テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
朝。
ソファに座ってスマホを見ている涼ちゃんの横に、ふっと影が落ちる。
ドンッ
「っ!?」
顔を上げると、目の前の壁に手をついた元貴。
距離、近い。
「……え?」
思わず固まる涼ちゃん。
元貴は何も言わない。ただじっと見ているだけ。
「……なに?」
返事はない。
数秒して、元貴は何事もなかったかのように離れていった。
「……なに今の……?」
ぽつりと呟く。
違和感が残ったまま、時間が過ぎる。
――数時間後。
またスマホを見ていると、
ドンッ
「!?」
今度は逆側。
若井が同じように壁に手をついている。
「……え、ちょっと待って」
さっきと同じ距離、同じ無言。
「……どうしたの?」
聞いても、何も返ってこない。
数秒後、若井もそのまま離れていく。
「……え、なに、怖いんだけど」
小さく笑おうとするけど、うまく笑えない。
――さらに時間が経つ。
また。
ドンッ
「っ……!」
元貴。
――少しして
ドンッ
「やだって……」
若井。
繰り返される、無言の壁ドン。
理由も分からないまま、一日中続くそれに、涼ちゃんの表情はどんどん曇っていく。
夕方。
また挟まれるように壁ドンされる。
「……ねえ」
声が少し震えている。
「2人とも、どうしたの……?」
返事はない。
視線だけが向けられる。
その沈黙が、逆に怖い。
「なんか……言ってよ……」
目がじわっと潤む。
「やだ……なにこれ……」
ぽろっと涙が落ちた。
「なんで……何も言ってくれないの……」
声が崩れる。
その瞬間、
「えっ」
元貴が一気に表情を崩す。
「ちょ、え、え、泣いた!?」
若井も完全に焦る。
「え、待って待ってごめん!!」
「ドッキリ!!ドッキリだから!!」
2人とも一気に近づいてくる。
「ごめんごめん、そんなつもりじゃなくて」
「ちょっと反応見たくて…いやこれダメなやつだわ」
涼ちゃんは涙を拭いながら、2人を見る。
「……最悪」
小さくそう言う声は、まだ震えてる。
「ほんとごめん…」
元貴がしゃがんで目線を合わせる。
「やりすぎた」
若井も苦笑しながら頭をかく。
「怖かったよね…普通に」
少し間。
「……怖いに決まってるじゃん」
涙声で返す。
その一言に、2人ともぐっと言葉に詰まる。
「もうやんないから、こういうの」
「うん、絶対やんない」
しっかり頷く2人。
涼ちゃんは少しだけ顔を背けて、
「……ほんとにやめて」
ぽつり。
「うん、ごめん」
今度はちゃんと、すぐに返事が返ってきた。
可愛い可愛い涼ちゃん
#藤澤涼架#大森元貴#若井滉斗
242
りょん.
コメント
1件