もそう思います。」
「だとよ無陀野。」
「…四季の判断に任せよう」
「まぁたしかに結局は四季くんの判断だよね。とりあえずもう夜遅いし俺らも寝よ?保健室で寝ていいからさ」
その後交代で様子をみながら眠ることにした。
16
あまりにも衝撃な内容すぎたから俺たちは忘れていたんだ。四季のとある発言に。その言葉がどれほど大切であったかを俺たちは知る由もないのだった。
あとがき
やっと次回時が大分進めますよ!!2話にかけて時間ほぼ変わってないのでやっとですよ!!
てことで次回か次次回が最終回になりそうです。
コメント
3件
涙がぁぁぁぁ 5回目ってやつなのかな、、どの発言かめっちゃ気になる✨ 今回は、四季くん以外の人たちの気持ちとかでこの時こう思ってたんだってより詳しく分かりました✨ みんなやっぱり四季くんが大事だし、四季くんも、みんなのこと大事って思ってるし…もう本当感動作で最高です!! 次回も待ってます!