二人とも優しくて、いいやつだから俺は何もしない。何もしないで、たまに康二に抱かれる。
そんな自分が嫌になったら、一人でいる。
誰かと遊びに行ってもいいし、家に引きこもってるのも大好きだし。
忙しくしていたら、時間は経つし。
そうだ、筋トレもぐっすり眠るためには有効だった。今日はジムにでも行こうかな。あ。今俺、体調悪いんだった。
阿部ちゃんに起こしてもらって、いつも通りに歌番組の収録に参加する。
身体は少しだるかったけど、スタジオのライトを浴びていたらもうどうでもよくなった。
誰かに見られる仕事っていうのは、本当にいい。背筋がピッと伸びて、画面の向こうで愛されている喜びに包まれてゾクゾクする。
🖤「阿部ちゃん、可愛かった」
💚「やめてよ、こんなとこで」
🖤「思ったらすぐ言いたくて」
💚「めめったら」
二人の横を通り過ぎた時に、聞こえたひそひそ話。胸がぎゅっと痛んで、笑顔でお疲れを言って通り過ぎた。
あーあ。
カメラを通してたくさんの誰かに見られて喜んでいた気持ちが、こんなつまらないことでかき消えてしまう。誰かって誰だよ。俺のこと抱きしめもできないくせに。
恋って、不思議だ。
それに、俺って欲張りだ。
💙「康二、この後焼肉行かない?」
俺は康二に、わかりやすい癒しを求めて声を掛けた。
おわり。
コメント
11件
こういう切ないのもいいねぇ😌
康二が不憫だけど、これはこれで1つの形なのかも…と思って、また不憫になって、を繰り返してる🤔 まぁ、一番不憫なのは間違いなくしょぴだけど……