ー間話ー
俺は、自分をいい人だと思ったことがなかった。
幼い頃から周りに、できる子だ、優秀だ、将来が有望だと誉め讃えられて育ったが、そんなことを言われてもなにも感じなかった。
何故か。
それは紛れもなく未音の存在があったからだろう。
未音は、完璧だった。成績優秀、スポーツ万能で、だれもが見惚れる美貌を持っていた。
でも、未音は大人たちに褒められることはなかった。
それは愛想や笑顔、あるいは建前といったものがなかったからだ。
彼女は思ったことをズバッと言う性格だった。
基本的に無表情な彼女は大人たちにたいそう気味悪がられた。
でも、俺は未音に憧れていた。
周りの大人たちとは違う。
常に隣で彼女のこと見てきたからだ。
彼女は、自分にはないなにかを持っていた。
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