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数日間、ノートは机の中に戻ってこなかった。
授業中も放課後も、美羽は何度も確かめたが、ページは沈黙のままだった。
( やっぱり、私が迷ったから、? )
胸が重くて、友達と話していても上の空になる。
そんなある日、蓮が図書室で声をかけてきた。
「 最近、元気ないな。 」
低く、落ち着いた声。目はまっすぐで少し心配そう。
( まるであのノートの言葉みたい.. )
一方で、陽向は廊下で明るく笑いながら声をかけてくれる。
〔 美羽、相変わらずぼーっとしてんな!でもそういうとこ可愛いけどな 〕
からかわれているのに、なぜか心臓が大きく跳ねた。
現実の2人と、姿を隠した日記の相手。
三つの気持ちに挟まれて、美羽の心は混乱していく。
その夜。
久しぶりに机を開けると、そこにノートが置かれていた。
ページを開いた瞬間、美羽は息をのむ。
_「 ごめん、しばらく距離を置いていた。
でも、君のことを忘れた訳じゃない。
ただ、君が誰を見てるのか…知りたかった 」
震える手でペンを握る。
_『 私はあなたをちゃんと見てる。
だから、消えないで。 』
ページを閉じながら、自分の心に問いかけた。
( 本当に “ 君 ” をみてる?それとも他の誰かを? )
答えはまだ出ないまま、夜が更けていった。