私のルーティーンはまず着替えたあとにお母さんの様子を見に行く事。そして今日も起きなかったと思いながらロア達と一緒にお母さんに服を着せる。お母さんはあのときからずっと寝ていて、腕や足も筋肉が衰えて病人のようになっている。ほぼ、病人だけど。幸いな事に点滴とかそんなのをしなくても何故か血相も変えずに生きていることだ。逆に何で生きてるの?しかも、お母さんは息はしてても他の動作は一切しない。本当に不思議だ。私はお母さんに服を着せたあと、一階に行き朝食をとる。私は隣に居たロマに問う。
「私のお父さんって、」
「お嬢様は考えないでいイ……でス。」
いや、まだ私最後まで言ってない。てか、それよりもいつも無口なロマが答えてくれた事に驚きだ。ロマはロアやロナよりも謎な存在。結構ちゃっかりしてて、マイペースな娘である。見た目はロアとロナもそうだけど普通の人間の女性と変わらない。でも唯一ロマはロアとロナに比べて幼い……と言うかこのドールの体作った人の性癖がよく分かる。ロアとロナよりも背が低くてぺちゃパイ。髪は若草色でロリっk
「お嬢様のお父さん何て知らなくていイ……でス。きっト、お母さんの方がいイ……のでス。」
おっふ。どしたー??ロマどしたー??何故にそんなに喋るし?
「私まだ何も言ってない。」
「察シ……でス。」
ならば、……なら……はい。言おうとしてたことは殆どそれです、はい。
「とにかク、考えないこト……でス。」
「……分かった…?」
何かよく分からないけどまあいい事としよう、そうしよう。私のご父上は保留として、後は……
「じゃあ、他の親戚は、」
「いイ…でス。考えなくテ。」
普段表情を変えないロマが眉を細め訴える。と言うか私は初めてロマの表情を動かせることを知った。だって、ロアもロナも人形の体だし動かせないもんだと思いこんでいた。てことは元々ロマ達は無表情が素面なのだろう。でもそんなロマが今悲しそうな顔をしている。それが凄くショックで同時に後悔があった。ロマが拒否をしているのにごり押ししたこと。そして、ロマの嫌な気持ちで居る事を気付けなかったことに。
「……ごめんねロマ。もう言わない。」
「大丈ブ……でス。」
その大丈夫、と言う言葉がどれだけ私の脳内で回ったことか。大丈夫、と言う事はもう少しで大丈夫じゃなくなっていた、と、受け取っていいからだ。ロマの何があったのかはわからないし聞かないけど、多分そこまで私のお父さんを嫌っているのは私のお父さんが、じゃなくて過去に多分何かが…。私は考えないことにした。きっと、答えを出しても私やロマのモヤモヤがなくなるわけではないから。
私はその夜、自室に入って考える。転生して約5年。もう異世界生活には慣れた。でも、何だろうか。違和感を覚えるのは。まずおかしいと思ったのはお母さんが眠った直後。私はお母さんというかけがいのない存在が謎の眠りにつくという普通からしたら涙者の場面で私は涙を流さなかった。そして何よりも思考。私は鏡を覗き込む。そこには年相応の活発で頬の赤いハキハキした少女の姿は無く、病人とまでは言わないが白い肌にそれを覆いかぶせるような漆黒のストレートな髪。瞳はお母さん譲りの紫目だが、深淵のような深みのある目。顔はそばかすや傷一つも無い綺麗な肌。そして、無表情な顔。多分、無表情なのは私の瞳や黒髪の髪の長さも関係していると思うが何を考えているか分からない無表情。私でも何だか分からなくなる。自分の事なのにね。それにお母さんに比べて沢山喋らないもんだからミステリアス&クールに磨きがかかっている。でもその無表情っぽさも相まって何だか神秘的だ。何か白いドレス着てジッとしとけば中々様になるんじゃないかな?ジッとしとけば。え?ジッとしてろよって?やーだねーだ!てことで私の姿が様になる日は来ないことが分かりましたね。で、最初の話に戻るけど、私は前世こんな無表情キャラじゃなかった。いや、無表情キャラだったけど、それは無口が関係しているだけでちょっと違った。いや、それでもそれっぽかったけど。つまり!私が言いたいのは、
「私はこんな表情筋を動かせない人じゃ無かったってこと。」
おかしい。いや、これだけならふーん、で、済んだけど何だか感覚が違うんだよね。だって、前世身近な人だったら家族と友達四人だけだったし。それに、さっきのロマの事もそう。私は簡単にスラスラ言葉は出てこない。何故だろう。良いことなんだけどさ。あ、因みにこの心の中の感じは今まで通り変わらないからね。それでも…これは…。何だか私が私じゃなくなっていくみたい。私はベッドにダイブしうつ伏せになる。そしてノートを取り出しページをめくる。そこには前世の知識や、これからやくに立ちそうな事などをかきこんである。でもここには一つないものがある。それは、
「前世の、名前。」
__開章、星1
皆木星奈はクラスのアイドルだった。気が利いて、スポーツ万能、テストは一番、顔やスタイルもいいし、性格も良かった。そんな星奈は皆から皆星と呼ばれ親しまれていた。それは私も一緒。こんな地味であんまり目立たない私ですら気にかけてくれるんだから。でもそんなとき彼女は現れた。中学生になって色んな学校からやって来る生徒達。その中に一人だけ静かに歩く。黒髪黒目で身長は低め。綺麗な、と言う言葉では表せられないほどに整った顔立ちの少女。そんな彼女が入ってきた。
「それでは自己紹介を始めます。えっ〜と?最初は天崎さ〜ん?」
「は、はひ!」
自己紹介が始まる。初っ端から噛むというドジを見せても皆して爆笑する事から悪いクラスでは無さそうだ。そんな自己紹介の途中、彼女、皆星の番がくる。
「はい!私の名前は皆木星奈って、言って皆星って、言われてます!それで、えっと、えっと、あ!好きなシチューの具ランキングの3位はお肉で2位はじゃがいも!そして一位は、星型に切り抜いたにんじんです!」
これまた濃い自己紹介だ。クラスがドッと笑いに包まれる。如何にも彼女らしい。そして私達は最後の彼女に目を向ける。彼女は席から立ち……無言。彼女は表情が表にあんまりでないので何を考えているか分からない。彼女はスッーと息を呑み口を開く。
「___です。A中学校から来ました。」
彼女は喋る。でも、最初の名前の方が小さすぎて聞こえなかったが喋った。多分、私の中で喋らないと思い込んで居ただからだろうか?なんだかまだあって間もないのにしんせんな気分。こうして自己紹介は幕を閉じた。
コメント
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ものすごく面白かったです!
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