カフェを出て、先を歩く矢代チーフの後をついて行く。
「ここだ」
と、チーフが立ち止まったのは、あのドリーミーカプセルの直営ショップだった。
「こんなところに!」と驚く私に、「さっきブースを見た時に、この駅ナカに店があったことを思い出したんだ」と、チーフが話した。
「それで、きっと君も行きたいだろうと思ってな」
いたずらっぽい笑顔で言うチーフに、またしてもキュンとさせられる。
「……私のために、ですか?」
そんなことって──どうしよう、たまらなく嬉しい!
「ああ、せっかくだから君と来たいと思ったんだ」
私と、来たいだなんて……。あんまりにも嬉しすぎて、涙が出ちゃいそうなくらいだった……。
「どれもかわいいですよね〜。やっぱりドリカプのキャラクターって」
「ああ、そうだな。僕も、好きだよ」
『好きだよ』だなんて、まるで自分に言われたみたいで、心臓がバクバクとして口から飛び出すんじゃないかと思えてくる。
動揺のあまり妙な間が空いてしまい、私はなんとか話題を逸らそうと、そばにあったミコ&リコのグッズを思わず手に取った。
「こ、これなんて、すごく、か、可愛くて」
場の雰囲気を変えようと焦るあまり、しどろもどろになる。
「うん、かわいいな。それは、ペアグッズみたいだよな」
「えっ?」──指摘をされて、改めて見れば、それは真ん中から離れるようになっているタイプのキーホルダーで、”好きな人と、ペアでどうぞ”と、ポップが付いていた。
「あっ、や、いえ……その、ペアだからとか、そ、そういうのじゃなくて……」
さっきのチーフの一言もまだ冷めやらないこともあって、『好きな人と……』なんていう言葉に、めちゃくちゃ動揺する私──。
「そんなに気に入ったのなら、僕がそれを買おうか?」
「い、いえ、いいい、いいです!」って、私ったらどれだけ”い”って言うのよ。これじゃあ話題を逸らすどころか、あからさまに動揺しすぎだってば!
「遠慮しないでいい。君はいつも頑張っているし、僕からのご褒美だ」
「で、でも……」
買ってもらうだなんて申し訳なく思っていた私は、次のチーフのセリフに心臓をギュッと鷲掴まれてしまった。
「僕とペアで持つのは、嫌かな?」
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