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【読者・ゆめかのコメントによる選択】→ 村長の娘と逃げる。
平和な村に、ある日突然、王からイケニエを差し出せ、との命令が下った。村長は、自分の娘を差し出すことにし、代りに護衛の女僧侶を雇った。ダンジョン内の探索で、女僧侶は罠の被害を最小限にするために衣服を捨てて下着姿になったが、ダンジョンの主が「魔霊」という存在であることと、その魔霊に対抗する「聖なる剣」という儀式用の剣を手に入れた。
そしていよいよ魔霊と対峙した。だが、魔霊自身はイケニエを求めているわけではなく、国の繁栄のために存続させられているのだという。話を聞いた女僧侶と村長の娘には、もう魔霊を倒したいという気持ちはなくなっていた。
女僧侶が魔霊に訊ねた。
「あなたは、イケニエがないと、どれくらいで消滅するのですか?」
「さあな。私自身は消滅したことがないので、なんともいえない。まあ、今日明日に消えるものではないだろう。徐々に薄れていって、やがて消え去るのだろう」
と、いうことは、ここから村長の娘を連れだしたとしても、すぐに異変が起きてばれる、ということはないのだろう。
とはいえ、イケニエに差し出したはずの娘が、元の村に帰ってこれまで通りの生活を続ける訳にはいかないだろう。さすがにそれでは逃げ出したのがばれてしまい、村に処罰が下るかもしれない。
女僧侶は村長の娘に聞いた。
「あなたは、もう二度と、故郷に帰れなくなってもかまいませんか?」
「私は、一度はイケニエになると覚悟した身です。村に帰れなくなることは、もとより覚悟の上です」
それを聞いて女僧侶は決断した。
「さよなら魔霊――あるいは精霊とお呼びした方がよいかしら。あなたがどうなるか、それは神のみ心に任せることにします。少なくとも、あなたは討伐されるべき邪悪な存在とは思えませんでしたから」
「私は、どちらでもかまわない。お前達は、元いたところに帰るのか?」
「いいえ、私たちは旅に出ることにします。私は元々、今の寺院にお仕えする前は冒険者でした。また旅に出るだけのことです」
「そうか。さらばだ」
魔霊――あるいは精霊は、人間の生き死にには興味をあまり示さず、再び気配がうすくなっていった。おそらく、これまでのイケニエというのも、魔霊自らが命を奪ったわけではなく、近くにいることでゆっくりと生命エネルギーを吸い取られてしまっていたのだろう。
女僧侶と村長の娘はダンジョンを出口に向かって歩いた。順路を通ればたいした危険もない。そして出口にたどり着き、何時間かぶりに外の光を浴びた。目が慣れるまでしばらくかかった。
目が慣れてくると、村長の娘がおずおずとたずねた。
「女僧侶さんは冒険者だったのですね。……私も、冒険者になれるでしょうか?」
「そうね。あなたは若く、まだまだ時間はある。きっと何にだってなれるわ」
村長の娘は少しうれしそうだった。
「そんな新人冒険者さんに最初の依頼よ。……私の着れるものを探してちょうだい。ダンジョンのなかならともかく、外ではこのかっこうはね……」
そういえば女僧侶は罠にかかって衣服を失い、下着姿だった。服が売っているどこかの町を目指すか、あるいは大型の獣を狩ってその毛皮をなめすか。いずれにせよ、ダンジョンの外、村長の娘のこれからには、無限の選択肢が広がっていた。(終り)
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コメント
1件
読了しました〜!!😭✨ 最後の「無限の選択肢が広がっていた」って一文に全てが詰まってる…! 女僧侶の“冒険者だった”という過去が効いてて、二人の旅立ちがすごく自然で温かい終わり方でした。自分で選んだ未来を歩む決意、めっちゃエモいです!! 完結お疲れ様でした、素敵な物語をありがとうございます🌸💕