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性的表現有


上記が苦手な方は回れ右でお願いしまっす


















クチャッ、グチッと、吐きそうな程に気持ち悪い音が耳に響く。


ハァ、ハァッと、気色の悪い吐息が顔にかかる。



(あぁ…はやく、おわらせて……ぱれんの、ところへ…いかなきゃなぁ……)


ゆさゆさと揺れる身体と、奥が突かれる感覚を他人の物の様に感じながら、ぼんやりとした頭で考える。


気持ち悪い、きもちわるい、キモチワルイ


触れられたいのはパレンだけだ。それ以外の奴らには、自分の奥に、心に、触れてほしくない。それなのに、自分は。


(…惨め、さねぇ…?)


生理的な涙が頬を伝うも、どうやら目の前のカミサマは一向に気が付かないようだった。


















『フェンテくんっ、フェンテくーんっ!!』


太陽のように明るい声が聞こえる。声が聞こえる方へと目を向けると、ぶんぶんと無邪気に手を振る可愛いパレンの姿が目に映る。


『やぁ、今日も君は元気そうさねぇ?安心したよ』


『あっはは、でしょ〜?』


『あぁ。さて、今日は何をする?今日は天気がいいからなぁ…何処かへ出掛けるのも良さそうだがねぇ?』


へら、と笑ってパレンに問いかける。と、なんの前触れもなく何かが抱きついてきた。当然その正体は……


『パ、パレン??どうかしたかねぇ…?』


『フェンテくん、無理してるでしょ。今日はここでゆっくりしよ?お昼寝したり、日向ぼっこしたりさ!』


『…けひ、気の所為さね。俺っちも元気だから、君の好きな事を……』


『むぅ…ぼくが!今日はフェンテくんとゆっくりしたいの!いいでしょっ?』


ぷく、と頬を膨らませて見上げてくるパレンには敵わない。…それなら今日は、ここでゆっくり2人で過ごすことにしよう。


『けっひひ、分かった分かった。じゃあ今日は君の言う通り、2人でゆっくりしようかねぇ?』


『うんっ!!』




そよらかな風が吹き、暖かな日差しに包まれる野原に2人で横になる。この場所は、2人だけの秘密の場所、大切な思い出の場所だ。

……そんな場所に、穢れた自分が寝転んでいると思うと虫唾が走るが。

そんな事を考えながら、指で蝶々を追っているパレンを眺めていると、突然パレンから声がかかる。


『ね、フェンテくん?』


『ん、あぁ…どうかしたかい?』


『……お疲れ様、疲れたでしょ』



いきが、とまった




なんで、どうして、きちんと匂いは消したと思ったのに、パレンを不快にさせてしまった、見損なわれる、きらわ、れる



『…ぁ…ちがッ、俺っち…』


無意識に、声が震える。ひやりと、心臓に氷が押し当てられたような気分になる。今自分は、きちんと、言葉を発せているだろうか。



『大丈夫だよ。怒ってないし、嫌いにもなってないから…そんな怯えた顔しないでよ』


『ッ……』


抱きしめられる形で、暖かい手が、頬に当てられる。優しい手つきで、髪が手櫛でとかされる。


『頑張ったね、やだったよね、気持ち悪かったよねぇ』


陽だまりのような優しい声に、心がどろどろに溶かされる感覚がする。気持ち悪いと思っていた感覚も、薄れていくような気がした。

だがだからこそ、パレンと会う数時間前迄の行為が、より醜悪な物として頭にフラッシュバックした。理由がどうであれ、パレンを裏切る様な行為をとっている。それは変わらない事実だ。

本当なら、今すぐにでもこの暖かで居心地の良い場所パレンから離れないといけないはずなのに。それなのに。


『ッ…ひっ、ぅ……ご…めん、ぱれ、ぱれん…ぅ、あぁぁ……!!』


離れられない。縋ってしまう。優しい彼の心に漬け込んで、烏滸がましい程に甘えてしまう。


『うん、うん。大丈夫、大丈夫だよ。偉いね、頑張れてすごいよ』


そう言いながら、まるで上書きするようにちゅ、ちゅ、と、バードキスをパレンは繰り返す。

その内、心が落ち着いてきたのか、とろとろと、思考が溶けていく。瞼が重い。目を開けていられない。


(ごめん、汚い俺っちがそばにいて、…ごめん……)


そう、心の中で謝りながら。重くなった瞼を静かに閉じ、意識はゆったりと暗転して行った────















涙を流しながら、健やかな寝息をたてはじめたフェンテの頭をゆっくりと撫でる。


『……許さない』


神だかなんだか知らないが…優しいフェンテを傷付け続けている事を許す事なんて出来ない。

イライラが止まらない。なんでフェンテにこんな仕打ちができる?誰よりも優しいフェンテに、よくも、よくも……


だがそんな事を言っても、相手が悪い。悔しいが、一人で敵う相手では無い。自分だけなら別にどうなろうとどうでもいい。けれど、その後にフェンテはどうなる?悪魔である自分と関わりを持っていたことが知れれば、無事ではすまない事は目に見えている。だからこそ、無闇に動くことが出来ない。

ぎり、と奥歯を噛み締める。こんなにも歯痒いことはないだろう。


『……はぁ…今はフェンテくんと2人なんだし…別の事考えるのやーめよっ』


思考をリセットし、寝ている彼に再度キスをする。

時々、心のキャパシティが溢れて不安定になってしまうフェンテだが、今日のような事になってしまう事はこれまで無かった。あまりにストレスが溜まりすぎていたのだろうか……。何にせよ、彼には休んでもらわねば。


『……ゆっくり寝て、元気になってね。フェンテくん』









暖かな陽だまりの中、静かに眠る天使フェンテと、それを愛おしそうな視線で見つめる悪魔パレンの2人だけの時間。その時間は、誰も邪魔をすることは許されないのだった。





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コメント

5

ユーザー

可愛い……これから「おやすみ」に繋がるのかぁ…… そして…え〜っとチェンソー持ってきて、神のブツを切り落とせばいいかな?

ユーザー

可愛いねぇ……可愛いねぇ……( ◜ᴗ◝) それはそうとして神に釘バットをぶつける覚悟は出来ました。

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