テラーノベル
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「…ふふ、ようやくこの忌々しい一週間ともお別れだ」
七日目
太宰は軽やかな足取りでポートマフィアの執務室の窓辺に立っていた
肌には艶が戻り瞳にはいつもの食えない光が宿っている
生理が終わった直後
心身ともに最もコンディションがよくなるキラキラ期の到来だ
「おい浮かれてんじゃねぇ」
「喉元過ぎれば熱さを忘れるってか?」
中也が呆れたように一冊の真新しい手帳を太宰の机に叩きつけた
そこにはこの一週間で中也が紅葉から学び、実践して得た教訓がびっしりと書き込まれていた
「なんだいこれは…………中也の愛の交換日記かな?」
「死ね」
「次回の嵐に備えての防備録だ。手前も目を通しとけ」
二人は机を挟んで次回の生理を少しでも楽に過ごすための事前準備リストを確認し合った
〈日常で役立つ知識:次回に備えて〉
・アプリでの周期管理
「手前、自分の周期くらい把握しとけ。予定日の一週間前からPMS(予兆)が来る」
「その時期は無理な任務を入れねぇよう首領に掛け合ってやる」
・ストックの常備(三種の神器)
1、鎮痛剤…痛くなってからでは遅い。使い慣れた薬をポーチに入れて常に持ち歩く
2、温めグッズ…貼るカイロ、腹巻き、蒸気で温めるシートをカバンに忍ばせておく
3、軽食…鉄分グミやイライラを抑えるナッツ類を机の引き出しに常備
・報告、連絡、相談「報連相」
「お腹が重い、気分が沈む…それを云うのは恥じゃねぇ」
「俺に云え。手前の代わりはいくらでも行けるが太宰治は一人しかいねぇんだよ」
・終わりかけの油断禁物
五日目、六日目で血が止まったと思っても動くとまた出る。予備のナプキンは最後まで持ち歩くこと
「……へぇ、中也にしてはなかなか論理的なリストだね」
太宰は手帳を閉じるとふっと柔らかく微笑んだ
一週間前、初めての痛みに怯えていた自分をこの男がどれほど不器用な献身で支えてくれたか
言葉にはしないがその温かさは今も腹の底に残っている
「……………ま、せいぜい役立てろ」
「じゃあな、俺は任務だ」
照れ隠しに背を向ける中也の袖を太宰が指先で軽く引いた
「中也、次の時も…ココア淹れてくれるかい?」
中也は一瞬足を止め、舌打ちを一つ
「…チッ、甘やかすのは今回だけだっつったろ」
「……………………」
「………砂糖抜きなら考えてやるよ」
そう云い残して部屋を出て行く相棒の背中を見送りながら太宰は手帳をそっと懐にしまった
未知の痛みへの恐怖はもうない
隣に最強の盾がいる限りこの月一の嵐も少しは愛せる気がしていた
(本編完)
ここから先は細々とした日常で役立つ知識を載せていきますのでもうしばらくお付き合いください
コメント
3件
あ、先客かしらw あはははん😃
コメント&フォロー失礼します! 求めていた作品過ぎて今一気読み しました…凄く良き(鼻血) 探偵社とかになった時はどうなんだろ って気になってます( '꒳' ) 続き待ってます!