TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

記憶の破片

一覧ページ

「記憶の破片」のメインビジュアル

記憶の破片

3 - yellow piece 3 依頼とオムライス

♥

23

2024年11月10日

シェアするシェアする
報告する



ぺ 「 ほんと、お前のせいで怒られたじゃんか… 」


ぐ 「 いやお互い様じゃね??? 」


うるさすぎてだいぶ怒られた。


類は友を呼ぶというが、声のうるささも似ているみたいだ。


まぁ、それ以前にお互いの 欠陥 が似ているという点が仲の良さに関係するんだけど…


Eランクからじゃないと討伐依頼は受けれないので、しょうがなくゴブリンの討伐をしに行く。


ゴブリンの 討伐 と言われているが、実際のゴブリンは人の手のひら1、2個分しか体長がなく、危害は加えてこないが畑を荒らすだけなので討伐に入らないらしい。


まぁネズミ捕りみたいなものだ。


すばしっこい上にまぁまぁ知能があるので捕まえるのが大変なのだ。


だから報酬が割と高い。


ぐ 「 でもまさかこんな形で再会するとはな… 」


ぺ 「 お前はどうせ実験しまくって怒られたから出てきた、とかろだ?w 」


ぐ 「 おん、当たり。 」


ぺ 「 当たりなのかよww 」


ぐ 「 まぁ、気が向いたらパーティー招待してでも会おっかなと思ってたし、余計な手間はぶけたわ 」


ぺ 「 金持ち貴族のやることって感じだわ… 」


ぐ 「 お前も一応貴族だろ 」


ぺ 「 落ちこぼれだけどねw 」


ぐちつぼは王族の親戚に当たる家の次男なのだが、化学を熱愛していてしょっちゅう実験していたりする。


アイツは実験の為ならどんな犠牲も厭わない。


例えそれが自分だとしても。


俺らの共通の欠陥。それは



命の重みが分からない



ということだ。


簡単な話、生き物を可愛い、と思っても殺すことに抵抗がない。


目的以外眼中に無い。


それが俺達の欠陥、異常らしい。


こっちからしたら普通だし別になんとも思わないけど。


そんなこんなでぐちつぼの親は息子がこんなマッドサイエンティストだなんてバレたら家の体面がやばい事になるので、なるべく表に出さないようにしていた。


禁止されながらもちょくちょく実験してたしな、アイツ。


今はどうかは知らないけど。


恐らくぐちつぼの親の思惑としては、息子は貴族ながらもわざわざ冒険者となり平民の為に戦った、という様に美化したかったのだろう。


そうでなきゃ冒険者なんてやらないだろう。


ぺ 「 てか、俺昼飯代すらなくって再会して早々悪いけどお金貸してくんね…? 」


ぐ 「 いいけど…俺もそんな持ってないぞ?俺、実質勘当されたみたいなもんだし。 」


なんで、と聞くのは野暮だろう。


てか聞かなくても何となくわかるし。


ぐ 「 んー、とりあえず金貨1枚だけならあげる。 」


ぺ 「 だけって言える金額じゃないし、相変わらず金銭感覚狂ってんな… 」


1ヶ月間3食外食しながら過ごしても大丈夫な程の金額だ。


いつになったら返せることやら……


他愛ない会話を続けながら、街の南側の依頼場所の畑へと向かう。


住所をしっかり確認しながら進み、1件の家へと辿り着いた。


ぺ 「 すみませーん、依頼受けた者です、依頼者さん居ますかー? 」


ドアを2、3回ノックしそう言うと、間もなくおじいさんがでてきた。


「 おぉ、ありがとうございます…、最近若いのが皆居なくなってしまってね… 」


そこから長話に付き合うこと30分、ようやく依頼へと取りかかれた。


畑の近くにゴブリンの巣があるらしいので、そこのゴブリンを討伐すればいいらしい。


ゴブリンは基本人間と同じく、夜間は巣で寝ているので、昼の間に巣を特定し、夜に殲滅しようという作戦だ。


1時間もしないうちに、ゴブリンの巣と思われる不自然に木の枝や葉で隠された穴を見つけた。


ぺ 「 これであってるかな…? 」


ぐ 「 多分あってる。 」


ぺ 「 んじゃ、一旦離れるか。 」


そばに居たら警戒して寄り付いてこないからね。


付近の飲食店に立ち寄り、とりあえず昼食を食べる。


ぺ 「 オムライス1つお願いします! 」


ぐ 「 んー…俺も同じのください。 」


「 かしこまりました! 」


10分近く待つと、美味しそうなオムライスを2つ、絶妙なバランスを保ちながら先程の店員さんが運んできてくれた。


ぺ 「 おぉ〜… 」


白身と黄身が上手い具合に混ざっていて、トロトロだが崩れずに個体であるギリギリを狙ってあり、見た目だけでも美味い事に説得力を持たせている。


まず1口、とスプーンを突き刺し口元に運び、咀嚼する。


他のオムライスよりケチャップライスの味が薄い。


が、恐らくわざとなのだろう。


卵の味が濃く、しっかりと芯を持っている。


卵の味をひきたてるが、薄味になる訳でもなく、完成された味だ。


ぐちつぼとも互いに一言も発することも無く、互いに手をとめなかった。

この作品はいかがでしたか?

23

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚