「そのうち最高のいじめを考えついたんだよね。あたしがいじめられてるパパを助ければ、パパはきっとあたしを好きになる。パパがあたしに告白したら、〈あたしの彼氏はあんたをいじめてる恭平なの。恭平はセックスが上手でさ、気持ちいいから毎日三回はしてる。一生童貞のあんたには関係ない話だけどね〉と答えて泣かしてやろうという筋書き。でもどれだけいじめられてるところを助けてやっても、ありがとうと感謝されるだけで全然あたしを好きになってくれないから、そのいじめはあきらめたんだよね」 余は魔王時代から我慢したことがない。戦いたければ戦い、奪いたければ奪い、殺したければ殺した。そのときの余の心には殺意しかなかったが、パパのために耐えた。パパが殺していいよと一言言ってくれれば、死んだ方がマシだと思うまでいたぶってから殺害するつもりだ。
「そんなに嫌いな相手なのにどうして結婚することになったの?」
「恭平とヤリまくってたのはいいけど、あいつときどき避妊しないことがあったみたいで、三年生の秋頃に妊娠しちゃったんだよね。責任取ってくれるんだよねと聞いたら、もちろんって言われたから喜んだのに、あいつ中絶のお金を出してくれただけ。結婚は? って聞いたら親が決めた婚約者がいるからダメだって言われたよ。婚約者の親の会社は恭平の親の会社のお得意先で、婚約破棄なんてしたら親の会社がつぶれるんだって。結局手術して子どもは産まなかった。無責任に逃げ回るのに嫌気がさして恭平とは別れた。あたしが中絶したことがなぜかみんなに知られていて、しかもあたしが恭平につきまとってるという変な噂まで立って、友達もみんなあたしから離れていった。あたしは一人ぼっちだったし、身も心もボロボロだった」
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