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星晶学園。
この学園には、魔法少女が居た。
「…ということで、今日から君達は、この星晶学園の一員になります。それでは、良い学園生活を送ってください」
私も今日から星晶学園の生徒なんだ…!
あの地獄みたいな受験勉強も、今思えば苦しくはなかったかも…。
これから新しい学園生活…頑張らないとな…。
私は夕凪月。今日から高校一年生だ。
とはいえ、これくらいしか言う事は無いけど…
周りを見るとみんな優しそうだった。中学とは人も変わったから不安だな…でも、このクラスなら大丈夫かな。
「ねえ!君の名前は?」
後ろの席から肩を叩かれた。後ろにはオレンジ髪の小柄な女の子が居た。
「えっと…私は、月。夕凪月…です」
「そっか〜、じゃあるーちゃんって呼ぶね!あ、わたしの名前は花崎くるみ!よろしくね!」
初対面でもお構いなし…でもいい子そう。
「よ、よろしくお願いします…」
「別に敬語じゃなくていいよ〜、わたし達はもう友達だからね!」
勝手に友達認定されたが…学園生活最初の友達として、くるみちゃんとは仲良くしたいな。
「分かったよ、それじゃあよろしく!」
「こちらこそ!」
「一緒のクラスにはなれなかったけど…やっぱり月と居るのが一番落ち着くなぁ…」
そう言うのは幼馴染の草処陽毬。陽毬とは小学生からの親友だった。
「そうだね。ところでさ、そっちのクラスってどんな感じ?」
「あー、でも普通だよ。みんな優しかったし…月は?」
「私もそんな感じ。あっでも、後ろの席の子と仲良くなったよ。花崎くるみちゃんって子」
「へー…月って結構距離詰めるタイプだっけ?」
「違う違う、向こうからだって…」
何気ない話。昔の思い出話をするだけでも楽しいと思えた。
陽毬には口癖があった。「明日もきっと良い日になる」と。
その口癖は陽毬にとって励ましになるみたい。同様、私はその言葉に救われた事もあった。
別れ道。
ここで陽毬とはお別れだ。
「じゃあね陽毬。また明日」
「またねー、月!明日もきっと良い日に…
グサッ。
「…ぇ」
バタリ、と陽毬が地面に倒れた。
地面が赤く染まっていく。
「…陽毬!!何で…」
揺さぶってみても、意識が戻らない。
耳を澄ませても…呼吸の音一つすら聞こえない。
救急車…呼ばなきゃ…
急いでスマホを取り、119番の番号を押そうとした。
「待って。今直ぐその電子機器から手を離して」
が、その時背後から声が聞こえた。
後ろを振り返ると…そこにはエメラルドの髪をした少女がいた。
「どうして!?人が…血を流して倒れてるのに…?」
「大丈夫。私のお願いに同意したら、その子を助けてあげる」
「…お願い?それで、本当に陽毬は助かるの?」
陽毬が助かるなら…私は、私は何だってやってやる。
「分かった〜!じゃあ私と魔法少女になって、この街を救おう?」
そうして手を差し伸べる少女。
魔法少女?この子は何を言っているのだろうか。
「そんな夢物語みたいな事…本当に言ってるなら、今ここで証明してよ!!」
「全く、君は我儘だね。そんなに言うなら…今日は特別に見せてあげる」
その瞬間、視界が白く染まった。
目の前には、さっきのジャージ姿とは違う、天使の羽根の様な服に包まれていた。
「ほら。これで分かったでしょ?嘘じゃ無いって」
「…分かった。魔法少女になるよ」
「やっと信じてくれた。それじゃあ、この子の事、治してあげる」
陽毬…お願い。どうか、目を覚まして。
「嘘だったら…容赦しないから」
「はいはい、だから私は正直者だって」
そう言いながらその少女は陽毬に手を当てると…
また白い光で視界が染まった。
「…月?」
「陽毬…!!大丈夫…?」
「大丈夫って…何で私、ここで寝てるの!?」
どうやら陽毬は何も覚えてないみたい。良かった。生きてたんだ。
きっとさっきのは夢なんだ。
だって、少女は何処かへ消えてしまったから。
陽毬を家まで送った後、自宅への帰り道を一人で歩いていた。
「あっ、さっきの契約した子!!ちょっと待って!」
また背後から声がした。振り向くと、さっきの少女はジャージ姿に戻っていた。
彼女は…何者だろうか。本当に…人間だろうか。
でも…その事は言わないでおいた。
「はあ〜…まだ名前も聞いてないし。あ、私の名前はモノ!」
「私は夕凪月。よろしくね、モノちゃん」
「あと、会わせたい仲間がいるから…明日、生徒会室で待ってるよ」
生徒会室?でも、モノみたいな生徒…見た事ないけど…
「…本当に同じ高校?」
「バイバイ!また明日!!」
「ちょ、待って…」
またモノは姿を消してしまった。
私…これからどうなるんだろう。
【星の魔法少女】
夕凪月。
星晶学園1年B組。
普段は大人しいが、規定を越えた精神的苦痛を感じると強迫概念に襲われる。
【華の魔法少女】
桃瀬美桜。
星晶学園3年A組。
星晶学園生徒会委員長。非常にお淑やかな性格。慈悲深い。
【色彩の魔法少女】
モノ。
《彼女の情報は閲覧禁止》
あーあ、本当はあの子を助けない方がこの劇が面白くなったのかも。
でも、そしたら恨まれて私が呪われる。別に、呪われても良いけど。
この劇を終わらせるのが私の使命だ。
この手で、全てモノクロに染めてやる。