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結局、この2日間。
早朝は、お散歩しながら銀杏拾い。
お昼のお買い物には参加せず、歩いて15分程の図書館。
夜は、スーパーで安くなった食材漁りをして、御飯を作って。
我ながら平和な2日間だったと思う。
ただひとつの誤算は、帰りの電車の中で……
「これ、袋の上からも、匂うような気がしませんか」
美洋さんが言っているのは、もちろん銀杏のことだ。
袋を5重にしているのに、ほのかに匂う。
「最近の買い物袋は、通気性がいいのです……」
未亜さんですら、お手上げ状態。
ディパックに匂いがつきそうだったので、紙袋に入れて僕が持つ。
気のせいかもしれないけれど、電車の中の他からの視線が痛い。
「これ、袋の中で程良く蒸れて、余計に匂いを出していませんか」
「そうだとしても、私達には何も出来ないのです」
未亜さんの今の表情が、全てを物語る。
結局、帰ってからも袋を開けることなく、そのまま僕の部屋のベランダへ。
開封は、翌日放課後という事になった。
◇◇◇
準備室の換気扇は全開になっている。
入口扉も、その先の廊下の窓も開けてある。
準備は万全の中、僕は重くて臭い紙袋を、テーブルの上へ。
「これは……凄いな。色々な意味で」
先輩が苦笑する。
そして先生は、巨大サイズのボールとカゴを取り出してシンクに置いた。
「まずは、この中に開けましょう」
ボールに水を溜める。
先生はさらにハサミ、ゴム手袋いっぱい、よれたたわしを取り出した。
「このたわしはビーカーなどを洗うための物ですけれど、もうよれていて捨てていい奴ですから。心置きなく使って下さい」
そういう事で、いつものメンバー+亜里砂さんの前で、袋をハサミで切って開封。
1枚、袋を取るごとに、濃度を増す臭気。
しかも3枚目からは、何か臭い液体が溜まっているし。
そして、いよいよ各自が銀杏を入れた買い物袋多数まで辿り着いた。
酷い匂いの中、僕はゴム手袋をした状態で、袋のひとつにハサミを入れ、中の銀杏をボール内のカゴに投入!
十数袋の銀杏を全部ボールに入れて、汚染された袋をまとめて、ゴミ袋の中へ。
ちょっとだけ匂いが遠のいた気もするが、多分気のせい。
何せ匂いの本体がボールの中にいるから。
袋の中で程良く熟れた感じで、柔らかそうな状態になっている。
「あとはこの中の銀杏を剥くだけです。その前に、川俣さん。いつもの」
「あいよ」
川俣先輩は引き出しの中から、リトマス試験紙を取り出した。
溶けかかった感じの銀杏に、ぺとっ、とつける。
紙が、さっと青色になった。