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🌸と菊田がペアとなった夜勤の日のこと。
「この後も頑張れそうか.」
「はい.大丈夫です.」
手のかかる作業に追われながらの,束の間の休憩時間.自販機前に置かれているベンチに座り,2人は同じようにコーヒーをすする.
「相変わらず🌸の離陸パフォーマンスは凄いな.絵もダンスも独学でやってるのか??」
「はい.絵は小学生の時に描きはじめて.ダンスはアニメとかで流れてくるのを見よう見まねで.」
「筋が良いんだな.どっちもプロ顔負けのクオリティだよ.」
「ありがとうございます.菊田さんはアニメ,好きですか??」
「夢中になるほどでもなかったけど.有名どころをかじっただけで,今どきのはさっぱりわからん.」
「そうなんですね.菊田さん世代だとやっぱりガンダムですか.」
「そんなとこかな.🌸はガンダム好きか??」
「はい.あれはギミックがいいですね.」
「やっぱりキャラよりメカが良いか??」
「いやー.シリーズによってはキャラも捨てがたいです.」
相変わらず楽しそうに話すなぁと,菊田はただただ頷いて聞いていると,あっという間に時間が過ぎて.
「すみません,熱弁しすぎました.」
「いいよ,大丈夫.疲れもだいぶ取れたし,もうひと息頑張ろうか.」
「はい.」
と仕事に精を出し,終業時間をむかえた.
「お疲れ様でした.」
「お疲れさん…??いつもより大荷物だな.」
「はい.あの空港の中にある温泉に入りに今からひとっ飛びです.」
「パワフルだなぁ.」
「まだチェックインするには早いので,今からここの空港内のカフェでモーニングしようと思ってるんですけど.良かったらご一緒しませんか??」
「良いよ.」
と答えたものの,コンプラとかハラスメントとか色々大丈夫か!?と心配になる菊田.見る限り🌸はそんなこと微塵も思ってなさそうだった.
「初めてこのカフェ入ったけど,仕事終わりに使うのも悪くないな.」
「初めてだったんですね.通いつめてるかと思ってました.」
「空港利用客だけが使うもんだと思ってたからな.」
「それもそうですね.」
そうしてコーヒーが無くなる頃.
「そろそろ行きますね….」
「気をつけてな.俺が出しとくからそのまま行って.」
「いえいえ,払わせてくだ…!?」
菊田はさっと伝票を取り微笑んでみせた.
「お言葉に甘えて,ごちそうさまでした.お土産弾むので,楽しみにしてくださいね.」
「うん.」
「行ってきます.」
🌸は会釈してカフェを出た.
後日.
「おはようさん.」
「おはようございます.さっそく菊田さんにはこれを.」
尾形と宇佐美と談笑していた🌸は,自身のロッカーから紙袋を取って菊田に渡す.
「こんなに貰って悪いよ.」
中を見ていいか許可を取って袋から取り出したのは,きれいにラッピングされたドリップコーヒー.
「この前のお礼です.あと空港限定のお菓子もあるんで,よかったらどうぞ.」
とさらに🌸はお菓子の箱を取り出し,中身を3人に分けていく.
「僕も今度🌸みたいに旅でもするか.彼女連れて.」
「良いですね.じゃあ彼女さんにもこれどうぞ.」
「サンキュー.」
「尾形さんは…??」
「…いねぇけど,同居してる弟に.」
「どうぞ.」
「わりぃな.」
「菊田さんは??」
「俺も,弟が….」
「はい.弟さんの分です.」
「ありがとな.」
「ぶっちゃけさ,🌸彼氏いるの??」
「コラ宇佐美,軽々しくそんな事…」
「いません.彼氏いない歴=年齢ですから.」
怒る様子もなく🌸は笑顔で答えた.
「🌸,器量良しだからモテるだろうに…!?」
自分に視線が集まるのに気付く菊田.心の声がダダ漏れだった.
「百之助,いつもみたいに床下点検頼むわ.」
「お前のおかげで閉所恐怖症になりそうだ.」
しめた顔した宇佐美は尾形を引き連れ早々と仕事にかかる.
「ごめんな🌸.気を悪くさせるようなこと言って.」
「いえ.大丈夫ですよ,こんなヲタク誰も見向きしませんから.」
「今後は気をつける.俺らは…アイツを駐機場に持っていこうか.」
「はい.」
残された2人はトーイングカーとコックピットに分かれて仕事にかかる.
🌸は気づいてないだろうが,🌸に対する周りの評判は良く.特に🌸と同じ趣味を持つ人からはすこぶる人気なのだ.
「(誰も見向きしないか….)」
そんなことないと言えず.菊田は離陸パフォーマンスを一緒にしたいと誘いを受けて,その人のもとへ行く🌸を見つめる.
「(10年若かったら,ああやって楽しく仕事してたのかな.)」
🌸1人に任せられる仕事が増え,自分から離れていく🌸に淋しさを覚える菊田だった.