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125 - 第5話:タエコ、処方室へ

2025年04月16日

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第5話:タエコ、処方室へ




🍳 シーン1:ナミコ不在の朝


朝の碧診区、処方室。


調理台の端末に「非常勤欠勤」の報告が浮かぶ。


「……ナミコちゃん、倒れとるんかいな」


頭にタオルを巻き、大きなエプロン姿で現れたのは、タエコ。

ややふくよかな体型に、くるくる動く目。関西弁まじりの口調で手際よく調理器具を並べる。


「ほな、ウチが代わりにやったる。戦場の台所で鍋振っとったんは伊達やあらへん」


メディすずかが端末越しに確認する。


「代行登録完了。タエコ=非常勤・応急調理ユニット、承認」





🫕 シーン2:処方される、温もり


今日の患者は、術後の共鳴抑制中の少女・ネミ。


感情安定フラクタルと栄養補給を兼ねた処方が必要とされていた。


「心がふわふわしとるときはな、ちょっとだけ“噛みごたえ”がある方がええんや」


タエコは「碧根野菜のとろ煮」に、フラクタルを少しだけ注入。


《COOK_MODE=SOFT》《EMOTION=STABLE》

《TRACE=HOME》


やさしい香りが処方室いっぱいに広がる。

仕上げには、母のような甘い語りかけ。


「ごはんはな、ちゃんと“今”を感じさせるんやで」





🛏️ シーン3:届けられるぬくもり


ネミのもとに運ばれた処方食は、ぬるめの温度。

スプーンを口に運んだ瞬間、少女はふっと涙を浮かべた。


「……なんか、安心する……」


ユレイが処置を終えた後に一言。


「タエコさん、やっぱり“医療”もできる人やったんですね」


タエコは鍋のふたを閉じながら、ぽんと肩をすくめた。


「ウチかてな、命がかかっとる現場、いっぱい見てきたんや。 食べるいうのはな、“生きたい”って証やからな」





🤍 シーン4:すずかAIとの対話


処方室の隅で、メディすずかが端末にそっと呟く。


「記録完了。処方フラクタル:成功率92%。

なお、患者の安静指数が想定より高く安定」


タエコはタオルで汗を拭きながら笑う。


「またウチ呼ばれるんやろなぁ……ナミコに内緒でレシピ置いとこ」





医療も、料理も、命のためにある。

だからタエコは、今日も“温かい”を作る。

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