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そんな事毎日がずっと続くと思った。
でも、朝日が登り、夕日は沈むように。季節は移ろいでゆくように。
この家に変化が訪れた。
最近兄貴も飯を食べるようになったみたいだった。
部屋の前を通る時に、《あいつは無駄に感が鋭いからな》なんて言いながら、《昼飯食わねぇと》なんて言っていたのが自然と耳に入った。
【あいつ】が誰だか分からねぇが、感謝はしている。
兄貴はきっと俺以上に不健康な日々を過ごしていたに違いないから…。
心配するだけで、何もできなかった俺とは違う。きっと凄いやつなんだろう。
それから数日も経たずに、この家の住人が増えた。
確か、北華とか言う名前だったと思う。
兄貴が飯を持ってきた時に、《師匠!》なんて言いながらついて来てたみたいだった。
随分と元気そうなやつだと思ったが、時々、酷く辛そうな、苦しくてももがき続けている。そんな声を出す。
かと言って、俺が何かできるわけがない。
だが、兄貴は違う。
北華を連れ出して、庭の手入れをしている所を窓から見た。
楽しそうだった。
あの庭は、兄さんが好きだった場所でもある。そんな場所を北華は楽しそうに、幸せそうに駆けていた。
陽の光しかないこの部屋に、あの光景は酷く眩いものだった。
それからまた、数日と経たずにまた誰かが来た。