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五木友人
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才川奏美
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「さて、拷問を開始いたしますか。」
そういうと、全員がヘルメットを脱ぎ、しかし仮面は付けたままピエリストのうちの1人と、バインダーと紙とボールペン。それから拷問器具をもって各々の部屋に入っていく。拷問の仕方は千差万別。優しくする。肉体的にいたぶる。精神的にいたぶる。空腹にさせる。などなど、さまざまである。
僕も拷問室に入る。ここは完全防音。外側から聞こえる仲間の嘘をまねされると困るからである。
「さて、こんにちは。」
「はっ、はいぃぃ」
これだけでもう、しょんべんを漏らしているのだから勘弁してほしい。後で掃除が大変なのである。
「口を開けろ。」
ペンライトを使って口の中を見るが、特に紐らしきものも何もない。
「さて、どこからがいい?目?耳?爪?歯?指?選ばせてやるよ。」
まぁ、話すという選択肢を与えない。まだ何も痛い目にあっていないと平気で嘘を言う。その場合、書き直すのが面倒くさいため、真っ先に痛い目を見させる。
「いやだ‥‥いやだぁ‥‥やめてくれ…全部やめてくれぇぇ…」
「まったく大の大人が情けないよ。そもそも君、人質の女の子の首に刃物あてていたよね?自分の番になった瞬間にそれはないわ。人質の子にはどこに刃物をあてられるかを選ぶ権利がなかったのに君にはあたえてあげたんだよ。後5秒で決めて」
「人でなし…人でなしがぁ…」
「はい5秒たちました。じゃぁ、耳ね。」
そう言って、拷問器具の入った袋の中から、ホッチキスと目隠しを持ってくる。目隠しで相手の目を隠す。ホッチキスに芯を入れて、耳物でガシャリッと鳴らすと、男がびくりと跳ねた。
「うん、OK!」
ガシャリッ ガシャリッ ガシャリッ 右耳に3回連続で、ホッチキスで穴をあける。
「ぎゃぁぁぁ‥‥」
大きな声で叫んだ。どれほどうるさいかというと、ノイズキャンセリングが欲しいほどである。ペンチを袋から取り出し、耳からホッチキスの芯を勢いよく引っ張り取り除く。再度絶叫し、彼の耳をつぅぅと、血が滴っていた。
「ガーゼをまくね」
そう言って耳を覆うようにガーゼを巻いた。
「さて、質問に答えてもらおうか」
「はっ…はぃぃ」
「リーダーは?」
「‥‥知らない‥‥俺は知らない‥‥何も知らない」
「今、間があったね。きちんと答えなよ。何か風のうわさでもなんでもいい。しかし‥‥、嘘だった場合、左耳だけじゃ、すみませんからね。電気椅子や…あっ、そうだ蓑踊りをやりません?真っ暗闇の中やるとまるで阿呆な蛍のようで見ていて面白いので」
「ひっ」
相手が恐怖に顔を引きつらせている。
「分かった。言う。いや、言わせてください。」
「うん、どうぞ」
「私は今回の件のリーダーであった。松田 龍です。一度だけ、リーダーを見たことがあります。身長は180cm程 髪型はマッシュルームヘアーに丸眼鏡で、面長でした。」
「次はどこで何をする予定だった?」
「し…知りません、上が何が目的なのか、どれだけ仲間がいるかすらもわからないんです。本当です。」
「あ?利き手じゃない方の手だせ」
おずおずと手首で縛られた手が伸びてくる。ペンチで左手の人差し指の爪をベリッとはがす。男が大声で叫ぶ。そして少々叫び声が収まってきたころを見て、目隠しを外す。これにより、目を隠されているという状態で、いつどこを責められるかが不明な恐怖、その自分の傷を見た時にさらに痛みを感じさせるというもの。
「答える気になったか?」
「でも、知らないんだ。信じてくれ本当に知らないんだ。俺らみたいに行動する奴らは、ただ単に社会に反発したいだけだったんだ。上の本当の思惑なんて知らない。本当だ。本当なんだ。信じてくれぇ…。俺みたいなやつらが何人か、リーダーに集められるんだ。俺みたいなやつが4人いた。俺のチームだけで37いる。つまり、140人近い人がいることになります。特に近いうちに戦争の予定はあります。でも、私は知りません。本当です。」
「アジトは?」
「知りません。毎回どこかの駅で睡眠薬を飲まされて車に入れられて、気付いたら会議部屋にいるような感じです。ですから、どこにあるのかがわかりません。」
まったく情報源にならない。これで幹部とかマジでふざけるなよ。いや、こんな軽い拷問程度で吐くし、歯に紐などが引っかかっていない点から、情報を守るために自殺するつもりもないような人間だから、情報がそんなに渡されていないのだろう。もしかすると、ただの嘘をついて僕らを惑わす役目なのだろうか。
「水を飲むか?」
何も言わずにこくりとうなずいたので、水を飲ませてやる。
「君は深呼吸をするように、自然に嘘をつくんだね。で?本当は?」
「はっ?」
男は、驚いた様な間抜けな顔をした。
「だから、本当は?」
「いえ、今のが本当です。」
「嘘下手だね。いや、君を信じてなどいないんだけどさ。伊藤誠 酒川春喜 知ってる?彼らは幹部の2人だったみたいだね。でも、彼らは情報を吐く前に舌を噛み切って死んだんだよ。それに比べて彼らと同じ幹部である君は、捕まった時点で自殺しなかった。そして口の中に毒がない。これまでのことに異論はあるかい?」
「う‥‥嘘なんだ!幹部っていうのも!全部!全部嘘なんだ。」
「はいっ、これも嘘。幹部以外なのに、自分が幹部ですと言って何になる?拷問が厳しくなるだけだ。やっぱり馬鹿だね。愚かだね。救えないや。」
「‥‥」
「君は捕まっても、嘘情報を流してくれるから幹部になったんじゃない?違う?」
「‥‥」
「さて、本当のことを話そうか。」
「‥‥」
「‥‥まぁ、そりゃあ素直に話さないよね‥‥」
そう言いながら、縄を取り出し、金属製の椅子に彼が身動きを取れないほどにがっちりと縛る。それから彼にまた目隠しをつける。拷問器具が入った袋からさびたなまくらのカッターと、ノイズキャンセリングを取り出し、なまくらカッターで彼のズボンを太ももの半ばほどで切り、ふくらはぎをなまくらカッターで何度も往復させる。もちろん僕の両耳にノイズキャンセリングをつけて。
流石におっさんの叫び声を聞く趣味はない。
なまくらとはいえ、カッターであるが、これの大事なポイントは、カッターの刃をあまり立てすぎないこと。
カッターの刃を立ててしまうと筋肉が切断されて痛むが、ほんの一瞬である。そのため、今僕がやっているのはふくらはぎの皮を、少しずつ削っているのである。
そうすると、筋肉の筋が見えてくる。
なぜなまくらにしたかというと、筋肉の繊維とさびがこすれあって痛くなる。長期的に痛みを当てえ続けることができるのである。途中に七味や塩などを混ぜるとよく情報が引き出せます。
「‥‥おい、〈梟〉」
ノイズキャンセリングを外されて、ポンッと肩をたたかれる。
「何?問題でも起きた?」
削る手を止めて振り返ると、〈オウム〉がいた。
「いや、起きてない。それと、人を痛めつけるときに地味に口角を上げるのをやめろ。」
「そうか。それはさておき、何しに来たんだ?」
「いいや、一人目終わったから〈梟〉のところ見に来たんだが‥‥。相変わらずグロテスクな拷問の仕方だなぁ。こいつが死んで地獄道に行ったら地獄が天国に思えるだろうさ」
「僕でも地獄のエンマ大王には、かなわないよ。」
「止めてくれ、この悪魔をこの悪魔外道を‥‥」
火との会話の最中にマツダは割り込んできた。
「それは〈梟〉のあだ名にはふさわしくねぇよ。もっとこいつの残酷さを表す物じゃねぇと。」
「‥‥殴るよ。」
「きゃー こわーい」
〈オウム〉はケラケラと笑ながらそう言って頭を手で覆った。
「でも、まだこれは幸せだよ。〈百舌鳥〉の方はさらに悲惨だよ。今頃は内臓でも転がっているころじゃないかな?」
「あぁ、想像するだけで嫌だ。実際に見たら数年以上夢で出てきそうだぜ。」
「〈百舌鳥〉に交代した方がいいかなぁ?こいつ全然口を割らないんだよね。たぶん、自白剤の類も効かないし。」
「おい、やめろよ。流石にかわいそうだ。あの、大丈夫ですか?」
〈オウム〉が優しさをもって、彼に言った。それはまるで、怪我した我が子を心配するようなそんな声である。
一気に男の顔にこわばりが解ける。
さすが組織で〈カササギ〉〈百舌鳥〉〈オウム〉の嘘つき3人組として並べられるだけある。
「うん、うん、そっかーありがとうね情報を教えてくれて。」
そして、相変わらず早い。
「で?結果は?」
「後で書きます‥‥」
そう言ってわざわざ猫背にして、恨みがましげに僕を見て、更に大きなため息を僕に聞こえるようにする辺りが厭味ったらしいやつである。
「今度いいデートスポットでも教えてやるから。」
「‥‥一般的なところだったら〈カササギ〉が雑誌のいいネタになっちゃいますよ。」
「‥‥それも、そうか」
拷問された男を置いて、拷問室の外に出ると、〈百舌鳥〉の部屋からは防音対策はばっちりのはずなのに叫び声が外まで聞こえている。
そして、拷問されるべき人たちは0人になっていて、みんなはスマホやら何やらで、思い思いに時間をつぶしていた。
コメント
1件
うわああ、第7話ヤバすぎた……!😭💦 拷問の描写が生々しくて読んでてゾッとしたけど、その中でも〈梟〉の冷徹で狡猾な感じと、〈オウム〉の切り替えの巧さがめちゃくちゃ印象的だった。特に「嘘つき3人組」の異名が納得のやりとりで、組織の怖さと人間の脆さがリアルに伝わってきたよ…。次が気になりすぎる!!