おんりー視点
自殺はしなかった。
不思議と、みんながそばにいる気がするから。
そんな気がしはじめたのは、死にたいと思いはじめた、1週間前だと思う。
カッターで手首を切ろうとしたら、刃が折れた。一つならともかく、切り込みがある全て、細かく折れていった。
元々ホラーが苦手だったから、その時は怖かった。死ぬのは怖くないのにね。
怖くなって、試しに新品のカッター2本を買って、もう一度同じ事をした。
結果は、全て細かく折れた。おまけに、折れたカッターで、「ジサツダメゼッタイ」と、地面に文字が作られた。
そのとき、理由はなくとも、自然と口が動いていた。
お「ドズさん、、ぼんさん、、MEN、、おらふくん、、」
それから、俺は泣き崩れた。
ずっと。ずっと。ずっと。
疲れて、段々落ち着いてきたとき、タオルが一つ。水色のペンといっしょに置いてあった。
お「おらふくん、、、?」
それからは、ポルターガイスト越しでも、みんながいるってわかった。
必ずいっしょに置いてあるペンは、メンバーカラーのもの。多分、誰がやったのか、教えるため。
それから、観察して、わかったこと。
①ドズさんたちも、お腹は空くらしい。
時々、冷蔵庫の中身やお菓子が消えている。ぼんさん以外、ペン置いていくけど。
②ものを動かすことは出来るから、文字は書ける。
ホワイトボードに、それぞれのペンで書けば、会話は出来る。ついでに、パソコンやスマホも使えるらしい。だから、何処でも話せる。
③時々、何処かに行っている。
何処かはわからないけど、長ければ3日。短ければ半日程度、いなくなる。
いないときは、誰かが教えてくれたり、俺から気づいたり、本人が言ってから行く(おもにドズさんとおらふくん)など、様々。
④絶対に、俺を1人にはしないでくれる。
自室やら最低限はともかく、基本、俺が寂しくならないように、してくれる。
この生活が始まってからは、文句なしに嬉しかった。
声が聞こえなくても。すぐそばには、みんながいる。
気が狂ってるって言われたら、何も言えない。
でも、別にいい。
誰だって、家族のように大切な人達がころされた。それでも。変わった形でも。また会えて。いっしょに暮らして行ける。
今の俺にとっては、たった一本の、蜘蛛の糸といっしょに、みんなはきてくれた。
それに、ジサツを止めてくれた。
だから、俺は生きていく。
みんなに会いたいと、ジサツしようとしたけど、もうその意味がないからね。
だって、4人はそこにいるから。
今ならきっと、楽しく笑える。
『おんりー、お腹すいちゃった。何か作ってくれない?ドズルさんたちもだって』
おらふくんが、メールを送ってきた。
字を書くのは難しいからと、おらふくんは好んでメールを使っている。
お「わかった。そろそろお昼だし、うどんでも、作るね!」
自然と顔の筋肉がゆるんだ。
そのとき、しっかりと見えた。
ドズさん、ぼんさん、MEN、おらふくんが、嬉しそうに笑っていた。
きっと、俺もいっしょ。
ちなみにだけど、俺のスマホの中に、みんなの写真があるよ。
もちろん、5人の笑顔のね。
『第ニ幕 笑顔の写真』FIN
次回、解説等々を上げます。ぜひ、見たいってください。
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