ダンジョン攻略で成績を上げるには、他のチームより多くのモンスターを倒さなければならない。
まだ実力の乏しい私達生徒にとって、モンスターを倒すには、個々の実力より、相性の良い編成を組むことの方が重要となる。
私の適性は、風と炎。共に適性値は3。
最適性が2属性あるのは珍しいらしいけど、適性値が極端に高いわけではない。
自慢ではないが、攻撃に適し、且つ相性の良い、風と炎属性を持っているので、火力には自信がある。
「えーっと、私がヒーラーで、レイが魔術アタッカー…
あとは サポーターと剣士だね!」
リーニエは、特殊属性の光適性を持っている。
それも、Aランク冒険者相当と言われる、適性値4。
高レベルな回復が使えることは、他チームに対するアドバンテージとなる。
また、他チームに対してアドバンテージがあるということは、チーム未定の人にとって 需要が高いということでもある。
ならば、引き入れるなら、高い実力を持つ人間…
「…そこの御二方。」
「!」
急に声をかけられて吃驚した。
声の方向へ視線を向ける。
「…あ、確か…首席の。」
「…アイノンだ。」
声をかけてきたのは首席入学のアイノン=フォーダム。
高位の貴族家系で、いつも2人の同級生と一緒に行動している。
鳳仙花のような、鮮やかな朱色の瞳と短い髪から、物語の勇者のような印象を受ける。
背は高等部生にしてはかなり高く、6尺弱ほど。
“実技、座学共に超優秀な天才”って聞いたけど…
「何か用が?今パーティの編成を考えてたところなんだけど…。」
「ああ。その話についてだ。
君たち2人とパーティを組みたい。」
「…意外。てっきりいつもの2人と組んでるのかと…。」
確か、あの2人も、貴族家の相当優秀な生徒だったはずだ。
…それを差し置いて私達とパーティを組むというのは、何か理由があるのだろうか。
「実は、あの2人は剣の鍛錬中に知り合った仲でな。
3人とも同じ剣士のアタッカーだから、同じパーティに入れないんだ。 」
「ああ、なるほどね。」
なんだ、首席に選ばれたと思って ちょっと嬉しかったのに。
「…まあ、それを差し引いても君達は優秀だ。
点数の高いダンジョン攻略の授業で、お互い組んで損はない。」
「…だね。それじゃ、よろしく。
私はレイシア=レイルズ。レイシアって呼んで。」
右手を差し出す。
「アイノン=フォーダムだ。よろしく頼む。」
首席のアイノン とパーティを組めたのは大きいな。
近接戦闘の要である剣士の実力が高いと、 パーティの水準が跳ね上がる。
…あれ?なんか違和感…
「__よし。アタッカーとヒーラーは揃ったから、後はサポーターだけだね。」
「そうだな。…そういえば、もう1人の方は何処へ?」
「…あ。」
違和感の正体はこれだったか。
いつも騒がしいのにやけに静かだと思ったら、隣にいなかったのか。
「レイ!」
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