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「やっと着いた……!私たちの居場所に!」
拓海とルバークとガルーシアは険しい道を辿り、ようやく獣人の国まで来ることができた。
獣人の国はメサ(上面が平らで、周囲が切り立った急崖に囲まれた台地状の地形)に囲まれた場所にあった。
ルバークは酷く疲れていた。拓海が歩ける場所は拓海も歩いて移動していたが、流石に二人担いで移動するのは過酷だったようだ。しかし、顔色はいつもと変わらず清々しくしている。それにちゃんと装備も着ている。
「ありがとうございました、後は私たちだけで充分です。それでは」
「うむ、気をつけてな!」
「お大事にぃ!」
ガルーシア達はそそくさと去っていった。
「なんだか慌ててるような……」
「……ルバーク、早く帰ろう」
周りを見ると、獣人の拓海たちを見る目は歓迎されていなかった。鋭く睨んでいる獣人や、怯えてその場を直に去ろうとする獣人がいた。
日本人の空気の読む力が、拓海に自分達がここに居てはいけないと感じさせた。
「……そうだ!タクミにこの世界がどんなものか教えてやろう!タクミ!ついて来い!」
「えぇ!?ちょっ、ルバーク!?」
すると、ルバークが前から走ってきた子供とぶつかってしまった。
「すまない!大丈夫か?」
「……」
子供は何も言わずに去っていった。
「元気そうでなによりだ!タクミ、あそこの肉が旨いんだ!奢ってやろう!」
「駄目だってルバーク!!」
拓海は小声で言ったのが悪かったのか、ルバークには聞こえてないようだった。どこにいても鋭い視線が拓海たちに浴びせられている。
ルバークは道の端にずらりと並んでいる1つ屋台に向かった。
「すまない、それを2つ買おう」
「……20」
ルバークは懐から何かを取り出そうとしている。
「あれ?おかしいな、すまない、貨幣袋を無くしてしまったみたいだ」
「ならさっさと失せな」
(もしかして、あの時か……!?)
拓海はさっき子供とぶつかった時を思い出した。本当にこの国では人間の扱いが酷い。元は人間が原因だろうけど。
そうしてルバークは愛想のない店を後にした。
「ルバーク、もう帰ろう!」
「タクミ、すまなかった。もっとタクミに楽しんで欲しかったのが──」
「ここで人間が何をしている」
振り返ると人の姿をしたヤマアラシのような女性が向かってきていた。その後ろには大勢の獣人がいた。
これは嫌な感じがする。
「さっき、怪我をした仲間が3人やって来た、それも人間とこの国に。……お前らがなにかやったんだろ」
その人は怒りが溢れていた声で言った。すぐさまルバークは誤解を解こうと話始める。
「誤解だ、私たちは奴隷商人に連れて行かれた獣人を助けてここに来たんだ」
「確かに拘束された跡があったが、それを信じろと?」
その人の怒りが更に高まった。奴隷商人という言葉がタブーだったようだ。
「彼らの代わりに私が謝ろう。すまなかった。君たちの気が済むなら私たちは国を出よう」
「は?なに逃げようとしてんだよ?まだ話は終わってねぇんだよ!!」
その女性が今にでも殴り掛かりそうな瞬間、2人が叫んだ。
「やめてください!!」
「やめろ!!」
拓海が声がする方を見た。そこにはガルーシアがいた。その場にいた全員がガルーシアに視線を集める。
「彼らは悪い人じゃないです!だから……やめてください!」
女性はガルーシアの方に向かい威圧する。
「お前、まさか人間がどんな理由でわしらに何をしたか忘れたわけじゃないよな?なのに人間を庇うのか?また屈辱を味わいたいのか?」
「ユーフュリカさん……違っ……!」
「やめろ!!!」
怯えるガルーシアを見て、拓海は耐えられずにもう一度叫んだ。今度は拓海に視線が集まる。
「こんな事してもなにも変わらないだろ!!仲間同士争う事だって……!」
「なに部外者みたいな面してんだよ!これはお前ら人間とわしらが片付けないといけない問題だろうが!?」
その時、拓海は今まで心に閉まっておいた気持ちが火山のように爆発した。
「片付けないといけない問題なんて他にもあるだろ!?俺は別の世界から来た!なんでかって?知るわけないだろ!この世界から来た魔王が俺たちの世界をぶち壊してきたんだ!誰のせいで?あんた達がいつまで経ってもそうやって争ってるから俺たちに火の粉が降りかかったんだろ!もしあんたらが魔王を倒していれば俺たちの平和が無くなることはなかった、はた迷惑なんだよ!!はぁはぁ……お前らの問題を全部押し付けてくるなよ」
俺は別の世界から来たからこの世界の問題は関係ないと言いたい。でも、魔王が来てこの世界の問題だけじゃ無くなった。そして巻き込まれてここにいる。頭がぐちゃぐちゃになってる。
その場が静寂に包まれる。胸が苦しい。なぜか顔を上げられない。
ルバークの防具が擦れる音が聞こえて拓海はその場から走り出した。そして、いつの間にか誰もいない住宅街にいた。 橋の下を川が小さな滝をつくって流れている。
「こんな場所で、なにをしてるの?」
拓海が橋の上から川を眺めていると、フードを被った人に声をかけられた。
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