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ガチャ、ギィーーッ。カランカラン。
スマホをもって店の外に出た。
御守りについては専門家に任せていいだろう。俺がすることもないだろうし、見れないならば余計に興味も失せる。
それよりもスマホだ。
鬼海先生から言われて画面を見たら驚いた。大量の着信に、だけじゃない。
相手が相手だったから。
だから俺は少し歩いて店から離れた。なんとなくアイツらには聞かれたくない。
表示されてた名前は【伊達 天《イダチ テン》】
元カノでもあるし、今も仲がいい友達の一人。そして本人曰く『霊感がある』らしい。
もう大丈夫だろうってところまで歩いて電話をかけ直そうとした。すると、
ティルルルルル!
ちょうどまた着信。
いつも思うけどコイツの連絡ってめっちゃタイミングいいんだよな。
俺はすぐさま応答を押した。
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「、、、久しぶり」
「ウタ!大丈夫!?前からなんか嫌な感じがあってずっと連絡してたんだよ!見てなかったでしょ!!」
開幕早々に怒られた。普段はすげぇタンパクなのに、怒ると怖いんだよな。しかも砕けた敬語がタメになるとこも変わらんな。
今日、何度も思い出した大学時代。先輩と幼馴染とテンで笑い合ってた。それをまた思い出して、とても懐かしく思えて、今との差もあいまって、俺は思わず笑ってしまった。
「あははは!」
「ウタ?ほんとに大丈夫?おかしいよ。なんか変なことでもやってない?怪しい宗教とかハマってない??」
「大丈夫大丈夫!詐欺かと思ったら本物だったからな。いろいろ心配かけて悪かった」
「なにそれ?どういうこと?全然安心できないんだけど!!」
「まあいろいろあったけど、大丈夫になったんよ。今度ちゃんと詳しく話すから今は安心してくれ」
「なにそれ、、、なんで頼ってくれなかったの、、、?」
急に声が暗くなった。
「どうした?テン?」
「なんでもない!!」
「ん?おう」
「今度はちゃんと連絡返して。必ず」
「ごめんって。ちゃんと返すよ」
「それとご飯奢ってくださいね。めちゃくちゃ辛いラーメン屋見つけたんで。いいっすよね?」
「あ、ああ!」
「じゃあおつかれっす」
「またな」
「はい」
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- 怒らせたか?
- 確実に怒らせたな、、、
アイツの辛いもの好きに付き合うのしんどいんだよなぁ、、、それわかった上で言ってるよな?
改めて着信履歴を見た。そしてSNSもテンのページを覗いた。するとテンから結構な数のメッセージがあった。だいぶ前から連絡を返してなかったのもわかった。内容はどれも心配ばっか。
- 俺が悪いな、、、
元カノとはいえ、今でも仲の良い友達だ。こんなに気にかけてくれている。
- 次に会うときは埋め合わせ頑張ろう
テンからのメッセージを一通り見たあと、アプリのホームに戻った。そしたら他にも何人か連絡を返してなかったことに気づく。
- やば、、、
なんかほんと無気力になってたよな、、、俺。
そもそもにあの“影”、ナギが言う通りなら神らしいが、アイツが家族や友達の顔まで借りてきたのが悪い。
クソみたいにそのままの顔で俺に襲撃してきやがった。だから反撃したんだが、アイツらの顔をしたやつに暴力を振るった記憶は消えない。
だから気まずかった。
だからアイツが許せない。
俺が死ぬのはいいけど、アイツに殺されんのは気に食わない。
- ダメだな、、、ほんと
無気力になってたせいで怒りまで湧かなかったか、、、っていうか今日は絵に夢中になってどうでも良くなってたわ、、、
でも無視が一番効くとはよく言うよな。霊でも人でも。だったら神でも効くか?
- 直接ぶん殴れたら、、、
- って効かなかったんだよな
だからってナギにやってもらうのはなんか違う気がする。というか一発は自分で殴りたい。だったらいっそのこと、ナギにそういう力でも貰えれば、、、
- また契約でも結ぶか?
- でも対価になにを差し出す?
- あとで榊さんに相談してみよ
- って戻らないと、、、
足を店の方に運びかけて、止める。
鬼海先生がいるんだった。
- 帰ってくんねぇかな、、、
- そうだ!一旦!
- 一旦、スマホで生存報告をしよう!
あの魑魅魍魎と話すよりかは何千倍もマシだ。
えーっと、、、母親と姉からもあるけど、これは長くなりそうだな、、、でも早めに報告しないと家に来そうだ。明日ちゃんとやろう。
とりあえず、先輩と幼馴染からの連絡は返そう。そっちは手軽でいい。
まずは先輩から行こう。
【太田 結良《オオタ ユラ》】
先輩の名前が書かれたアイコンをタップする。
「うわぁ、、、」
定期的に俺を心配するメッセージが届いてる。しかも時間をピッタリ合わせているのが余計に怖い。内容も怖い。最近のだと1番これが怖いな。
『君の生存確認を定期的にするAIを作ろうと思ってるんだけど、意見を聞かせて欲しいな。私は素晴らしい提案だと思っているよ』
- まずどうやって作るんだよ
- そもそも勉強苦手だっただろうが!
- ああ、でも、なんか執念でやりそう
- あの人はそんな怖さがある、、、
『生きてます。大丈夫になりました』
これだけ送ればいいか。
- ん?
- なんか誤解与える?
ホラー小説でこういう返信あったな、、、
- まぁ、いいか!
- なるようになれ!
- 大丈夫だ!たぶん!
多少の先輩への苦手意識と今日の疲れで思考が荒い。まぁ明日また返事送ればいいや。
次は幼馴染にも連絡しよう。
でもその前に少し懸念点が残る。
- こいつも霊能力が高いとかないよな?
少し考える。記憶を振り返る。そんな感じはない。親同士が仲良くて物心つく前からの仲だ。そんなんあればさすがに気づく。
先輩はそういう素振りがあったし、テンは自己申告されたし、大丈夫だろう!たぶん!
適当に自分を納得させて
【与那覇 嘉音《ヨナハ カノン》】
って幼馴染の名前が書かれたアイコンをタップ。
『新曲作ったからみて』
- じゃねぇよ!
- しかも何件あんだよ!!
- アホか!!!!
ナギや先生とは違っためんどくささがある。ってかコイツよく社会人やりながらこんな曲作れんな。俺には無理だったのに、、、あぁ、、、
- ウゼェ、、、
- でも、たぶん
先輩からなんか聞いたんだろうな。それでこの生存確認だろうな。だからってこの確認方法はないだろう。しかもタイトルみた感じ、俺のことかいてないか?
URLとともに表示されてる動画投稿サイトのテロップ。相変わらず良いもん作るよな。その上で大衆受けしそうなのがムカつく。
コイツは適当でいいや。
『俺は無事だから勝手にやってろ』
これでいい。既読だけでも充分伝わるのを返事までしてやったんだから、満足するんじゃないだろうか?ってか笑い飛ばしながらそれすらも歌詞に使ってきそうだな。
前に喧嘩した時、『うっせぇ!歌詞にすんぞこの野郎!!』って言ってたわ。
ちゃんと実行してるあたり憎らしい。
ってか上手くラブソングに使ってねぇか?
追加でもう一言送ろう。
『そんでくたばれ』
これでいい。うん!いや
- ダメだ、、、
- 疲れて思考が適当すぎる
この流れで他の人はマジでミスる可能性がある。コイツらみたいには出来ねぇ。
- 他の人には、、、
- うん!明日!!
- 明日には、、、
- たぶん正常になってると思うから
- そのとき送ろう!
- 今はダメだ
「はぁ、、、」
なんて先のことを考え出すと、やることの膨大さにため息が出る。
でもまぁ、、、
- 悪くない
でも今のところの優先順位は絵だ。
- 俺は早く帰って絵が描きたい
そう思いながらスマホを閉じて、喫茶店に向かおうとした瞬間
ブワッ
って、“圧”が通り抜けた。
喫茶店を見れば強く光ってる。
直感でわかった。
- ナギだ
地獄を見せられる前に、ナギが怒った時の根源に響いたようなあの感覚。そして雰囲気。
なんとなくとしか言えないけれど、わかる。
霊能力が強化された影響だな。
- やっぱあいつ、、、
- いや待て!!
このあたりで光や圧については、考えるのをやめよう。思考で深追いをしないでおこう。絶対にまた痛みがくる。俺は別方向に思考を切り替えた。
とりあえずわかることを整理だけしよう。
この光と圧には怒りが滲み出てるな。
なんでかわかる。これも恩恵のおかげか。
- ほんといろいろ感覚かわったな、、、
とりあえずこの方向で思考進めよう。
まあそういう風に思わないでも自然に思考は意図する方向に流れていったけど。この事態の原因について。
たぶん、いや確実に絶対に
- 先生が元凶だ
まぁ軽く先生の笑い声が聞こえるんだから答えは丸わかりなんだが、、、
そういえば今日初めて病院外で会ったな。
アレが素の状態。普段の数倍は酷い。酷すぎる。アレと一対一はめっちゃしんどかった。
だから今回ばかりはナギに同情する。ってか俺のためにやってくれてんだよなぁ、、、
- ん?あ!
ナギのある発言を思い出した。俺に憑いてる影の対処は先生でもできるとか言ってたな?
だったらあの人に診察外で借りを作ることだよな?行動を共にする可能性もあったよな?うっっっわ、、、、、、
- 絶対にいやだわ
霊能力の強化でも感謝したけど、これも感謝しなきゃだな、、、
- ありがとうナギ
喫茶店の方向に向けて合掌した。
- そんでごめん
- 加えて頼むわ
- 先生との対話も頼んだ!
- 俺の代わりに頑張ってくれ、、、
- 出来れば追い払ってくれ!!
って思ってたら、
ガチャ、ギィーーッ。カランカラン。
先生が店から出てきた。
- 願いが叶ったか?
- いや、その前に考えてたこと、、、
- バレてないか?
俺はハラハラしながら身構えた、が
先生は俺に気づかず、店を一歩出たところで立ち止まった。そして空を見上げ、少し感傷に浸ってるようだった。
- なにがあった?
って俺が考えたらすぐさまこちらを向いて
「あははは。追い出されちゃった」
なんて笑いながら言って、舌を出した。
怒られた子供のように。
- あんたがそれやっても愛嬌はねぇよ
- まぁいい
- もう帰るってことだよな?
- ナギ!よくやった!
- このまま帰ってくれ!!
「ふふっ。千葉くん。ちょっと今から面白いこと体験してみないかい?悪くない提案だと思うんだ。だから目を閉じて。それさせてくれたら帰るから」
「なんなんですか急に??」
- そのまま帰れよ!!!
「んふふふ。いいからいいから」
- めんどくせぇ、、、
- でも抗うのはもっとめんどくさいよな
- 従っておけば帰るって言ったし、、、
「わかりましたよ、、、」
しょうがなく言う通りに目を閉じた。
ほんの数秒のことだった。
なんか、変な力が伝わってくる。
それに縛られるっていうか纏わりつかれてるような、変な感じが全身を覆った。
「なにやってんすか?」
「あははは。もう目を開けていいよ。君は今からぬらりひょんだ!だから安心して中に入るといい!!」
「はぁ?」
ガン!!!!
なにかがぶつかったような音が聞こえた。
これもナギだ。絶対にナギだ。
- マジでなにやったんだよアンタ、、、
- そんで罪状を重ねようとしてない?
- ってか俺を共犯にしてない??
「安心して?あれの中に入れって言いました?拒否権を行使したいんですけど」
「あっはっはっは!たぶん一回だけだから大丈夫だって!」
ジャンッ!!
店のドアになんかが強く当たった音がした。
- 予想が外れてんじゃねぇか!!
「俺も帰りますね」
「御守りを受け取らないでいいのかい?今度こそ!大丈夫大丈夫!!あははは!じゃあね!!!」
そう言って先生は、そそくさと帰ってった。
アレ絶対に予想外だろ、、、そんな誤魔化し方だった気がする。逃げるように去っていったし、、、大丈夫かこれ?
- え、どうしよう、、、
コメント
1件
おお、テンちゃんとの電話、めっちゃ気まずそうで笑ったけど「なんで頼ってくれなかったの」って声が暗くなるところ、じんときましたね…。それに先輩の「生存確認AI作ろう」が怖すぎる(笑)。先生のノリも相変わらずで、ぬらりひょん扱いされたウタが不憫だけど面白い。キャラ同士の温度差が絶妙で、ほっこりと心配が混ざるいい回でした。次、どうなるんだろう…!