テラーノベル
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まだ前編を読んでいない方は、そちらから読むことをお勧めします。
今回けっこう短いです。センシティブも少なめかも。
ではスタート!
大学に通っていた頃から、節約のためにこのオンボロアパートに住んでいた。
振り返ってみれば、なんで俺はあんな人に必死に縋っていたんだろう。今となればあんな彼氏、こちらから願い下げだ。
ふう、と一呼吸おいてから、ドアノブに手を掛ける。鍵はかかっていなかった。戸締まりはした筈なので、きっと彼氏が開けたんだろう。
照に目配せしてドアノブを握る手に力をこめた。
古いドアの軋む音を立てながらゆっくり開いて中に入ると、案の定あの人がドタドタと出てきた。
「お前!帰ってくんの遅すぎんだろ!早くメシ作れよ!」
💚荷物を取りに来たの。もう別れるから。ご飯も作らない。
「はあ!?ふざけんなよ!今まで別れたくないって散々言ってただろ!?」
💚近所迷惑だから静かにしてよ。
泥棒にでも入られたのかと思うぐらい荒れた部屋で荷物をまとめる俺に、元カレは必死に纏わりつく。
「ちょっ、なんでだよ!いや、殴ったのとかは悪かったって。だってお前、どこ行くっつーんだよ」
乱暴に使われる若者言葉が背中に降りかかる。
出ていこうとしたところで肩を掴まれたので払い落とすと、元カレは頭に来たのか俺を殴ろうと振りかぶった。
「クソッ、お前のせいだからな!」
避けられない。
今までの恐怖が刷り込まれていたのか、体が避けようとしない。動けない。
💚助けて、照…!
小さく悲鳴を上げて、必死に手を伸ばす。
照はドアの向こうにいるはず。もうちょっとで彼の元へ行けるのに、手が届かない。
「あのー。そういうのDVって言うんすよ。」
ドアが開いたと思ったら、突然金髪の青年が現れた。目を見張るほど美しい容姿に、2m近くある身長。ダル着のはずのスウェットもお洒落に着こなしている。
「あ?何だてめえ。ガキのくせに入ってくんな。黙れ」
🤍いや、その言動が良くないって言ってるんでしょ。毎晩その人に手上げて暴言吐いて。それ全部犯罪ですよ。このアパート壁薄いんで丸聞こえっすからね。録音してあるんで一緒に警察行きましょっか。
金髪美少年はドアに凭れて腕を組み、早口で喋って不敵に笑った。その後ろには照の姿もあった。
「はあ!?警察!?ふ、ふざけんなよ。もういいって!」
元カレは警察というワードを出された上に、強面の照に怖じけついて逃げ出してしまった。
💛亮平、助けられなくてごめん。あいつに何かされてない?
💚大丈夫だよ。それと、ありがとうございました。
🤍いえ。恋人が怖がっていたので。当然のことをしたまでです。
俺が知らないだけで隣人だったのか、ハーフ顔の青年は颯爽と俺の隣の部屋に入っていった。
💛俺が殴り込もうとしたら、あの人が止めてくれたんだ。優しい人もいるもんだな。
💚そうだね。今度ちゃんとお礼しなきゃ。
そうして俺は無事に照の家、いや自らの自宅に帰ることが出来たのだった。
帰るが早いが俺は照に抱かれていた。
💚もうっ、駄目だってばぁ…
💛なんで?せっかく付き合えたんだから好きなだけしたいじゃん。
💚正論っぽく言わないでよ…あぁっ!
激しく後ろから突かれて呼吸が浅くなる。でも、そんな彼も愛おしいと思ってしまう。
💛やっと俺のものになった。
💚俺は物じゃないもん。
💛はいはい。
振り向くと、不意に目が合う。どちらからともなく笑った。
初恋の人。はじめて愛してくれた人。
ずっとこのはじめての愛を噛み締めていられますように。
大好きな彼の腕の中で、俺はそっと願った。
💛💚 end