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ー文化祭準備ー
六月のホームルーム
黒板には大きく、
『文化祭 出し物決め』
と書いてある
高校に入って初めての文化祭に
教室は朝からそわそわしていた
「え、何やる!?」
「高校の文化祭ってもっと自由なんでしょ!?」
「青春じゃん!」
騒がしい空気の中
律は窓側後ろの席で静かに頬杖をついていた
まだ入学して数ヶ月。
クラスには慣れてきたけど、
やっぱり人の多い空気は少し苦手。
その横。
朝陽はもうクラスの中心にいる。
「お化け屋敷!」
「カフェ!」
「映画館!」
次々飛ぶ案に、
朝陽が笑いながら反応していく。
でも時々、
ちゃんと律の方見てる。
置いていかないみたいに。
「瀬名は?」
突然話振られて、
律の肩がぴくっと揺れる。
教室が少し静かになる。
数秒考えてから小さく言う。
「……暗いのなら」
「暗いの?」
「プラネタリウムとか?」
その瞬間
「え、良くない!?」
「絶対綺麗!」
「映えそー!」
一気に空気が動く。
驚いたように少し目を見開く。
自分の意見、
採用されると思ってなかった。
朝陽はその反応見て、
嬉しそうに笑う。
「いいじゃん、プラネタリウムカフェ」
「え、やろう!」
「星吊るしたい!」
教室がどんどん盛り上がっていく。
律は少しだけ視線逸らす。
でも
嬉しそう
そして数日後。
今度は衣装会議。
「カフェなら衣装いるくね?」
「制服だけじゃ普通じゃん」
男子たちが騒ぐ。
「バニーだろ!!」
「却下!!」
「だれ得?!」
女子の即ツッコミで教室爆笑。
「じゃあさ」
女子のひとりが笑いながら言う
「男装執事と女装メイドとかは?」
数秒静まる
次の瞬間
「え、楽しそう!!」
「朝陽絶対似合う!」
朝陽が
笑いながら肩をすくめる
「え〜?俺かわいくなっちゃうけど」
「うざ!」
「自分で言うな!」
その少し後ろ。
嫌な予感してる
ものすごく静か
視線合わせない
“絶対こっち来る”
って分かってる顔
そして案の定。
「瀬名も似合いそう!」
律が固まる
「……は?」
「え、絶対かわいいじゃん」
「わかる、顔整ってるし!」
「メガネメイドいける!」
朝陽が
とうとう吹き出す
律が
紙を丸めて朝陽に投げつける
「痛っ」
「……笑うな」
耳真っ赤。
「えー見たい!」
「瀬名くんやってよ!」
「絶対写真映えする!」
律が
だんだん俯いていく。
「……やだ」
律の小さい拒否。
でも女子たち、
完全に盛り上がってる。
「絶対かわいいって!」
「見たい!!」
「メガネメイド!」
律が
もっと俯いていく
朝陽は隣で、
めちゃくちゃ楽しそう。
「諦めろって、律」
「……お前のせい」
「なんで?」
「絶対面白がってる」
「まあちょっと」
律、
無言で机の下から紙を投げつける。
「痛っ」
教室には
また笑い声が広がる
高校最初の文化祭は、
たぶん律が思ってたよりずっと騒がしい。
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