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鬼頭楓 十四歳
俺は姉ちゃんの作戦を伝えるべく、急いで蓮達の元に向かった。
蓮を筆頭に、何とか沼御前の髪の毛と尻尾の攻撃を避けている状態で、大介なんて既にボロボロの姿になっている。
「蓮!!!」
俺は蓮の名前を呼びながら、隣に着地すると蓮は少し驚きながら声をかけてきた。
「坊ちゃん!!?どうして、ここに…、お嬢は!?」
「姉ちゃんから伝言。沼御前の気を引いて欲しいって」
「お嬢が…」
蓮は姉ちゃんの居る方向を見つめると、アンに跨りながら沼御前の背後まで移動してる姿が見えた。
暫く考え込んだ後、蓮は納得したような表情を浮かべ口を開く。
「成る程…。お嬢“アレ”を使う気ですね」
「アレ?アレって、何だよ」
「坊ちゃんは、お嬢の作戦を二人に伝えて下さい。僕は少しでも、沼御前の体力を消耗させます」
「あっ、おい!!!」
タンッ!!!
そう言って、蓮は俺の問い掛けに答えないまま沼御前の尻尾に飛び乗った。
タタタタタタタタタッ!!!
シュシュシュシュッ!!!
そのまま全速力で走り、降り注ぐ髪の毛攻撃を避けて、振り下ろされた尻尾を刀で斬り付ける。
ブンッ!!!
ブシャアアアアアアッ!!!
斬られた尻尾から勢いよく緑色の血が噴き出し、沼御前の体が大きく揺れる。
「ギヤアアアアアアア!!!!」
「さっきまでの威勢はどうした?お嬢の義足を壊したんだ、それなりの覚悟があったんだろうな」
カチャッ!!!
バンバンバンッ!!!
妖銃を構えた蓮は髪の毛と尻尾の隙間を狙い、沼御前本体に向かって引き金を引く。
ブシャアアアアアア!!!
放たれた弾丸は隙を通り、沼御前に右肩を貫通し血が噴き出す。
貫通した部分に大きな穴が開き、血が糸を引きながら傷口が裂けて行く。
「アイツ、隼人と大介の世話を俺に押し付けやがったな…」
そう言いながら、思わず蓮の戦い方を見てしまう。
やっぱり蓮は強い、それも物凄く。
妖刀と妖銃の使い所が上手く、沼御前の攻撃に合わせて、武器を走りながら変えている。
俺よりも歳が上で、経験の差があるの仕方がない。
走りながら武器を変えるなんて、そんな器用な事は俺には出来そうにない。
状況を見極め
早乙女隼人と前田大介を庇う必要になった蓮は、沼御前との戦いに専念出来ているのが分かる。
「おい!!早乙女隼人、前田大介!!!」
俺は二人を大声で呼んだ。
「「!?」」
俺の叫び声を聞いた二人が、驚きながら俺の方を視線を向ける。
「楓君!?あれ?聖ちゃんと一緒に居た筈じゃ?」
「おい、聖はどうした?置いて来たのか」
前田大介と早乙女隼人は真っ先に、姉ちゃんがいない事に気付き、気に掛けている言葉を吐く。
「姉ちゃんから伝言!!!沼御前の気を引いて欲しいって!!!」
「分かった。おい!大介、行くぞ!!!」
「えぇぇえ!!!?深く聞かないの!?わわわ!!!待てって!!」
早乙女隼人はそそくさに沼御前に向かって行き、その後を前田大介が追って行った。
「人間共が…っ、小癪な真似をしおってぇええええええ!!!!」
ブンブンブンッ!!!
沼御前は怒り狂いながら、徐に尻尾を振り回し始める。
さっきよりもスピードが落ちた、今が沼御前を弱らせる良いタイミングだ。
ズシャッ!!!
シュシュシュシュッ!!!
俺は避けつつ、向かって来た尻尾を斬り刻み、右頬に沼御前の髪の毛の攻撃が掠れたが、構わず攻撃を続ける。
「グアアアアアアアッ!!!」
「おっとっ」
ビチャッ。
地面が沼御前の血で濡れ、粘り気がある所為で滑りそうになる。
「はぁ、はぁ…っ」
これだけ傷付けても、沼御前の体力があ落ちる気配がない。
荒くなった息を整えながら、周りを見ると早乙女と前田大介も擦り傷だらけだった。
地面に落ちた沼御前の流した血液の量を見れば、俺達がどれだけ傷付けたのか分かる。
コンクリートがドス黒い緑色に染まり、腐敗臭の匂いが充満していて、今にも吐きそうだ。
「はぁ、はぁ…っ。やっと、沼御前に尻尾が一本になった…。マジで、何なの!?体力お化けみたいになってんだけど!?弐級の妖怪じゃないでしょ」
「口を動かす前に、手を動かせ大介。無駄に体力が消耗するぞ」
「こんなの相手にしてたら、話したくもなるって。ちょっとくらい良いじゃんかよー」
前田大介は額の汗を拭いながら、隣にいる早乙女隼人に声をかけていた。
このままじゃ、俺達の体力を無駄に削られて行くだけだけど…。
そう思いながら蓮のいる方を見つめると、俺が想像していた通りの光景が広がっている。
言うまでもない、蓮の独壇場だった。
尻尾や血液の攻撃を身軽に避け、風の勢いを体に預け刀を一心不乱に振い、涼しい顔をして攻撃を繰り返していた。
ボンッ!!!
蓮の前に白い煙が立ちこみ、煙が晴れて現れたのは蓮の式神であるハクだった。
「キイエエエエエエエエエ!!!」
ビュンッ!!!
沼御前は奇声を上げながら、蓮とハクに向かって尻尾と髪を同時に振り翳すが、あの二人にその程度の攻撃が当たる筈がない。
「小賢しい。蓮、奴、姫の義足を破壊した罪がある。頭を叩き潰しに行くぞ」
「全く、ハクはお嬢の事になると口調が乱暴になるなぁ…」
「さっさと乗れ、馬鹿のうる覚えのように避けるのか」
「分かりましたよ。ハクさん」
困った笑みを浮かべながら蓮は、ハクの背中に乗り、一気に沼御前との距離を詰めて行く。
タタタタタタタタタタッ!!!
攻撃が単調になった沼御前は蓮達を完全にとらえきれず、簡単に至近距離を許してしまった。
「はぁっ、はぁっ…。な、何なんだっ、お前等は!!!何故、邪魔をするのだ!?」
「理由を言わなけらば、お前は理解出来ないのか?本当に頭の悪い生き物だな、貴様等は」
「何だと!?狐如きが調子に乗るな!!!」
シュシュシュシュッ!!!
ブンッ!!!
怒りの表情に満ちた沼御前は、ハクに髪の毛を細い束上にして放つが、ハクが大振りに尻尾を振って跳ね飛ばす。
「ガードが下がってんぜ、沼御前!!!」
「なっ!?グハッ!!?」
ハクに気が取られていた沼御前は、早乙女隼人が近付いていた事に気付かず、鳩尾に拳を捻り込まれる。
ゴキゴキッ!!!
ザバァァァーンッ!!!
骨の折れる音が聞こえ、血を吐きながら沼御前の体が後ろに倒れ、その衝撃で湖の水が漏れ出す。
「「ワァオオオン!!!」」
二匹の狼の遠吠えが聞こえ、上を見上げると姉ちゃんの式神である狼が沼御前の上を横切った。
もしかして、あれが合図か!!!
「姉ちゃんからの合図だ!!!三人共、すぐに沼御前から離れろ!!!」
「「「了解」」」
俺の言葉を聞いた三人も、すぐに沼御前から離れて様子を伺っている時だった。
ヒャッと肌に冷たい感触を感じ、さっきまでの戦いで出来た熱気が一気に冷めて行く。
今までと空気が違う…。
この涼しげだけど、何処か怖さを感じる静けさは何だ…。
俺は姉ちゃんの方を見ると、つい息を呑んでしまう姿だった。
「!?」
ボタボタボタ…。
そこには、右腕から大量の血を流している姉ちゃんがあった。
***
御子柴聖 十七歳
楓達が沼御前と戦っている中、あたしは移動しながら阿修羅王と話ていた。
『我の力を使う時に、対価を支払わなければならない』
「対価?何を差し出せば良いの?」
神の力を無償で借りる事は、無理な話だって誰にでも分かる。
「今すぐに差し出せる物だったら、ありがたいんだけど…」
『神と人間が平等な立場を与える為、許せ。主人の血液を、我赤札に染み込ませろ』
「血液を?それだけで良いの?」
阿修羅王の思いがけない提案を聞いて、思わず拍子抜けしてしまう。
赤札を使う時は、自分の血液を赤札に垂らせば良いんだよね?
どれぐらい出せば良いんだろう…。
確か克也さんが、赤札の使用方法を言ってたような…。
***
数ヶ月前に時は遡るー
道場で克也さんと二人で休憩をしていた時、周囲に人が居ない事を確認してから、克也さんは話出す。
「聖様、赤札の使用する為に必要な工程があります」
「儀式みたいな感じのものですか?」」
「血を赤札に流した分だけ神が答えてくれます。対価を支払わなければなりません」
「その対価が…血って事?」
赤札を使う時に指を切って、血を出せば良いって事なのかな?
「はい。血液は自分の体の中で巡っているもの。つまりは、巡りを神に差し出すんです」
***
克也さんの言葉も思い出しながら、蓮達に視線を向ける。
阿修羅王はあたしに力を貸してくれる為に、赤札の姿になって来てくれた。
隼人も大介も楓も傷だらけになって、あたしの為に時間を稼いでいてくれる。
蓮も…。
あたしは近くにあった義足の破片を取り、右腕の袖を捲った。
ズシャッ!!!
破片を迷わず右腕を破片で、深く切り付けて血液を大量に出す為に傷口を抉る。
ボンボンッ!!!
白い煙が立ちこみ、勢いよく煙の中から飛び出しえ来たのは、あたしの式神のクロとシロだった。
「「主人!!!何をしているのですか!!!?」」
「心配して出てきたの?ふっ、大丈夫…っ、こんな事は大した事じゃないよ」
あたしの言葉を聞いたクロとシロは、耳をペシャンと下げて心配そうに見つめる。
ポタッ。
ヒゥゥゥゥ…。
ドクドクと脈を打ちながら血が流れ落ち、冷たい冷気のような風が体を包み込む。
「シロ、クロ。皆んなに合図して」
「「御意」」
タタタタタタタタタタッ!!!
そう言って、シロとクロは沼御前のいる方に向かって行った。
赤札を取り出し、たっぷりと血を染み込ませ目を瞑る。
『主人よ、まもなく幕が上がる。我を呼べ、我を解き放って見せろ』
姿が見えなくても、阿修羅王があたしの背中にいる事が、太陽のような暖かさを感じるから分かる。
阿修羅王に促されながら、ゆっくりと瞼を開けて呟く。
「式神血晶 ”赤式蘭門“」
一気に空と月が真っ赤に染まり風や木、水の音さえも聞こえなくなった。
ドンッと大きな音を立てて、真っ赤な扉が現れた時、背後から声を掛けられる。
「お嬢!!!」
「蓮!!?どうして、ここに…?」
汗だくの蓮が走って来るのが見え、側に来た蓮は目を見開きながら口を開く。
「坊ちゃんからっ、お嬢の居場所を聞いて…っ。その傷は…!?ちょっと、失礼します」
ビリ!!!
蓮は右腕の傷を見て、自分の服を破り腕に巻いてくれた。
「怪我は大した事ないの、赤札を使う時に必要な事だったから」
「この異様な空気は赤札を使用したから…、と言う事ですね」
「初めて使ったから、どうなるか分からないけど…」
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
蓮と話ていると、どこからか鐘の鳴る音が聞こえ、ゆっくりと赤い扉が開かれる。
キィィィ…。
「もしかして…、あれが阿修羅王…」
神々しい光を放ちながら現れた修羅王を見て、蓮は驚きながら呟く。
「お前か我の主人を傷つけた者は?そこの小汚い女」
阿修羅王は穏やかな表情だったが、沼御前を見るやいなや、クルッと顔が回転し怒りの表情に変わる。
メラメラと阿修羅王の体に炎が燃え出し、その姿を見た沼御前の顔から血の気が引いて行った。
「な、な、な、何故!?阿修羅が此処に居るのじゃ!?神が、人間如きの為に降りて来たと?」
「人間如き?」
阿修羅王はそう言いながら、手を振り翳す。
シュシュシュシュ!!!
阿修羅王の周りから小さな時空の歪みが生まれ、歪みの中から現れた槍が一斉に沼御前に振りかざされた。
「こんなモノ!!!」
「誰が動いて良いと言った?」
「ひっ!?」
避けようとする沼御前を、阿修羅王は静かに静止させた。
「沼御前は何で、動かないのでしょうか。阿修羅王に言われても、動きそうなのに」
「違よ、蓮。ただ、静止させたんじゃない。沼御前は動かないんじゃない、動けないんだよ」
蓮と話しながら、湖の中に居る沼御前に視線を向けた。
圧倒的な恐怖と威圧感が、沼御前を襲って動けなくしている。
グサグサグサグサグサクザッ!!!
動けない沼御前の体に容赦なく槍が刺さり、手や尻尾、体の様々な部位に隙間なく注がれる。
「ギャァァァァァ!!!痛い痛い!!!」
湖の中は沼御前の血液色に染まって行く中、傷口がジュクジュクと音をしながら焼かれていた。
阿修羅王がクイっと指を軽く曲げると、沼御前の体が浮き阿修羅王の目の前まで移動する。
遠くから見ても分かる。
カタカタと沼御前は震え、その様子を顔色一つ変えないで見ている阿修羅王。
戦の神と称えられた阿修羅王は、戦場の中でも冷静さと冷酷さを無くさずに、武器を振るっていたのだろう。
「あれが…、お嬢に支えている阿修羅王」
蓮はそう言いながら、あたしの肩を抱き近くに寄せた。
「本当に神様なんだ…」
見た事が無かったから実感はしなかったけど、こうして目の前にすると神の力は凄い。
その光景を楓や隼人、大介も見ているのが見える。
あたし達は今、物凄い光景を目にしているんだと実感した。
「我が現れる前の威勢はどうした?もう、お前がこの世で話す事は出来なくなるぞ?最後に話さなくて良いのか?」
「や、やめろ…!!!」
「最後の言葉は、それで良いな?我が直々に、逝かせてやろう」
「やめろおおおおおおおお!!!!」
阿修羅王が「赤式蘭門」と呟くと、ブクブクと沼御前の体が膨れ上がる。
「や、痛い!痛い痛い痛い!!!いやああああああああ!!!」
ブシャアアアアアアッ!!!
膨れ上がった沼御前の体は、一瞬で弾け飛び、空からは血肉の雨が降り注いだ。
弾け飛んだ血が赤い花びらの様に散って行き、阿修羅王があたしと蓮の前に降りて来る。
静かにあたしと蓮は唾を飲み、阿修羅王を見つめていると阿修羅王が跪いた。
「主人の邪魔になる者は、早々に排除した」
「え…?」
「我は暫く眠る、必要になったら呼べ。良いな?主人」
「う、うん、分かった。ありがとう、阿修羅王。あたしの為に力を貸してくれて」
そう言と、阿修羅王は静かに笑って赤札に戻って行く。
あたしは赤い札を拾い上げると、空が晴れて行き、沼御前の気配が消え平穏が訪れた。
「姉ちゃん!!!」
「聖ちゃん!無事ー!?今の聖ちゃんがやったの!?」
「楓、隼人に大介!!!皆んな無事?」
あたしがそう言う、安心したのかと三人共、その場にへたり込む。
「な、何とかな…、今回はかなり厄介だったけどな…」
隼人は頭を掻きながら、溜め息混じりに呟いた。
「それよりもさっきのは…、聖ちゃんが!?聖ちゃんがやたんだよね?!あの凄い技は何!?」
大介が興奮気味にあたしに近付くと、楓は大介の首根っこを掴み投げ飛ばす。
「お前!姉ちゃんから離れろ!」
「グヘッ!!?痛いよ?!楓君!こっちは怪我人なんだけど!?」
「お前が変な事するからだろ!?」
「お前等…、少しは静かに出来ねぇのかよ…」
楓と大介の口喧嘩を隼人が止めていると、背後から声をかけられる。
「おーい!!お前達ー!生きてるか?」
振り返って見てみると、智也さんと総司さんがこっちに向かって来ていた。
「智也さんに総司さん!?どうして、ここに?」
「二人して、どうしたんですか?」
あたしと蓮は二人に尋ねると、智也さんが説明をしてくれる。
「どうしてって…。今回の初任務、かなりヤバかっただろー?刑事さんから連絡貰ってな?お迎えに来たわけですよ。総司にも急遽、来てもらったんだ」
そっか…、だから総司さんも居るのか。
「ほらほら!!!楓、早乙女に前田も行くぞ。総司に手当して貰え」
「怪我人を医療車にお連れして」
「かしこまりした」
総司さんの指示で、一緒に同行して来た看護師に三人は連れられ、医療車が停っている駐車場に向かって行った。
智也さんも楓達の怪我の具合をする為、医療者に向かって行ってしまった。
あたしと蓮、総司さんの三人が、現場に残ってしまっている。
「聖様。ちょっと、失礼しますね」
「えっ?」
あたしがそう言うと、総司さんが軽々とあたしを抱き上げた。
「総司さん!?」
「兄貴。僕がお嬢をお連れす…。」
「蓮も疲れてるだろ。俺がお連れするから。足は大丈夫ですか?腕の傷もかなり深い」
ジッと、あたしを見つめる総司さん。
こんな格好で見つめられれと恥ずかしい。
「は、はい。大丈夫です…」
「そう…ですか…。念の為に検査をしましょう。聖様は大切な人ですから心配です」
「え!?」
「!?」
総司さんはそう言うと、蓮を見て軽く笑う。
「さっ、行きますか」
「は、い…」
「……」
歩き出した総司さんの後を、蓮は気に入らなさそうに静かに歩いていた。
大切な人って…。
いやいや、総司さんの言った言葉に意味はないんだから!!!
だけど、何で蓮を見て言ったんだろう…。
瞼が重い…。
あたしは疑問に思いながら目を瞑った。
***
とある一室の部屋の中で、妖怪達は飾られた蝋燭を囲うように座っていた。
誰の息も掛からずに火が掻き消され、一人の鬼がガッカリしながら上を向く。
「あーあ、沼御前やられちゃったのかぁ」
「せっかく、大蛇様の血を頂いたのに…。役に立たずに死んだわね」
狐の女がクルクルと髪を弄りながら、火の消えた蝋燭を見つめる。
「まぁ、実験は成功したんだし。そろそろ、行動に移す時が来た」
そう言って、真ん中の席に座っている男は、不敵な笑みを浮かべた。