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《神話を超える双星の勇者》
第4話:「雷の剣士との出会い」
 
 魔獣グリドラスを倒した翌日、カイ、リナ、セリアは村人たちに見送られながらベルナ村を後にした。リナは戦いの余韻を胸に刻みつつ、今後の試練に向けてさらに強くなることを誓っていた。
 「もっと強くなりたい…もっと、兄さんと肩を並べられるように。」
 そんなリナの決意を、カイは微笑みながら見守っていた。
 
 ■ 雷鳴の剣士
 次なる目的地は、「ルミナスの神殿」。そこには神託に関わるさらなる試練が待っているとされていた。
 しかし、その道中で三人は異様な空気を感じ取る。空は曇り、雷が遠くで鳴り響いていた。
 「…何かいるな。」
カイが立ち止まり、剣に手をかける。
 その瞬間、雷鳴と共に一人の青年が目の前に現れた。鋭い眼差し、長い銀髪、そして腰には雷を纏う剣が光っている。
 「貴様ら、何者だ?」
 青年の名はレオン・フェルガルド。雷の神の加護を受けた剣士であり、この地を巡る試練の戦士だった。
 
 ■ 力を示せ
 「この地は、神の試練に挑む者のみが通れる。弱者に用はない。」
 レオンは冷たく言い放ち、剣を抜く。
 「力を示せ。さもなくば、ここを通すわけにはいかない。」
 カイは一歩前に出て、静かに剣を抜いた。
 「ならば、力で証明する。俺たちは、神託を超える覚悟を持っている。」
 リナも躊躇うことなく兄の隣に立った。
 「私も戦います。私も…証明したいんです。」
 
 ■ 一騎打ち
 戦いが始まった瞬間、雷が轟いた。レオンの剣は雷を纏い、その一振りはまるで空を裂くようだった。
 「来い、最強の剣士よ。」
 カイは真剣な眼差しでレオンに立ち向かう。二人の剣が交差し、火花が散る。
 しかし、レオンの動きは速かった。雷の力による超速の斬撃に、カイは防戦一方となる。
 「速い…!」
 リナは焦りながらも、自分にできることを探した。
 「私にも…何かできるはず…!」
 
 ■ リナの決意
 リナは、レオンの隙を探しながら周囲を見渡す。そして、地面の雷光が一瞬消えた瞬間に、レオンの足元に石を投げた。
 「今だ、兄さん!」
 一瞬の隙に、カイの剣がレオンの雷刃を叩き落とす。雷が弾け、レオンの動きが鈍った。
 カイはそのまま剣を突きつけた。
 「これで終わりだ。」
 レオンは驚きの表情を浮かべながらも、ゆっくりと剣を納めた。
 「見事だ…。まさか、俺の雷刃を破るとは。」
 
 ■ 仲間となる
 レオンは微笑み、頭を下げる。
 「その強さ、そして絆。俺の負けだ。…名を聞かせてくれ。」
 「カイ・アストリア。こっちは妹のリナ。そしてセリア。」
 レオンはリナを見つめ、静かに言った。
 「お前も強いな。努力の光が見えた。…その心意気、俺は嫌いじゃない。」
 リナは驚きながらも、強く頷く。
 「私は、努力して兄さんと並び立てるようになる。…そのために戦っています。」
 レオンは微笑むと、剣を腰に収めた。
 「ならば、俺も共に行こう。神託に挑む者として、お前たちに力を貸す。」
 カイは驚きながらも、その申し出を受け入れた。
 「ありがとう、レオン。共に、運命を超えよう。」
 
 ■ それぞれの誓い
 その夜、焚き火の前で四人は語り合っていた。
 カイは静かに語る。
 「俺は、リナと共に神託に抗う。どんな困難があっても、必ず超えてみせる。」
 リナも誓うように言葉を紡ぐ。
 「私は努力を重ねて、兄さんの隣に立てる存在になる。そして、神託を超えてみせる。」
 レオンは静かに微笑む。
 「俺は、お前たちに興味がある。ただの強さではない、その『絆の強さ』に。」
 セリアは焚き火の炎を見つめながら言った。
 「神に選ばれた者が運命を超える…。それができれば、きっとこの世界は変わる。」
 
 ■ 旅立ち
 翌朝、四人は再び旅立つ。
 「次は、ルミナスの神殿だ。」
「神託の真実を掴み取るために。」
 リナは強く剣を握りしめた。
 「…負けない。私の努力は、必ず実を結ぶ。」
 そして四人は、次なる試練の地へと歩みを進めていった。
 その背中は、確かに強く、そして希望に満ちていた。
 
 第4話・完