コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私の名前は立花 琴巴。
陰陽師の家系である立花家に生を受けた。
私は先代当主つまりお爺さまと一緒に今は修行をしに山奥にきている。元いた学校は、夏休み前に転校した。そして修行先の山の近くの学校に転校する予定である。
友達がいなかったわけではないが、私にとって力をつけることが一番大切なこと。
私の母は私が幼かった頃、私の目の前であやかしに殺された。
それ以来、私は悪いあやかしを憎み、滅してきた。
もちろん、いいあやかしもいるが…
今回の修行も私がお爺さまに頼み込んで鍛えてもらうのだ。この地を選んだ理由は、かの有名な陰陽師、涼風 重蔵がこの土地で生まれ育ったと聞いたからである。
涼風 重蔵は数年前に突如消息を絶ってしまったが、私は一度、彼があやかしを退治しているところをみたことがあり、それは凄まじい実力の持ち主だった。
黒い刀と白い刀の二刀流で、紫の法衣を身に纏い、バタバタとあやかしを退治していった。
その姿を見てからは私の目標のひとりである。
ちなみに涼風家は後継はいないらしい。昔はかなり大きな陰陽師の家系だったらしいが、今の涼風家は涼風 重蔵が最後の陰陽師で、息子はほとんど力がないらしい。
そんな私は今山でお爺さまと修行していたのだが、どうも周りのあやかしがざわめていて集中できない。
「なぁ、聞いたか!戦が起きるみたいだぞ!」「聞いた!聞いた!沼姫と山の土地神が手を結んだんだろ!?」「キシシ!おれはこの戦に参加するぜ!うまくいけば土地神の眷属になれるかもしれない!」「遠くに逃げなくては、巻き込まれたらかなわん。」
なんでも、あやかし同士で戦いがあるらしい。
「今日はここまでだ。しばらくは修行も休み、家でおとなしくしておこう」
私の祖父 立花 秀一がそんなことを言い出す。
「なぜですか!?あやかしの争いが近いからですか?そんなもの来るなら滅してやります。」
「だめだ。かなりの大物同士の衝突らしい。我々は家でおとなしくしておこう。おそらく、五等級以上のあやかし同士の衝突になるだろう。」
「五等級以上!?」
あやかしは10段階に強さがわかれており、1〜3級が上級、4〜7級が中級、8〜10級が下級のあやかしとして認識される。
5級ともなれば、才のある陰陽師が複数人で対処するレベルだ。私がいま倒せるレベルはせいぜい7級がいいところ。1級ちがうだけでもかなりの力の差がある。
私のお爺さまなら5級のあやかしも退治でるが、複数いるならば、きびしいかもしれない。
「わかりました。家でおとなしくしています。」
「うむ。お前は先に帰ってなさい。私は片付けをしてからあとで追いかけよう。」
帰路に着いた私は、帰り道で女の子があやかしに追われているのを見つけた。
「あぶない!」
私は助けようと駆け出したが、その子は振り返りお札を取り出し、なんとそのあやかしを滅してしまったのだ。
私は空いた口が塞がらなかった。なぜなら、そのお札がペラペラのルーズリーフで作られていたからだ。
ルーズリーフで効力のあるお札を作るなんて不可能だ。しかし、実際にはしっかりと効力を発揮してあやかしを退治してしまった。
「どうなっているの!?」
私は我に帰り、その子に話しかけようとしたが、すでにその子はどこかに行ってしまっていた。
家に帰り、お爺さまが帰ってきた時にこの話をしたら
「人がルーズリーフなんかででお札を作れるわけがないだろ、作れたら大金持ちになれるわい。お前の見間違いだろう。ふつうにわしらと同業者なんだと思うぞ。」
いや、あれは絶対にルーズリーフだった。
そういえば、あの女の子は私と同じ年齢くらいに見えた。もしかしたら、同じ高校かもしれない。
今度会ったら、話しかけてみよう。ルーズリーフのお札のことも気になるが、同い年の陰陽師などそうそういない。もしかしたら仲良くなれるかもしれない。
それから、満月の夜の日。私は凄まじい力の衝突を感じた。こんな力は今まで感じたことのない力だ。
「うむ、かなりのあやかしが集まって争っておるな。やはり、大将同士もかなりの大物じゃ。」
「お爺さまわかるの?」
「カラスの式を飛ばして見ておる。しかし、鬼の方はかなり邪悪なものを感じる。これはここの土地のあやかしたちに頑張ってもらわねば、修行は中止して、退治を依頼せねばならぬかもしれんのぉ。あっ!流れ弾で式がやられてしもうた。」
わたしが介入できるレベルではないことだけはわかった。
いつかわたしもこの強大な力に立ち向かえる日は来るのだろうか?