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目が覚めると僕は動きやすい服に着替え、
朝食を済ませて僕は騎士団が使っている訓練場へ歩いていく。
大きな扉を開けると訓練は既(すで)に始まっていた。
どうやら走り込み前のストレッチをしているようだ。
周りを見渡していると、何人かの騎士と目が合う。
「え、なんで貴族のお坊ちゃんがここに……?」
「えっまじで?」
「本当だ、なんで……?」
「おっ!リースくんじゃないか!」
「ええっリースくん!?久しぶりだね!」
僕を見て歓迎する者や困惑(こんわく)する者が出てくる。
困惑している者は前回任務か何かで居なかった者だろう。
「どうしたんだいリースくん久々だね」
「ヒールドさん、お久しぶりです。少し気分転換に騎士の皆さんと訓練でもしようかと」
そういうとヒールドさんは明るく笑ってくれた。
ヒールドさんはアビュラル公爵家の専属騎士団所属の男性だ。
団内では副隊長を任されており、凄く頼りがいのある温厚な人だ。
「そうかい!そうかい!いいぞ!」
「有難う御座います!」
「それじゃあこの後走り込みをするから身体をほぐして少し待っててくれ」
「はい!」
「「えっ!?」」
僕もヒールドさんがそんな会話をすると周りにいた数人の騎士達が慌てて「大丈夫ですか!?」だとか詰め寄ってたりしている。
心配して貰えるのは有難いが、その必要は無い。
僕の事をよく知る騎士が「大丈夫だ。リースくんは俺らが10人がかりで戦いを挑んでもあっさり散らされて勝てないから」と言って僕を知らない騎士達が唖然(あぜん)としている。
中には「はっ!?あんなにちっちぇのに!?」と言ってるやつも居た。
おいちっちぇって言うな。はっ倒すぞ。
すると僕の殺気が伝わったのか目が合うとそいつは「ヒッ」と声を漏(も)らして先輩の後ろに隠れた。
先輩は苦笑いをしている。
すると何処からか「コブラみたいだな」と誰かが呟いた。
おい誰だ今コブラとか言ったやつ。
噛み付いてやろうか。
そんなことを考えながら身体をほぐしていると、ヒールドさんの声がかかり皆、走り出すスタートラインに立ち始めた。
ヒールドさんを先頭に、その次が体力の無い者(騎士団内での)、体力が多い者が後ろに並び、笛の合図で走り込みを始める。
広大(こうだい)な敷地を25週して5km走るらしい。20分で。
…目を疑ったよ初めて聞いた時は。
5kmだよ?5km。
普通40~50分くらいはかかるんだが。
20分って異常すぎでは???
流石に騎士達も地獄だと言っているが、ちゃんとやっているようだ。
でも、この走り込みを時間内に達成出来るのは隊長と副隊長だけらしい。
つまり時間さえあれば、うちの騎士達は走り切れるらしい。なんとも恐ろしい。
隊長、副隊長達なんて速ければ15分程で終わるそう。
そうなれば1分に約333mを走っているということになるな。凄いな。
そんなことを考えていると次々と脱落者が出てくる。
しまった何周走ったか数えていなかった()
ま、いいやヒールドさんが終わったら辞めるか。今の所、着いて行けてるし。
そのあと走っていると、誰かに話しかけられる。
「リースく、ん…す、ごいな君はッ…僕だって…きついのに……ッ…はぁっ…」
話しかけて来たのはディービッグさんだった。
きついなら話しかけなくて良いのに()
彼は確か伯爵家の三男で、騎士道に憧れ此処に入った、ヒールドさんの幼馴染だ。
「まあ、慣れですよ。ディービッグさんだってここまで着いてこれてるし凄いじゃないですか、しかも話ているし」
「き、君の方ッが…凄い、よ…はぁっ……息一つ、乱れてな…い……ッ」
「まあ、僕の修行では走って近くの山に行きますし」
「ははは……近くって……ここからだと、10km…遠いじゃない、かッ…………もう、ギブ…普通のペースで、するよ……」
僕がそう言うとディービッグさんは苦笑いをして自分のペースで走り出したためあっという間に後ろに下がって行ってしまった。
前を向くとヒールドさんも苦笑いで「この短期間で8つの子供に追いつかれるのは結構くるね……他の皆も心にきてるかもね…」
なんか…すみません。
そう心の中で思っていると、顔に出ていたのか、「リースくんが悪い訳じゃないから大丈夫だよ!」と言ってくれた。
「それに、丁度良い機会だ。今回のことで彼らに火がついてもっと訓練に取り組んでくれれば実力は確実に付き、精神も強くなる。リースくんには感謝しているよ」
そう言ってヒールドさんは僕に笑いかけてくれた。
……人徳が高すぎませんか???
もっと僕を責めても良いんですよ?
受け止めますので。
ちなみに、この走り込みでのリタイア=自分のペースで走る、という意味らしい。
なので後ろを振り返ると脱落者した騎士達が各々のペースで走り込みをしている。
ヒールドさんと一緒にゴールし、他の人達が着々とゴールして全員が走り終わり10分間の休憩に入る。
この後は模擬試合をするようだ。