コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
林澄小学校(りんとうしょうがっこう)に通っている二人の10歳の少女がいた。そんな二人はある日、不思議な体験をする。
短い秋があっという間に終わり、今や寒い日はダウンを着るほどの冬となったある日。小学四年生の女の子、凛(りん)と彩(あや)は授業を終え、下校をしていた。
「あれ可愛い!」通学路の道沿いにある雑貨屋を指差し彩はそう言った。彩はいつも明るく、陽気で何より動物が大好き。その雑貨屋には動物のキーホルダーがで入口付近に飾られていたのだ。
一方の凛は陰気で物静か。好きなものもはっきりとはわからない。そんな凛の唯一といっていい友達である彩とはとても仲良しだ。
「ほんとだ。可愛い」小さな声で凛はそう言った。
「まあお金持ってないからしょうがないけど…」少ししょぼくれた様子で彩はうつむき気味で前を歩いた。
すると、彩の目の前を何かが横切った。白いなにか。それに気づいた彩は唖然とした様子でその場で立ち尽くしていた。
「猫!猫!」その白いなにかの姿を見ていた凛はそう叫んだ。
「ほんと!?」彩はそう興奮気味で言うと猫が入っていったであろう雑貨屋の隣にある路地を覗いた。
「いる。いるよ」と彩。
「ほんとだ…なんか吐いてない?」と凛が異変に気づく。
「確かに…でもこの隙間流石に無理だよね…?」
そう彩が言ったように猫の入っていった路地はとても狭く、大人では100%入れないであろう幅の狭さ。子供の彩ですら入れるかわからない。
目の前で苦しんでいるはずなのに助けられない。そのもどかしさが頭の中で葛藤する。
すると、彩は紅色のランドセルを地面に置き、横向きでその狭い隙間へ入った。そのうちに白猫は奥へ逃げてしまったものの、彩は白猫のいたところへ到着。ポケットからハンカチを取り出しその場ですこし膝を曲げそのハンカチで何かを拾い上げた。遠くから見ていた凛はなにを拾い上げたのかさっぱり分からなかった。
数分してから彩は隙間から無事出てきた。顔や洋服に少し汚れが目立つものの彩はそれを気にしていない様子だった。
そして、ハンカチの中身を凛に見せた。
「鍵。これ。もしかしたらあの猫が飲み込んでたのかも」と心配気味に彩は話す。
ハンカチの中には金が少し剥げていたり、錆びていたりしている古びた鍵があった。
「何の鍵だろう…?」不思議そうに凛は呟く。
「…あ!私のおじいちゃん、骨董品屋やってるからなにかわかるかも!」と自信ありげに彩は話した。
「いいね!じゃあ頼むね…!」
「うん。おじいちゃん家、近所だから今日中にもわかるかも…!」
それから二人はT字路で解散した。