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コメント
3件
こんな話が思いつくとか天才ですか 天才でしたね!! 凄すぎます。143♡しときますね!
今回、結構長めに書いて頑張ったので♡沢山くれると嬉しいなぁ…((殴
あの日
公園で自分の気持ちをやっと吐き出せた。
けれど、
それで何かが劇的に
変わったわけじゃなかった。
みんなは優しかったし、
受け止めようとしてくれた。
でも、どこかで
「分かってもらえて嬉しい」
というよりも、
自分の孤独がまた一歩、
はっきりしてしまった気もしていた。
何故だか
LINEのやりとりも、前より短くなった。
グループでの集まりも、
自然と俺だけ呼ばれなかった日が
何度かあった。
思い切って話した “あの日” のことが、
逆にみんなとの微妙な距離を
生んでしまったんじゃないかと、
スマホの画面を見つめて考え込む
夜が増えた。
家でも変わらず無気力だった。
親の声も雑音のように流れていく。
「最近、ちゃんと勉強出来てるの?」
kr「…別に」
会話すら必要ない気がして、
自分の
“居場所”
なんて本当はどこにもないんじゃないかと、
思考がぐるぐるとまわる。
月曜日。
教室の空気だけが湿っぽく重い。
ふと、ぺいんとが
pn「よっ、クロノアさん」
と声をかけてくるが、
ちょっとだけ間ができて、
kr「……あ、うん」
しか返せなかった。
しにがみは遠くの席で誰かと喋っている。
トラゾーも部活の仲間と
楽しそうに笑っている。
気づけば、
みんなの輪から自分だけに
膜がかかっているみたいだ。
昼休みも、みんなは俺に
話しかけようとはしてこなかった。
kr「あの時、全部言わなきゃよかったのかな」
なんて
弱気な考えが何度もよぎる。
部屋でひとり。
「別に、結局何も変わらなかった」
そう思いながら、
スマホの通知をひねり潰すように切る。
眠れないまま朝になり
鏡に映る自分がどんどん誰だか
わからなくなっていく。
もっと早く、もっと賢く、
“普通” に生きていればよかったのに。
後悔だけがぼんやりと胸に積もっていく。
みんなの輪の中にいようが、いまいが、
透明で、何も持たない自分は一人きりだ。
画面の向こうからも
寝苦しい夜の向こうからも
誰の声も、何も届かない。
クラスの空気は
いよいよ自分だけ別世界の住人
みたいだった。
本当はみんなの中に混ざりたい。
だけど、あのとき心の奥を
さらけ出してしまったことで
自分の
“異物感”
はますます強くなっていった。
昼休み
教室の隅でただパンをかじる。
トラゾーたちは一応近くで
カードゲームを始めているけど、
「一緒にやろう」
とは誰も言わなかった。
ぺいんとが笑顔でパンを
半分差し出してくれる。
pn「いります?」
――けど、なんだか少し距離を感じた。
kr「……いらない」
ほとんど聞こえない声で断ってしまった。
また一つ、引き返せない距離が
できてしまった気がする。
帰り道、信号で立ち止まる。
夕焼けがやたらと眩しくて
スマホの画面に反射する自分の顔すら
見たくなかった。
しにがみから、個別でぽつんと
メッセージが来ていた。
sn「クロノアさん、大丈夫ですか?」
——既読スルー。
返事を考えるのすら疲れてしまった。
文字の送り方を忘れたみたいだ。
友達ひとりとLINEで話さなくても、
明日が勝手にまたやってくる。
そして、どんどんみんなの中で
「かつてのクロノア」と
「今のクロノア」が、
まるで別の人間みたいに分かれていく。
休日、みんなで出かけている
集合写真が、誰かのSNSにあがった。
自分だけ招待されなかったんだと
一瞬で気づいてしまう。
思い切って過去のトーク履歴も見たが
自分抜きで計画されていた。
心がまた一つ、深く沈む。
夜に親との口喧嘩。
「そんなに何かふさぎ込んで、
何がしたいの?」
「ちゃんと勉強してるの??」
kr「…放っておいてよ、」
扉一枚はさんで、互いに壁越しの会話。
聞こえるフリもする気が起きなかった。
鏡を覗くと、自分の顔がひどく
浮腫んで見えた。
睡眠不足と、食欲のなさ
自分の頭を何度も叩いた跡すらある。
もう本当に、誰にも相談できない。
ベッドにうずくまり
思い浮かべるのは昔みんなと笑った場面
だけだ。
あの頃の自分は
誰かに必要とされていたのかも――
と、勘違いさえしたくなる。
けれどもう、その頃には絶対に戻れない。
スマホを暗闇に投げ出して、
耳を塞いで、
どこかに自分ごと
消えてしまえたらいいのに、
と思ってしまう。
涙はもう出ない。
感情が全部鈍くなって
息をしているのも他人事のようだった。
遅い夜の生活音が、
遠くで微かに響いている。
ただただ、
「声が届かない」
という冷たい事実だけが、
俺の心の底に残り続けていた。