TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する









自分の気持ちをちゃんと整理して、それから伝えようと思うのに、やっぱりだめだ。



指が勝手に動いてしまう。






少しして、レイから返事があった。





―――――――――――――――――



泣いてる?



―――――――――――――――――





私は瞬きして、すぐ瞼をこすった。



不思議だ。



どうやら今は、レイにも私のことがわかるらしい。





―――――――――――――――――



泣いてないよ。だけど不安だった。



―――――――――――――――――





嘘をつこうとしたのに、本当のことも伝えてしまった。



触れた窓が凍えるほど冷たくて、咄嗟に手を引き戻した時、メールが届いた。





―――――――――――――――――



必ず行くから、それまで待ってて。


旅行は俺に会いにじゃなくて、いつか一緒に行こう。



―――――――――――――――――










落ちた涙で液晶が歪んだ。




「レイ……」





もういいや。




もういい。




ただの口約束だとしても。



それでもレイが会いに行くと言ってくれて、一緒にいたいと思ってくれている。



それだけで十分だ。





―――――――――――――――――



待ってるよ。



それまで腕時計をレイだと思って、待ってる。


だけどあんまり遅いと、思い込みだって醒めちゃうよ。



それまでに会いに来てね。



―――――――――――――――――





顔を上げると、窓ガラスに映る私と目が合った。



さっきまで死にそうな顔だったけど、泣き笑いの私もすごく不格好だ。










ベッドに横になると、丸2日ほとんど眠っていなかったせいで、すぐに睡魔が襲った。



目を閉じてうとうとしているうちに、意識が沈んでいく。





“好きだよ”




沈んでいく最中に、レイの声が聞こえた気がした。





夢だ。




夢でもレイに言ってもらえると、心が温かくなる。














翌朝、起きてすぐメールが届いていることに気付いた。



慌てて飛び起きた私は、急いで画面に触れる。





―――――――――――――――――




努力する。


あの時計が俺のかわりでいるうちに、澪のところに行くよ。



好きだよ、澪。




―――――――――――――――――









私は何度も何度も、暗記してもそのメッセージを見つめ続けた。




本当、恋心は厄介だ。




好きなら好きなだけどんどん欲が出て、その欲に苦しんで。



悩んで怒って、何度も涙を流して。



でも、それがきっと人を好きになるということなんだろう。



だってこうして苦しんでいるうちに、本当に欲しいものがわかるから。






―――――――――――――――――



私もレイが好きだよ。



大好きだよ。



―――――――――――――――――




私はゆっくり立ち上がって、窓の外に目を移した。



窓ガラスは白く曇っている。



その向こう側で、眩しいくらいの光が満ちていた。



















シェア・ビー ~好きになんてならない~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

22

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚