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試合開始前、観客席のあちこちで声が飛び交っていた。
「え、あの2人がSランク? 地味じゃね?」
「静かすぎて強そうに見えないし」
「おいおい、大丈夫かよアレ」
――その言葉を、近くで聞いていた奏太の眉がピクッと動く。
「……んだと?」
ぼそっと呟き、むすっとした顔で周囲を睨む。
「遥も梨亜も、めちゃくちゃ強ぇんだぞ。見てろ、後悔すんなよ」
口調は軽いけれど、その声にはしっかりとした怒りが滲んでいた。
友達が馬鹿にされるのが、ただただ気に入らない。
そして試合が始まる。
遥と梨亜がその静けさの奥に隠した「本物の力」を、学園中に見せつける時だった――。