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仕事場に入ると、数人の役員が慌ただしく動いていて、ほかの役員はぐーだらして、酷くいと寝ている。すると、特に仲が良かった瑠実に話しかけられた。
「あ、望…!お前は無事なのか…!」
「無事って…一体何が起こってるんだよ…」
「本当に緊急事態なんだ。世界は今、夢を見ているんだ…!」
「…え…?どういうこと?」
「…人々は夢を見てる。仕事、掃除、納税…そんなのいらないっていう夢を見てる。だから、掃除もしないし、働きもしない。」
「…え…」
「どうしてそうなってしまったのかは分からないけど、緊急事態なのはたしかなんだ。」
「なるほど…でも、一体どうやって夢を覚ますの?」
「…それが分からないから苦労してるんだ。」
想像以上に危ない状態で、先も真っ暗なようだ。瑠実とその場から加わった数人の議員と議論していたら、いつのまにか外は夕暮れになっていた。西の空には晴天が見えるが、東の空には黒い雲しか見えない。
瑠実が声を上げた。
「あと30分で、今日は解散にしよう。」
「そうだな。」
「それで…一体何が原因なんだ…」
「昨日から、人々が遊び狂った以外の違いはなんだ…」
「…霧が濃い気がする。」
「回線が遅い…」
「スカイツリーから煙が出ている。」
「うーん、霧が濃いのは何か関係がありそうだが、後の二つは管理されていないからなのでは…」
「なるほど…」
「霧が濃い理由を、考えてみるか…?」
「そうだな。考えることを片っ端から調べていこう。」
「それじゃあ、今日はここで解散にするか。」
「上司もいないから、仕事時間の概念がないな…」
「ホントだよ…」
「それじゃ、終わりにしよう。」
『ありがとうございました。』
一日中の会議は終わり、まずどうやって調べるかを決め、帰ろうとしたが、そう甘くはなかった。
「まって、瑠実…」
「え、どうした?」
「おれの家ってどこだっけ…」
「…え?」
そういえば、何も覚えていない。自分の家、自分の選挙結果…。忘れていた。空は未だに曇天だ。
「つまり、仕事を始めた時だけの記憶はあるが、そこからの記憶がなくなった、ということか…」
「そうみたいだな…」
「取り敢えず、今日は俺の家に泊まってけ。」
「おう…ありがとな、瑠実。」
曇天の空を西に向かい、瑠実の家へ向かう。道中のコンビニには店員はいないし、夕方の曇天に電気は働いていない。
「ついたぜ。」
「本当にありがとな。」
「んじゃあ、少しでも記憶のかけらがあったら、言えよ。」
「わかった。」
おしゃれな靴が豊富にあり、絵もたくさんあった。緑色のLEDに整理された棚。バーのような雰囲気だった。その時だった。
「…っ!!!」
「…望、どうした」
「…何かが…」
「記憶が…!?でも、一体何が…?