はぁ…
世の中って本当に醜い。
空気も悪いし、治安も悪い。
魔法が使えるからってイキリ散らかしてる奴らばっかり。
ため息しか出ない…
僕は、カウンターの上に置いてあるマグカップにホットココアを注いだ。
あぁ、こんな感じであったかくてあまい世界だったら、どんなに良かったか。
これは、ナイトレイブンカレッジの生徒を集め、各自の心が試される、人狼ゲームだ。
「ここって…?」
僕、オンボロ寮の監督生、ユウは、学園長から緊急で呼び出された。
手紙で呼び出されたのだが、手紙の内容はこのようなものだ。
私です。学園長の、ディア・クロウリーです。
今回は、緊急事態のため、至急、学園長室にお越しいただきたいのです。
内容はまた詳しくお話しします。
それでは、また。
わざわざ手紙ではなく魔法で伝えればいいのにと思ったのだが、学園長のことだから、きっと、焦って魔法を唱えることができなかったのだろう。
僕は学園長室の扉を開いた。
すると、いきなり学園長が飛び出してきた。
「が、学園長…耳元で叫ばれたら困ります…」
「あっ、ごめんなさいっ、とても大変なことになっておりまして…」
学園長が「早くこちらへ」という素振りをして僕を学園長室の奥へと手招いた。
わけがわからないままついて行くと、古びたパネルを手渡された。
「これは…何ですか?」
僕が渡されたパネルについて質問した。
「それは、お手製のパネルです。私の魔法がかかっていて、この学園を監視することができる代物です。」
「この学園を…監視…」
このパネルを通して、学園長に監視されているのだと思うと、鳥肌が立って仕方がない。
「このパネルには、録画機能も備わっているんですよ。今回呼んだのは、その録画のことに関してでして…。」
「録画に関して? もしかして、一番最初に皆さんが消えてしまいましたっ!!!! って言ってたのと関係が…?」
「はい。」
学園長は黙々とパネルを操作し、一本のビデオを映し出した。
「これは、各寮に繋がる鏡が設置されている場所…鏡舎です。ここで、事件は起こりました。」
学園長は、とても真面目な声で説明した。
「見てください。朝の寮長会議が終わって、代表の寮生と寮長、副寮長が鏡舎に入ってきたでしょう? そして、一人が鏡に触れた瞬間、狼のような遠吠えが響き渡り、あたりが真っ暗になってしまったんです。数秒後、照明魔法が発動し、再度灯りがつきましたが、生徒は誰一人いませんでした。寮に帰っている姿も、現在確認できていないんです。何故かグリムくんもいません。」
「そんな…。確かに、今日の朝、隣でグリムが寝ていなかった。本当に、消えたってこと…?」
「分かりません。なので、今から鏡舎に行って、確かめてほしいんです。」
「…分かりました。みんなが消えた原因を探ってきます。」
僕は学園長にそう告げ、学園長室を後にした。
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