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うぃな^^
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水瀬菜音
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水瀬菜音
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「……」
全部署合同で開かれた飲み会。グラス片手に目を遣る先には、……私の想い人である阿部さんと、彼と親しげに話す、広報部のさく美さんの姿が。
何を話しているかまでは聞き取れないけど、阿部さんはよく笑って、時々頬を赤らめたりもしていて。
「(……あれ、確実に好きな人への態度でしょ)」
さく美さんは、社内でも一、二を争う美人(ちなみにその座を争っているもう一人は清掃員の涼子さんである)で、性格も明るくて、愛嬌があって。……そんな人、男の人なら誰でも好きになっちゃうに決まってる。
阿部さんだって、きっと──
「……っ、」
2人の楽しそうな姿を見たくなくて目を逸らし、現実逃避をするかのように次々とお酒を呷っていれば。
「(うう、やばい飲みすぎた……)」
まあそりゃ、こうなるよね。
『……〇〇、大丈夫か?』
向かいに座っていた渡辺部長が眉をひそめて私の顔を覗き込む。まずい、傍目から見て心配になるくらい酔ってるのか私。
「ぜーんぜん大丈夫ですよぉ。何ならもう一軒いけますしー」
『誰がこんな見るからに出来上がってる人間を二次会になんか連れてくかよ。もうお前帰れ。
……阿部、方向一緒だったよな?送ってやって』
『あ、はい』
「え」
突然命じる渡辺部長、流れるように返事をする阿部さん、あまりの衝撃にちょっと酔いが覚める私。
「え、あの、それじゃ阿部さんが二次会行けないじゃないですか」
『大丈夫だよ。俺も元々一次会だけで帰るつもりだったから』
私ににこやかに笑いかける阿部さん。いつもと変わらない優しい表情だけど、内心では断りたいに違いない。だって、彼にはさく美さんがいるのだ。
「いや、そんなの悪いです……!私は一人で帰れるので、阿部さんは二次会までしっかり楽しんでください!」
『……俺と一緒に帰るの、嫌……?』
「えっ」
眉を下げて、こてんと首を傾げる阿部さん。狡い。そんな顔されたら、断りたくなくなっちゃうじゃない。
私、貴方のために身を引いてるんだけどなぁ……
「……すみません。じゃあ、お言葉に甘えて」
私の返答に、ぱあっと明るくなる表情。必死に抑えつけている想いがまた爆発しそうになって、私は慌てて彼から目を逸らしたのだった。
『じゃあ阿部、〇〇のこと頼むわ。あ、送り狼にはなるなよ?笑』
『なりませんって!』
店の前で繰り広げられる渡辺部長と阿部さんの掛け合い。部長は爆笑、阿部さんは苦笑。私はというと、心の中で部長への悪態が止まらなかった。
急に変な命令して阿部さん困らせて、どういうつもりなの。送り狼とかとんでもないことまで言っちゃって……阿部さんの本命はさく美さんだって見てればわかるでしょ。鈍感すぎ、信じらんない。
『じゃあ、帰ろっか』
「……は、はい」
阿部さんに促され、歩き出した。
酔ってるせいで遅すぎる私の歩調に阿部さんは自然に合わせてくれていて、申し訳なさが募る。
私がやけ酒なんかしてこんなに酔わなければ、阿部さんは今頃、二次会に行くなり一緒に帰るなりしてさく美さんと楽しく過ごせていたかもしれないのに。
自己嫌悪に苛まれた私は、無意識に自分が一番傷つく話題を振っていた。
「阿部さん、本当にすみません……」
『どうして謝るの?〇〇さんは何も悪いことしてないでしょ?』
「してますよ……せっかくのさく美さんとの時間奪っちゃって、私ほんとに申し訳ないと思ってて……」
『……え?何でさく美……?』
呼び捨てか、やっぱり特別な仲なんだ。胸の痛みに気づかないふりをして、私は精一杯笑ってみせた。
「だって阿部さん、さく美さんのこと好きでしょ?私は部長みたいに鈍感じゃないので、ちゃんとわかってますよ。
さく美さんも、阿部さんと話してる時本当に楽しそうでしたし……美男美女カップル誕生の日も近いのかなぁ。私、応援してます!」
自らの傷口を抉るような発言をどうにか言い切る。私、今ちゃんと笑えてるかな。
私の言葉に、阿部さんは驚いたような顔をした後で、……やがて、困ったように笑った。
『……鈍感なのは、〇〇さんの方だよ』
「え?」
『さく美、俺の従姉なんだ。子供の頃から知ってるからほぼ姉弟みたいなもんだし、そりゃ仲良く話すよ』
「はぇ……?」
さく美さんが、阿部さんの従姉……?
『これ社内では結構有名な情報だから、〇〇さんも知ってるもんだと思ってた笑』
「い、いやでも、さく美さんと話してる時、阿部さん顔赤かったし……!」
『え、赤かった?うわ、顔に出ちゃってたか……恥ず、』
「ほらやっぱり……!」
『違う違う、誤解しないで。あれ、さく美に対してじゃないから』
「え?」
『さく美、最近彼氏できてさ。
元々その人とのことで恋愛相談されてたから、上手くいってよかったなって言ったら、そっちはどうなってるのって。
だから俺も、〇〇さんのことについて話してたんだ。それで……つい想いが顔に出ちゃってたみたい』
えっちょっと待って。
それって、つまり。
『……好きです、〇〇さん。
俺と、付き合ってくれませんか』
「えっ、ええぇえ……!?」
『決めてたんだ、今日の飲み会で絶対に〇〇さんに気持ち伝えるって……
どんな言葉でとか、そこに至るまでの雰囲気づくりとか、今日までずっと頭の中でシミュレーションしてて。でもいざ〇〇さんに会ったら、そんな計算全部吹っ飛んじゃって……
それで結局全然言い出せなくなって、渡辺部長にアシストしてもらっちゃったんだよね笑』
「……え!?じゃあ部長は、全部わかっててああ言ったってことですか!?」
『たぶんね……あの人、意外と鋭いよ』
ほんと敵わないよね、と苦笑いする阿部さん。
じゃああの唐突な命令は、私たちを2人きりにするための渡辺部長の気遣いだったってこと……?
……ありがとうございます部長、一生ついて行きます。心の中でとはいえ散々悪態ついてごめんなさい。
渡辺部長に内心で謝罪していると、阿部さんは私の表情を伺うように首を傾げた。
『返事、聞かせてくれる?』
「……はい。
私も、阿部さんが好きです。こちらこそよろしくお願いします」
私の言葉に、安堵したように微笑む阿部さん。
『よかった。振られちゃったらどうしようかと』
「振るわけないじゃないですか……阿部さんも、私の気持ちわかってましたよね……?」
『でも、さく美とのこと応援してくれちゃうんでしょ?笑』
「あんなの、強がって言ったに決まって……!
阿部さんのこと大好きなのに、そんなこと本気で言うわけないじゃないですか……」
『……あー、それ狡い、』
抱きしめたくなっちゃうからそういう可愛いこと言わないの、なんて甘やかな声で言われて、胸がきゅんとする。
酔いに任せて、抱きしめてくれていいのに……なんて大胆に返してみたら、阿部さんは苦笑しながら首を振った。
『今抱きしめたら俺、たぶん送り狼になっちゃうよ?』
「それでもいいです。阿部さんになら……」
『だーめ。酔ってる今は良いと思ってても、酔いが覚めて冷静に考えたら後悔しちゃうかもしれないでしょ?』
「後悔なんてっ……」
『……だから、そういうことはお互いお酒が入ってない時にしよう?』
「……!」
突然の爆弾発言に固まる私の指に、阿部さんの指がするりと絡められる。
『だから今日はここまでで我慢……ね?』
お酒による酔いはだいぶ覚めてきたのに、恋人繋ぎの形に繋がれた手の熱と、職場では見たことのない阿部さんの色気のある微笑みにまた酔わされていく私なのだった。
コメント
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この第1話、すごく良かったです!飲み会でのやけ酒からの「阿部さんはさく美さんと…」という主人公のすれ違い誤解が、まさか従姉妹だったとは…という伏線の効かせ方にやられました。渡辺部長の「送り狼になるな」発言も、実は後で効いてくる種明かしだったんですね。阿部さんの「そういうことはお酒が入ってない時に」という大人なラインも、設定の丁寧さを感じます。恋愛の不安と嬉しさがぎゅっと詰まった、心地よいテンポの1話でした!