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帰宅後
ガチャリ、と玄関の鍵を閉め、靴を脱ぎ捨てた、まさにその瞬間だった。
待ちきれなくなったのだろう。
後ろからそわそわとした気配が迫ったかと思うと、純一が俺の背中に向かって
全力でぎゅっと抱きついてきた。
オーバーサイズのカーディガン越しでも、彼の高鳴る心臓の鼓動がダイレクトに背中に伝わってくる。
「りひとさぁん……」
首筋に額を擦りつけながら、掠れた甘い声で俺の名を呼ぶ。
俺が振り返って対面になると、嬉しそうに頬を緩ませた。
「ふふ、おうちに帰った途端、すっかり甘えん坊モードだね」
「うんっ、だって…お外にいる間、ずうっと我慢してたんだもん!」
そう言って、本当に嬉しそうに俺の背中に頬を擦り寄せてくる姿は
まるでお留守番を終えて主人の帰りを迎えた忠実な愛犬のようだ。
このあまりにも極端なギャップが、俺の胸の奥を激しく揺さぶる。
さっきまで公園のベンチで、シュンとした悲しそうな表情を見せていたかと思えば
自宅に戻った瞬間に、これほど無防備で可愛い顔をして甘えてくるなんて。
「ふふ、じゃあ……今から言うことよく聞いてね?」
「うん?なんでも聞くよ!」
「まずは洗面所で手を洗って、そのあとに部屋着に着替え終わったら、リビングのソファに来ること」
優しく諭すように言うと、純一は不思議そうに首を傾げた。
「えっと……手を洗って、部屋着に着替えたら、するんだよね?…そのままえっちしないの?お洋服、着なきゃだめなの?」
あまりにも直球で、下心のカケラもない無垢な疑問。
俺は振り返り、彼の少し潤んだ瞳を見つめながらわざと大人の余裕な笑みを浮かべた。
「ゆっくり順序を踏んでいくからさ。それにね、純一……。男っていうのは、最初から裸なよりも、身にまとっている服を一つずつ脱がしていく瞬間が一番の醍醐味なんだよ」
「! なるほど……っ!りひとさんって、ぼくのお洋服脱がすの好きなの?」
「うん……純一を脱がすのは、すっごく好きだよ」
「えへへっ、うれしぃ……!ぼくもねっ、りひとさんに脱がされるの、だぁいすき!」
そのあまりにもストレートな愛の告白と、一切の濁りがない無邪気な眼差し。
その破壊力に、俺が必死に保っていた大人の理性は一瞬で木っ端微塵に砕けそうになった。
今すぐにでもこの場で押し倒して、その白い肌を暴きたい。
そんな衝動をどうにか笑顔の裏に隠す。
「よし!じゃあ、じゅんくんすぐに準備終わらせるねっ……!」
やる気満々で洗面所へと駆けていこうとする背中に、俺は苦笑交じりに声をかけた。
「う、うん、そんなに慌てなくていいからね」