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#ハッピーエンド
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今レイブがしている労働の原因である魔神様が、偉そうに腕を組んだままで眺めながら言う。
『なあレイブ? お前がさ、そうやって火を熾すのは一体何故なんだ?』
おまっ…… それ、お前が聞いちゃうのかよ?
「え? これですか? ほら、俺達魔術師って生活魔法が使えないでしょ、だからこうやって火を熾すんですよ、ほらアスタさん、もうすぐ着きますよ」
うん、レイブは素直で良い子である、そろそろ良い男って年齢では有るけど、まあ良いヤツだな。
空気を読めないのか昔周囲から脳筋魔神とか言われてたヤツが言葉を続ける。
『いやいやいや、ギレスラに炎のブレス出して貰えば楽に燃やせるじゃんかっ! 何でわざわざ疲れるんだよ?』
だとさ…… 仕方が無い、レイブよ、愚か者に教えてくれるが良い。
「確かにそうですけどね、でも、新しい弟子が来た時なんかにまだ闘竜がいなかったら無理じゃないですか、それか幼い竜しか連れていない時とかですね、実際カタボラなんかはまだ氷のブレスしか出せないんですよ? だからこうして自分で火を熾す方法を忘れない様にですね…… ほら、着きましたよ♪」
『ふーん、なるほどなぁ~』
思い知ったか脳筋め! レイブ達はちゃんとしているのだ。
『だけどな、それ、無駄な労力だぞ?』
なぬっ? 何なのコイツ?
『だってお前の弟子たちって全員色つきだろ、魔力? 無垢の魔力みたいに透明だったら兎も角さ、色つきって事は濃度が濃い訳だよ、つまり質量、魔力の総量が多いんだからさぁ~』
ああ、そう言う事か…… 脳筋なりに教えてくれようとしている訳ね…… んじゃ、お手並み拝見だな。
「? 濃度ですか? 質量…… うーん、良く判りませんがぁ……」
だろうな…… この時代のニンゲンは生きる事に必死で頓着し捲りで、そんな風に求道的な事まで気が回っていないから仕方が無いことだろう。
レイブがとりわけ残念な訳ではないのだ、決してね!
『魔力が濃密だからこそ色になって見える訳だよ、まあそのせいで周囲の環境に与える影響が特性毎に特化してしまう訳なんだがな、生命力、つまり魔力が一般人より多い、質量が豊富な訳だよ、ここまでオケイか?』
「は、はあ…… ま、オケイ、ですかね」
『良し、それを踏まえた上でな、現象に影響を与える魔法やスキルってヤツは力な訳だ、力、つまる所フォースだな』
「ふぉーす、ですか?」
『うむフォースな、んで、その強さ、所謂効果効率ってヤツはさっきの質量による、おい、オケイか?』
学が無い、と言うより野生児が生き残るためだけの技術を覚えて来たに過ぎないレイブである。
自ら着火させた焚き火を前に、眉間に深い縦皺を刻み込みながら何とか答える。
「うーん…… ま、まあオケイ? で良いですぅ……」
随分怪しい答え方だったが、構わずにアスタロトの舌は尚更滑らかに動く。
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