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「結果は、Snow Manの圧勝か。参ったなー!」
全員が最初のグラウンドに戻ってきたところで、颯馬が敗北宣言をした。
「くっそ!」
「もっかいやり直したいなー!」
「俺はもう二度とやりたくねぇ」
dominator側は元気に各々の感想を言っているが、
Snow Man側は、
「そっちはすんごい元気そうだねー」
深澤が周りを見渡す。
傷が少なくて済んでいるのは、深澤、岩本、阿部、佐久間の四人。
だが、怪我をしていない訳では無いし、とても疲れているようだ。
一方で、宮舘、渡辺、目黒、向井の傷は深い。
宮舘。渡辺の能力の暴走によって身体中にかすり傷がある。本人は、渡辺を姫抱きして立っている。
渡辺。能力の暴走によって気絶。ガーネットが自分にも降り注いだため、こちらもかすり傷多々。
目黒。数箇所、久尾雨の能力によって血が溢れている。回復能力で少しは良くなっているが、向井を抱えて立っている状態が異常なほどの傷。
向井。いちばん酷い。身体全体に切り傷があり、服は向井の血液で真っ赤に染まっている。
目黒のお陰で一命を取り留めたが、かなり危険な様子。
「こっちが勝ったってのに、こっちのが被害がデカすぎんだろ…」
佐久間が疲れ気味で、少しテンションが低い様子で呟く。
「真白。わかっただろ?俺らはまだ強くなれる。喧嘩ふっかけて回るよりも、俺らは特訓を積もう。」
颯馬が真白に言う。
「そうだなぁ、そうだね。」
真白も納得したように呟く。
卓、歩夢、玲王も納得したように頷く。
「……嘘や…」
ただひとり、久尾雨は最後の向井と目黒に与えられた傷を押えながら呟く。
「は?負けを認めろよ。お前はこーじに負けた。」
目黒が久尾雨を睨みつけて言う。
だが、久尾雨は呆然と目黒の腕の中で眠る向井を見る。
「こーじが、俺に勝てるわけないやん…!!」
「てめぇ…!!」
「めめ、落ち着いて…!」
また手が出そうになる目黒を阿部が止める。
「めめ、大丈夫。ふたりを見ればわかるよ。」
深澤も目黒と向井を交互に眺めて言う。
「めめも、こーじも、逃げないで頑張ったんだよね。」
深澤が柔らかく微笑む。
「ふっかの言う通りだよ。」
岩本も静かに頷く。
「久尾雨。俺らは負けたんだ。いい加減にしろ。」
颯馬が久尾雨に注意をする。
「そんなん、ありえん…!!こーじは、怖がりで、俺から逃げてたやん!?なんで勝てなかったん!?」
久尾雨は息を荒らげながら叫ぶ。
「そうや!!あんたが来たからや!俺とこーじの戦いやったのに!なんで颯馬はんはあいつに負けとんの!?副ボスの意地でも見せろや!いや、違う!!そもそもそこのグラサン男が変なルール作るからやろ!?俺はあのルールに反対やったのに!!」
久尾雨はどうしても負けを認めたくないようで、向井を助けに来た目黒、目黒に負けた颯馬、そもそもルールを作った深澤を責め立てる。
「……んぅ…?」
久尾雨の大声によって起こされたのだろうか。
向井が目を開ける。
「…っ!こーじ…..!」
目黒がすぐに反応する。
「こーじ…!!!」
久尾雨も向井に気づく。
「久尾雨、くん…」
向井は、真っ直ぐに久尾雨の顔を見る。
再会をした時、目黒の背中に隠れて震えていた向井はいない。
「俺の、、”俺ら”の勝ちやろ…?」
怒りに顔を歪ませる久尾雨を前にして、強気な笑みを浮かべた。
「…っ…!なんや、ソレ…」
久尾雨はそんな向井を見て、泣きそうな顔になる。
「なんで、変わってしまったんやろ…」
久尾雨は、弱い向井に執着していた。小動物のようにか弱く震えている向井が。
なのに、変わってしまったら…
「俺は、変わってないで?」
向井はそんな久尾雨の心を読んだかのように言葉を紡ぐ。
「俺は、なんも変わっとらん。弱いままや。俺は、ひとりじゃ勝てんかった。」
ゆっくりと心配そうに向井を見つめる目黒に微笑んで
「俺は変わっとらん。周りに助けてくれる人が増えただけや。」
久尾雨にはっきりと言う。
「そうか。そうやな。こーじはなんも変わっとらん。」
久尾雨はゆっくりと目を閉じて、向井と一緒に任務をしていた頃を振り返る。
(その笑い方も変わっとらん。弱いところも変わっとらん。ただ、人に恵まれただけなんやな…)
ようやく、久尾雨は納得したように
「帰ろーや」
と、背を向ける。
その後を歩夢、卓、と続いていく。
最後に真白と颯馬が残り、
「ま、今回みたいに合同訓練したくなったら言ってね。」
笑顔で真白はあくまでこれは訓練と言う。
「助けが必要になったら、俺らも協力するよ。」
颯馬はSnow Manに協力してくれるようだ。
ふたりも帰り、
「やっと、終わったー!」
佐久間が耐えきれずに床に転がる。
「もー、汚いよ?」
阿部が佐久間の手を取り起き上がらせる。
「帰ろっか。」
深澤が笑顔で呟く。
Snow Manは、強敵dominatorに圧勝したのだ。
数日後
Royal cafe
メンバーはここ数日間、任務が入らない代わりに回復に徹底していた。
「こーじの怪我もだいぶ良くなってきたし、そろそろ任務が来るかもね。」
今日はメンバーの回復具合を確認するために、ここに集まっていた。
岩本の言う通り、かなり酷かった向井の傷は目黒の回復とメンバーのサポートがあり、かなり良くなっていた。
「ほんまにありがとうなぁ。特にめめ。めめがいなかったら、俺死んどったかもしらん。めめも危ない状態だったのになぁ…」
向井が少し申し訳なさそうな顔を目黒に向ける。
「言ったじゃん。なんかあったらすぐ助けるって。」
そんな向井に目黒は優しく微笑む。
「…っ!///」
(今の笑顔…惚れてまうやん…!!)
目黒の破壊力が凄まじい笑顔に向井は顔を赤くする。
そう、向井は目黒に恋をしているのだ。
いつも目黒に絡むのは、好きだから。
目黒と相棒でいることを選んだのは、好きだから。
今目黒のほほえみを見て気絶寸前なのも好きだからだ。
だが、
(まぁ、めめはそれが通常運転やしな…)
目黒は誰にでも同じような対応をする。
弱い者は守ろうとする。
目黒を隣で見てきた向井は、そう知っている。
少し切なげな表情を浮かべる向井に誰かが気づくことはなかった。
カランカランッ
「…?」
突如、店の扉が開く音がした。
この時間帯はSnow Manが集まる時間帯。
客など来るはずがない…
「Royal cafeって、ここで合ってるかな?」
「…っ!?」
店に入ってきたのは、190あるであろう、背が高く、モデルのような立ち方をし、ハーフなのだろうか、美しい顔立ちをした男が入ってきた。
その男は、1枚の手紙を持っていた。
「…え?」
遅れて声がようやく口から出る。
「その手紙…」
阿部が鋭い瞳で男の手にある手紙を指摘する。
「あぁ、これ?実は俺もよくわかんなくてさ…急にここに来いとだけ言われて。君たちが何か知ってると思ったんだけど…」
どうやら、彼の方も戸惑っているようだ。
「この感じ、さ?」
「もしかして…」
そんな彼の様子が最初に自分たちが呼び出された状況ととても似ている。
「君が”9人目”ってことね。」
8人の思ったことを深澤が代表して言う。
「多分。元々は同時に会う予定だったんだと思う。でも、俺パリに居たからさ…」
「パリっ!?」
佐久間、向井、渡辺、深澤が声をあげる。
「日本に来るまで時間がかかるって、そういう事か…」
一方で他4人はあまり驚いている様子はない。
「あー。確かにそんなこと言ってたな…」
宮舘の発言で納得する4人。
「みんなは、結構長く一緒にいるんだよね?」
「まぁね。でも安心しなよ。俺は深澤辰哉。ふっかって呼んでよ。これからよろしくな。」
少し心配そうにしているのか、自分が水を差しているのではないかと、不安そうな彼を安心させるように深澤が手を差し出す。
「…ぁ…俺は、ラウール、です。」
自分が名乗ってないことを思い出した彼は、名前を言う。
「…….ぇ…?」
今度は、渡辺、目黒を抜いて固まる。
「ラウールって!あの!?」
「え?おいおい!!嘘だろ!?」
一気に騒ぎ出すメンバー。
ラウール。
表では、誰もが知るようなパリコレモデルだ。
「え?じゃあ、翔太はアンバサダーの仕事で何回も共演してるし、蓮はプライベートで仲良いってこと?」
佐久間が戸惑いながら確認する。
渡辺と目黒が驚かなかった理由はそのようだ。
「俺もびっくりしたよ。でも、めめがいてちょっと安心かも。」
ラウールは特に目黒と仲がいいようで、少し安心できたようだ。
「っていうかさ、冷静に翔太もすごいよね。」
阿部が改めて渡辺を見て呟く。
「人気美容アンバサダーだもんな。」
佐久間も共感。
「実はな…俺、しょっぴーのファンなんよ!!」
ここぞとばかりに向井が渡辺のファンであることを明かしてみたり。
「まぁな。」
渡辺も自分が褒められているという状況にご満足のようだ。
「とりあえず、俺らの紹介は終わったからさ、ラウの能力も教えてよ。」
深澤の言う通り8人の説明は終わったため、次はラウールの番だ。
「そうだね。俺はミサイル使い。能力がミサイル。具体的にはね、俺の周りに浮遊するナノサイズのミサイルコンテナから任意のタイプを取り出して使うよ。攻撃型、移動用、陽動、妨害型…色んなのがある。小さなドローンにも偽装して飛ばすことも可能だから、結構役に立てると思う。」
自分の能力を伝え終えたラウール。
「結構強いな。」
渡辺が呟く。
「サポートも攻撃も防御も移動も詮索も可能…ふっかとちょっと似てんね。」
岩本も興味深げにそんなことを口にする。
「いっぱい頑張るから、これからよろしくね!」
ラウールは最後に無邪気な笑顔で笑う。
Snow Manは9人体制と新しくなった。
……
深澤はひとり、暗い廊下を歩いていた。
コンコン
扉を軽く叩き、部屋に入る。
「失礼します。」
深澤の目線の先にいるのは、仮面と深く黒いフードを被り、顔が一切見えない男。体格の良さから何とか男と認識できる。
その男は扉の前に立つ深澤に手招きをし、自分の膝を軽く叩く。
「!」
深澤はフードの男に近づき、おずおずと頭を男の膝に預ける。
すると、男は満足そうにほほえみ、ようやく口を開く。
「最近、Snow Manはとてもいい調子だね。素晴らしいよ。」
その声は、カフェの停電とともに現れる謎の声と同じだった。
「ありがとうございます」
深澤がゆっくりと顔を起こし、フードの男に恍惚とした表情を向ける。
「きっと、ふっかがチームを率先して引っ張ってるからなんだろうね。」
男は優しく微笑みながら、深澤の頭に、そっと左手を添える。そして、優しく撫で始める。
「…ん…」
深澤はきゅっと目を瞑る。
「ふっか、こっちを向いて」
男に言われた通りに、深澤は蕩けた瞳で男に顔を向ける。
「そう、いい子だ。」
「…ふへへ…」
再び頭を撫でられる深澤は、まるで飼い主に手懐けられている猫のようだ。
こんな深澤をメンバーが見たら、とても驚くだろう。
普段しっかりしていて、岩本にすら甘えることがない深澤が、まるで猫のように甘え、撫でられるだけで瞳がとろける。
「dominatorと対決をしたんだって?」
「….んぅ…ふぇ…?」
「圧勝だったみたいだね、さすがだ。」
「…んふふ….」
「ラウールとは仲良くできそうかい?」
「….ふぁ…はぁい…なかよくできまーす…」
今の深澤に大人っぽさは一切ない。
甘える小さい子供のような、飼い慣らされてる猫のような…
そんな深澤を満足そうに、
「これからも、Snow Manには期待してるよ。ふっかには特にね。」
「俺には、特に…?」
目を細めながら深澤を見つめる男。
「現代では数少ない式神使い。そして、あの伝説の大烏さえ味方につけている。ふっかは私にとっての宝だ。」
「宝…俺が…」
深澤は、少しだけ目を伏せ、一瞬だけ苦しそうな表情を見せる。メンバーにも隠している顔がここでは隠せなくなっている。
「ふっか。」
男はそんな深澤の表情を見逃さない。
深澤の頬を両手で包み、先程以上に優しい声色で
「君は私の特別だ。」
深澤にただ一言告げる。
まるで、洗脳をされたかのように深澤の動きが一瞬止まる。
すぐに動きを取り戻し、深澤は頬を紅潮させる。
「”ボス”に、良い知らせを送れるように頑張ります。」
最後に笑顔で告げ、深澤は部屋を後にする。
「あと、少しかな…」
深澤が部屋を去った後、フードの男が何かを待ちわびているような声でつぶやく。
「楽しみだなぁ…」
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