テラーノベル
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「分かったよ友美君、皆の重い空気を感じないわけではないからね。直す部分を熟考しよう」
そう言って理香はUSBメモリをタブレットPCから抜くと、自分の席に戻っていく。
「次は誤植と語部か……どっちが先にやるかだが……」
「あれ!? これ間違っているよ!?」
愛がキーボードをカタカタと打ち鳴らし、あたふたと迷っていると、書也が手を上げる。
「俺がやります! まだ愛のプロットは完璧ではないみたいですし」
「分かった語部、前に出ろ」
「ありがとう書也君……助かったよ」
愛が笑顔で言うと、書也は安堵の溜息をした。
「良かった……俺のこと嫌いになったわけじゃなかったんだな」
「あの……わたしその……昨日はちょっと調子が悪くなっただけなんだよ。急に胸が熱くなったというか……」
「風邪か? 部活続けて大丈夫なのか?」
「い、今は大丈夫だよ!?」
愛はそう言うと、顔を真っ赤にしているので、まだ本調子ではないのかと書也は思った。
「そうか……まだ顔が赤いけど、大丈夫なのか?」
書也が額に手を当てると、愛はさらに顔を赤くした。
「う、うん!? 本当に大丈夫だから!?」
「おーい、リアルなラブコメしてないで、早くしろ」
教子先生がチベットスナギツネのような瞳をこちらに向けて言う。
「リアルなラブコメって、何です?」
周囲な反応がなぜか可笑しいと書也は思った。なぜなら、エロスはなぜかにやけ顔で見ており、幽美に関してはむすっとお餅みたいに頬を膨らませ、こちらを睨んでいた。友美は無反応だが、理香は面白い実験動物でも見ているかのような目だった。
「はぁ……分からないならいい。準備しろ」
書也は納得がいかないものの、前に出ると、タブレットPCにお気に入りの竜のロゴマークが入った紅いUSBメモリを挿入した。挿入すると、何度も紅い光を発するので、気に入っている。
「語部、お前のUSBメモリ目立つな」
教子先生のジト目が書也に向けられる。
「かっこ良くないですか? この光具合とか……」
「お前にそういう趣味があるとは……分かった、続けろ」
書也はプロジェクターに自身のプロットを映した。
「俺のプロットのタイトルは《新東京都心異能力バトル》です。えと……コンセプトは異能力をかっこ良く魅せるバトル展開です」
書也は緊張のためか、足を震わせ、声まで震わせて言う。
「ちょっと書也! いきなりコンセプトではっきりしなくない? どうかっこ良く魅せるのよ? 小説は漫画じゃないのよ!」
友美がヤジを飛ばすように言う。眠そうな瞳と目の下の隈のせいか、睨んでいるように思えた。
「熱情、語部がプロットのプレゼンを終えてから言え。言い忘れたが、いつもの通りに批評はプレゼンを終えてからがルールだからな」
「……分かったわよ」
友美は肯定するも、納得できないように言う。
「そ、それじゃあ……まずはキャラ設定から主人公は……」
書也はしどろもどろになりがらもプロットのキャラ設定、あらすじの説明を始めた。
「……い、以上です。ご清聴ありがとうございました」
書也は勢いよく会釈し、プロットのプレゼンを終えた。
「まあ、語部は入ってから間もないし、プロットのプレゼンは初めてだ……批評する奴はお手柔らかにな。というわけで語部を優しく指摘できる奴」
教子先生の声に皆の全ての手が上がる。
「多いなおい、突っ込みどころ満載なのは分かるが……」
「わたしが書也君の批評をしていいですか?」
愛が言うと、書也は思わず安堵して、息を吐いた。
「仲の良い友達同士の批評だと、評価が甘くなるんだがな……分かった、批評してみろ」
「ありがとうございます。それじゃあですね、わたしのパソコンをプロジェクターに映してください」
「分かった今すぐ……誤植、ちょっと待て……」
教子先生がパソコンのマウスとキーボードを操作してから、モニターを青ざめた表情で見る。
「教子先生……どうしました?」
「どうしたもこうしたもない!? 誤植! 誤字脱字のチェックはしたのか? 編集した語部のプロットのコメントが誤字脱字だらけだぞ!?」
「へえっ!? ご、ごめんなさい!? す、すぐに直します!」
教子先生は謝る愛に歩み寄り、レーザーポインターを渡した。
「とりあえずは指摘したい部分をこのレーザーポインターで指し示せばいい。語部、少し面倒になるが、誤植が示した部分をスクロールしてやってくれ」
「はい、分かりました」
「それじゃあ、書也君、ばしばし言うから覚悟してね」
「お、おう。どんどんこい!」
「誤植、お手柔らかにと言っただろ。語部はお前とは違い、入ったばかりだ」
呆れ顔で言う教子先生。
「構わないです! 頼むな愛」
「うん! それじゃあ、批評していくね。まず設定の部分で気になったんだけど。世界征服を企む悪の超能力者組織アクダマーの侵略が地域限定で新東京都心にしか現れないのが気になったんだけど……新千葉シティの遊園地や海に行ってる時に主人公の竜牙君が奴らは新東京都心にしか現れないからと言ってヒロインの美獣姫ちゃんを安心させたと書いてあったから、どうしてかなと思ったの」
愛は悪の超能力者組織アクダマーの設定部分を教子先生に渡されたレーザーポインターを使い、赤いレーザーで指し示した。
「うんと、確か……アクダマーの組織は新東京都心を拠点に活動している組織で、東京を支配してから、他の都道府県を支配するっていう魂胆だったかな……深くは考えてなかったな」
「うん、ありがと。それじゃあ、世界征服を企む悪の超能力者組織アクダマーは新東京都心はおろか、都市の一つも支配できていない訳だね。五十年前から活動している組織の設定だけど、超能力者を拉致して洗脳する事を行っているんだけど。やっている事は企業に取り入って悪さをするとか、小さな飲食店とかスーパーで嫌がらせするとか、規模が小さい悪徳業者の印象があるんだけど」
「地下の基地に研究や計画を重ねてかな……まだ世界征服の段階ではないと、アクダマーは思っているのかもしれない」
書也の問いに愛は本当に不思議そうに首を傾げる
「五十年もかけて? 書也君、その設定は少し甘いと思うよ。とりあえず次の質問なんだけど、一話の自分の弱点を暴露する敵キャラ、アクダマーの超能力者、ダイヤエースだったかな? 自身の身体をダイヤにして防ぐダイヤアーマに対し、竜牙君の能力は人を武器に変える能力。竜牙君は美獣姫ちゃんを剣に変えて攻撃するんだけど、歯が立たない。そこでダイヤエースは巨大なハンマーでなければ、俺は砕けないと言って、弱点を暴露しているよね? どんな武器になるか分からないけど、妹の炎華ちゃんをいちかばちか、武器に変えてみようって、運良くハンマーになってダイヤエースを撃破。ちょっと気になる部分かな?」
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#変身ヒロイン