この時を境に、彼女の様子に違和感を抱いた。
喘ぎ声は止み、水音だけが響く室内。
俯いた奈美の瞳から、頬を伝って滴る水滴。
それが白いキャミソールに痕跡を残していく。
時折鼻を啜る彼女に、豪は、明らかに様子がおかしいと感じた。
奈美から指を引き抜き、不安を抱えながらも彼女の顔を覗き込む。
「奈美ちゃん」
彼女の頬に添えて豪に向けさせると、奈美は静かに泣いていた。
その表情に鉛のように重い空気が、彼に纏わりつく。
豪は、呼びかけても無視して、自慰行為を続けている彼女を止めた。
「もう……いいよ。本当は…………嫌だったんだろ?」
と、落ち着いた声音で宥めるように。
「奈美ちゃん……本当に…………もういいから」
と、真剣な声で。
奈美は涙を零しながら苦痛に顔を歪ませ、それでも慰める事に没頭している様子に堪りかねた豪は、花芯を弄り続ける彼女の手首を掴んだ。
「もういいって言ってるだろ……!」
彼女を泣かせてしまった事に苛立った彼は、感情を抑え込みながら低い声で言うと、小さな身体を強く抱きしめた。
奈美の頭を豪の胸に引き寄せ、艶髪に唇を落とす。
「今まで、奈美ちゃんの嫌な事はしないって言ったのに……無理強いで自慰行為をさせてしまった結果…………君を傷つけた。すまなかった……」
言葉を選びながら彼女に謝ると、奈美は、さめざめと泣き、その姿に豪は腕に力を込める。
胸の奥が、チクリと痛んだ。
だが、奈美の方がもっともっと心が痛くて、焼け爛れているだろう。
豪は甘い香りを放つ彼女の髪に、そっとキスをした。
豪は奈美のショーツを穿かせた後、彼女の頭を撫でながら、抱きしめ続けた。
時々、肩までの艶髪にキスを落とし、繊麗な身体を腕の中に包み込む。
奈美は俯き加減で、豪の中で大人しくしていた。
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