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ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版
第79話 - page.67 突撃!小野麗尾モンスターズ! オーク編 驚愕!!未開の地の集落で幻の種族を見た!?
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2024年03月30日
小野麗尾 守は激怒した。必ず、かの邪知暴虐の王駆を除かなければならぬと決意した。小野麗尾 守には正義がわからぬ。小野麗尾 守は、只の冒険者である。ソシャゲを嗜み、友と遊んで暮らしてきた。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。今日未明、小野麗尾 守は家を出発し、野を越え山越え、世界を離れたこのオークの集落にやって来た。小野麗尾 守には父も、母もいるが。女房はいない。小野麗尾 守には戦場の友があった。バルクである。今はこのオークの集落で、戦士をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく会わなかったのだから、訪ねていくのが楽しみである。
歩いているうちに小野麗尾 守は、集落の様子を怪しく思った。騒がしすぎる。もう既に日も昇り、集落の明るいのはあたりまえだが、けれども、なんだか、昼のせいばかりではなく、集全体が、やけに騒がしい。のんきな小野麗尾 守も、だんだん不安になってきた。
道で会った若い衆をつかまえて、今日は何かあったのかと質問した。若い衆は腕を振って答えた。今日は祭りだと。
戦士がその勲を謳い、鍛えた技を振るう闘技の祭りの日だと。
小野麗尾 守は困惑した。バルクより武具を持って訊ねてきて欲しいとは言われたが、もしや祭りの晒し者にでもされるのだろうか。
バルクの居場所を訊ねた所、戦士は会場付近で待機していると聞いたので、案内された所に向かうと、唯でさえ筋骨隆々なオーク達の中でも一際大柄な戦士達が詰めている一角に、友はいた。
常は腰巻一つで大剣を奮うバルクが、今日は、兜から全身鎧までしっかりと着込んだ姿で泰然と佇んでいる。
「こんにちは、バルクさん」
声を掛けると、周りがザワッとどよめく。
おお、何者だあの人間は
なぜ人間がこのような所に
しかも我らが勇者にあのように気軽に
戦士には見えぬが、もしや今日の祭りに……?
アウェーイ感が半端ぬぇ……
「鎮まれ。この者は私の客人・そして仮の主でもある。
済まぬな。今日は主殿を改めて見定めさせていただきたく、この様な所に足を運んでいただいた」
見定める?催しの内容から……
「この大会に参加して優勝でもしろと?」
言った途端にザワッ、と周囲がどよめく。
あれ?俺何か言っちゃいました?
「うむ、より正しくはこの大会で私と戦い、勝利してもらいたかったのだが。必然、そうなるだろうな」
バルクさんの強さは重々承知しているが、そっかー……優勝しちゃうんだー……
「大会に出るのは構わないけど、受付とかどうなってるの?あとルールとか」
体は鍛え続けているし、最近は黄泉修行の成果も徐々にフィードバック出来ているから無様を晒す事は無い……と、信じたいけど。
実力でランクアップした訳じゃないから素でランクEモンスターと遣り合えるか……?
「大会参加に関しては私が話を通している。試合の取り決めに関しては、写し身にて行い、相手を倒す事で勝敗を決める事となる。
主殿はMPを使えるので、写し身も容易く習得できるであろう」
「写し身って……?」
「うむ。言葉で語るより、見せた方が早いだろう」
そう言うと、バルクさんの体からMPが漏れ出して、直ぐ近くで凝縮・変形を始めた。
ターミ〇ーター2の流体金属のアレとか、メ〇モン……?
もしやエインセルから聞いた、モンスターの人身売買のあれか……?
黄泉醜女の契約の時の感覚を参考に……あ、いけたっぽい。
俺の体からMPが流れ出て、目の前にもう一人の俺が素っ裸で現れる。
このままだとリモコンロボットになるだけだし、魂はどうやって移そう……
と、思っていたら、本体がMPをスーパー野菜人の如く放出して、俺本体から俺コピーに向けてBUKUU=ジツの要領でMyソウルが移動した。
おかしい、まるで俺が人間じゃないみたいだ……
「やはり、主殿なら出来たか」
周囲のオーク達もザワ……ザワ……している。
馬鹿な、人間が写し身を……!?
うむむむ……我らが勇者が認めるだけの事はある、という事か。
これでは参加を認めぬわけには……
「ちょ、一寸待ちなさい!!! 父さん!人間が主ってどういう事!?」
ダダダダダ、と駆け足でバルクさんの傍まで来て叫んだオーク……オーク?の女性。
疑問符が付いたのは彼女が肌の色こそ薄緑色だが、オークらしからぬ人間寄りの美形かつ耳がエルフ耳だったからだ。
おかしい、まるでハーフオーク或いはハーフエルフっぽいぞ……?
バルクさんが父さん……?
ははっ、まるでこの女性がバルクさんの娘みたいじゃないか……?
「ちょっと聞いてるの父さん!?お母さんはこの事知ってるの!?」
「うむ、クッコロの奴には話をしている。お前にも時期を見てだな……」
「もう、信じられない!母さんも黙っていたなんて!!」
「ソクオチ、主殿は……」
「父さんは黙ってて!?」
「むぅ……」
強い。(確信)
バルクさんを黙らせたソクオチちゃんはこっちに向き直ると、ズカズカと歩み寄り、
「ちょっとアンタ。父さんをどうやって誑かしたか知らないけど、アタシがアンタを倒して父さんの目を覚まさせてあげるわ。
……バルクルガ=コ-マスとクッコロ=メスナイトの娘、ソクオチ=コーマス=メスナイトが宣言する!
闘技大会で我が勝利の暁には、我が父、バルクルガ=コ-マスと……アンタ、名前は?」
「小野麗尾 守」
「バルクルガ=コ-マスとオノレオ=マモルの契約を解消する!」
ウオオオオオオオ
と、勝手に盛り上がる野次馬共は視界と意識から外し……
小野麗尾 守は激怒した。必ず、かの邪知暴虐の王駆を除かなければならぬと決意した。小野麗尾 守には正義がわからぬ。小野麗尾 守は、只の冒険者である。ソシャゲを嗜み、友と遊んで暮らしてきた。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
そして今、邪悪は王駆の形を取り、我が眼前に存在した。
「バルクさん」
・・・・・・だました・・・・・・(注:騙してません)
ガシッと効果音が付きそうな感じで両肩を掴み、
だました(注:騙してません)・・・・・・今まで・・・・・・ぼくを・・・・・・ぼくを・・・・・・よく・・・・・・も
よくもぼくを・・・・・
「よくもだましたアアアア!!(注:騙してません)」
よくもぼくをォ!!だましたなァ!!(注:騙してません)
よくも今まで!!
ずっと今まで!!
彼女が欲しい、そんなささやかな願いを叶えるべく奮闘していたあの日々の傍らで、既に妻子持ちでいた……居やがったとか。
「待て!落ち着け!!」
非モテを肴に飲むプロテインはうまかったか?
「だましてくれたなアアアアア!!!(注:騙してません)」
叫びと共にコピー体から発せられたドス黒いMPに呼応して鎧櫃の中の装備が自動的に身に着いてくる。
装備に黒いMPが絡みつき、血管の様に脈動している。
客観的に見たらガチのボスモンスターでは無かろうか。本体視点から見る自分がかなりヤバイ。
これはいけません。SoKool……BeKool……
「フシュルルルルルルル……」
「お、落ち着かれたか……?」
「ガガガガー!!!!! ……大丈夫、大丈夫。頭を冷やせ。Koolになるんだ。落ち着いて、……凄く落ち着いた。
さぁ、それじゃあ、会場に行こう。Koolになれば5分で殺(や)れる。殺(や)っちまったらスッキリさ」
「……父さん……(ガクガク」
「娘よ。勝てぬ相手に逃げ出す事は決して恥ではない。万が一彼と当たってしまったら棄権するのだ」
「(ムッ バルクルガ=コーマスの娘が刃を一合も交えずに背を向けて逃げ出すわけには」
「バルクさん?(首を180°グルー」
「ヒイッ!?」
「主殿、闘技はまだ始まっておらぬ。しばし腰を落ち着けて待たれよ」
「そっかー(首を戻しつつ」
左腕のピアシングキャノンに火属性が付けられたら遺伝子の欠片も残さず焼き尽くしていたかもしれんが、貫通属性固定だったしなー
射撃訓練所で的と壁を貫通した時は職員さん総出で調査・対応していたし、魔貫〇殺砲ごっこが出来る所がダンジョンの外にないかなー……
そんなこんなで時間が経って、何試合か消化され、俺の名前が呼ばれた。
選手入場の際には、その人物の戦歴の証明代わりに勲(いさおし)が謳われるようだが、オークの村に俺の戦歴等在ろうはずもなく、名前が呼ばれただけだった。
誰だアレは?
そんな戸惑いの空気の中で会場入りすると、空気が一瞬で張り詰める。
まぁ、無名のオーク戦士が出て来るかと思いきや、野生の中ボスが草むらから飛び出してきたような物だから気持ちは分からなくもない。
某スーパー野菜人の如く全身から、持ち込んだハルバードの切っ先までドス黒いMPオーラを吹き出し、一歩一歩重々しく歩いてくるその姿は、後年子供に「悪い事をすると云々~」の下りに使われそうな事この上ない。見回すと既に涙目の子供もいるし。
対戦相手のオークもかなり気を飲まれているようで、フルプレートの全身鎧を身に纏っているにも関わらず、心なしか一回り小さく見える。
メスナイト相手に相当の戦果を上げた勲が謳われていたにも関わらずのその為体に若干の期待外れ感が否めない。
バルクさん相手まで伏せていようと思ったが、もうサクッと終わらせよう。
試合開始と同時に、ハルバードを正眼に振りかぶり、”怪力”のスキルを起動。
「キェエエエエエエエエエエ!!!!! チェストオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
気合十分の猿叫と共に駆け詰め寄り、薩摩示現流と一の太刀をゴッチャ煮したヒサツ=ケンを振り降ろし、斧刃の部分で一刀両断に処す。
何が何だか分からない、と言った感じの表情で真っ二つにされたオークが崩れ消え、遅れて審判が俺の勝利を宣言した。
無音の会場を後にして、選手控室に戻ると、そこはお通夜めいたアトモスフィアが漂うハカバ=ヘヤであった。
おかしい。俺の試合の前までは、戻ってきた選手の健闘を称るえジャパニーズタイクカイケイ=スポーツマンシップアトモスフィア溢れるKENZENな爽やかささえ感じる場所だったのに……!?
サツバツとしたアトモスフィアに気圧されつつ、自分の座っていた場所に近づくと、慌ててその付近に居たオーク達が空いている場所を求めて散っていく。 ……虚しい。勝利とはこんなにも虚しい物か。
勝者の孤独に思いを馳せていると、俺の次の試合の対戦相手が急病による辞退がされたと連絡が。その次の相手は膝に矢を受けたので、次の次の相手は家族が危篤になったためと、何処かで聞いたような理由で辞退が相次いだ。不審が過ぎたので同室の連中にインタビューすると、最初の俺の対戦相手はどうやら今回の大会の準優勝候補だったらしく、試合終了後の尋常ではない怯え方を見た対戦相手連中が俺との戦いを避けるようにしたとの事。おい。自称戦闘民族。
ちなみに準が付いていたのは、優勝候補がバルクさんが不動の一位だかららしく、打倒バルクルガを公言し、その実力を磨き続けてきたはずの彼が一蹴されたのはオーク族にとって、メスナイト族との種の存亡を賭けていた闘争以来の出来事らしく、その噂を聞きつけたメスナイト族が今続々と会場の観客席入りしているとか……
メスナイト族ってなんだよ?という疑問に対する質問の回答だが、
100年以上前から互いの種の存亡を賭けて争い続けた存在らしく、
見た目はまんまエルフの女騎士だが、対オークに特化した……しすぎた存在で、オーク♂の種でしか孕めないが、生まれて来る子供は例外なくメスナイト♀という特殊性癖……生癖?で、繁殖の為にオーク♂は攫い、♀は皆殺しという生粋のオークスレイヤー……いや、此処までくると民族浄化レベルのジェノサイダー?というトンデモ種族である。
30年程前の決戦でバルクルガを中心とした精鋭討伐隊(勇者PT?)により、3日3晩に及ぶ死闘の末、当時の女王クッコロ=メスナイトの打倒に成功し、以降は仁義無き抗争から共存の方向に舵が切り替わったらしく、和解の証として女王自らオーク族の勇者となったバルクルガに嫁ぎ、それからはオーク族は一夫多妻制として、オーク♂一人につき、オーク♀とメスナイトが1:1もしくは1:多の家族構成に変わっていったらしい。
これを聞かされた時の俺の精神が宇宙猫になったのは言うまでもない。
あ、試合?決勝戦でバルクさんを八つ裂きにしました。
応援に来ていた嫁さんは当然の様に超絶美女でした。
観客席のメスナイト族の皆さんの目が血走り喰い入る様に俺を見ていたのが怖かったです。
バルクさんの家に泊っていくように勧められましたが身の危険が危なかったのでそのまま帰りました まる
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[ランク] E
[種族] オーク
[名前] 【称号:○○○○○○】 仮名:バルク
[種族特性] 《大食い》《精力抜群》《怪力:小》《美味:肉》《繁殖力:大》
[個体特性] 《剛力:大》《武技:D級》《常在戦場の心得》《武人の忠義:自己封印》
[種族技能] 《衝撃吸収》
[個体技能] 《鎧筋》《剣技:D》《格闘技:C》《盾技:E》
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低3回以上の肉体増強専門の食事を与えなければならない
・この個体の主人は、この個体に契約後にトレーニング器具をこの個体に最低3個以上与えなければならない
・この個体の主人は、この個体と契約中は必要となる分の武具の手入れ用品を、この個体に与えなければならない
・この個体の主人は、ダンジョン探索において、この個体を必ず同行させなければならない
・この個体の主人は、ダンジョン探索において、この個体の抗命権を認めなければならない
・この個体の主人は、非ダンジョン探索時に、この個体より契約の破棄の申請がされた場合は直ちに認めなければならない
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[ランク] C
[種族] オーク・ブレイヴァー
[名前] 【称号:オーク族の勇者】 真名:バルクルガ=コーマス
[種族特性] 《大食い》《精力抜群》《怪力:大》《美味:肉》《繁殖力:大》
[個体特性] 《剛力:超》《武技:C級》《常在戦場の心得》《武人の忠義》
[種族技能] 《衝撃吸収》
[個体技能] 《鎧筋》《剣技:C》《格闘技:C》《盾技:D》
[個有装備] 勇者の剣(壊) 勇者の盾 勇者の鎧(壊) 勇者の兜(壊)
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低3回以上の肉体増強専門の食事を与えなければならない
・この個体の主人は、この個体に契約後にトレーニング器具をこの個体に最低3個以上与えなければならない
・この個体の主人は、この個体と契約中は必要となる分の武具の手入れ用品を、この個体に与えなければならない
・この個体の主人は、ダンジョン探索において、この個体を必ず同行させなければならない
・この個体の主人は、ダンジョン探索において、この個体の抗命権を認めなければならない
・この個体の主人は、非ダンジョン探索時に、この個体より契約の破棄の申請がされた場合は直ちに認めなければならない
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勇者PT:勇戦戦戦(尚、勇者の戦闘コマンドはたたかうのみとする)
メスナイト族の生態は某AM〇HARA先生の漫画を見ている時に思いついた。
今では反省していぬ。
装備類に(壊)が付いているのは、某M.O氏の仕業。
氏は「(奥さんを見た後で)カッとなってやった。今はまだ反省できない」
等と供述しており……