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「じゃあオレの実家行こう!!」
会長が直接向かうならと、長話で歩を進めてなかったオレたちは駅に向かい出した。
まさか岩本先生が森の動物たちシリーズ好きだとは、他にも好きな物あったりするのかな?
道中聞いてみよう。
見た目は強面だけど案外、優しくて話しやすい印象になった。
駅からは3駅程なので近くも遠くもない距離にある。
実家は父親が倒産した事により、豪邸からマンションに移った。オレは3月から4月までの間、約1ヶ月しか過ごしてないけどね。
1人で歩くより誰かと話ながら歩くと、時間が早く流れて行き、あっという間に目的地へ着いてしまうような錯覚に陥る。
列車に揺られ降りた後、徒歩5分圏内のマンションに辿り着いた。
それまでの間が結構大変で駅から降りた時から、深澤先生は駄々を捏ねていた。
「えっ駅からまだ歩くの!?俺もう歩きすぎて足が痛い」
「深澤先生、こんな距離まだまだですからバテないで…」
「無理なものはムリ」
「生徒が歩いてますし、ほら頑張ってあと少し頑張って」
岩本先生が励まして何とか到着したのだ。
オレのマンション前に、黒塗りのいかにも高級ですって感じの車が駐車している。
これってやっぱり?
と思っていると車のドアが開き運転手が降りて来て、後部座席のドアを開き一礼する。
中から出て来たのはやっぱり会長
いつもの制服姿しか見ていなかったけど、今日の格好はなんというか
まるで少女漫画のワンシーンみたいじゃねぇーか、コレ。
ブラックのシックなスーツに、同じ色のネクタイ。
白いワイシャツがその下で静かに光っていて、
普段よりずっと大人びて見える。
更にいつもと違う七三分けの髪型が、思いがけないほど似合っていて――胸がきゅっと鳴った。
ただのヘアスタイルの変化なのに、こんなにも心を攫われるなんて。
視線が触れた瞬間、時間がゆっくり流れだす。
見惚れていることに気づかれたくないのに、どうしても目が離せなかった。
生徒会長までスーツ姿だった事に岩本先生は軽く落ち込んだ様子で「生徒の家庭訪問だというのに、何故俺はラフな格好してしまったんだろう」と後悔し始めていた。
少女漫画な会長はまだこれで終わらず、車のトランクから花束を取り出した。
「……こんなことする人、オレ見た事ねぇって……」
思わず口から漏れた本音に、
会長はいつもの落ち着いた声でふっと笑ったように見えた。
なんて言うんだ。
それがまた、腹立つほど似合ってんだよ、スーツも、笑顔も、全部。
スマホで撮りたくなり取り出して会長へ向ける。
「会長1回でいいから写真撮らせてよ!」
その場のノリでオレは、会長にお願いしてみた。
怪訝な顔を浮かべたが、断らなかったしカメラアイコンをタップして、中央の●ボタンを押した。
連写されるシャッター音が響く
「おいお前1回って言っただろ」
「ボタンは1回だろー」
オレは会長を写真に会長を収める事に成功した。
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