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ドッキリでしたー！

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ドッキリでしたー！

第3話 - 💛

35

2025年10月17日

#SnowMan

#シンメ

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スノ箱推し

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「なあなあ、ひーくんが本気で焦ってるとこって、あんま見たことなくない？」

リハーサル室の隅っこ。自動販売機の前でジュースを飲みながら、佐久間がニシシと笑って言った。その言葉に、周りにいたメンバーたちが「確かに！」「見てみたい！」と食いつく。

「あの冷静な顔を、俺らで崩してみたくない？」

その一言が、運命のゴングだった。

ターゲットは、我らがリーダー、岩本照。ドッキリの内容は、彼が心血を注いで作り上げた新曲の振り付けデータが、跡形もなく消えてしまうという、悪魔のようなシナリオだ。

仕掛け人は、もちろん岩本を除く8人。明日の新曲初披露の収録を前に、リハーサルの直前に決行される。

「じゃあ、みんな、最終確認な。ラウールが泣き落とすのが一番のポイントだから。頼んだぞ。」

深澤が監督のように指示を出す。ラウールは「任せて！アカデミー賞、獲りにいくよ！」と自信満々の表情だ。

そこに、「お待たせー」とターゲットの岩本がやってきた。8人はサッと解散し、何事もなかったかのようにストレッチを始める。完璧な連携プレーだ。

「よし、じゃあ頭から合わせるか。悪いけど、パソコン繋いでくれる？」

岩本が阿部に声をかける。計画通り、阿部がパソコンを操作し、プロジェクターに映像を映し出そうとする。…が。

「…あれ？」

阿部が、困ったような声を上げる。

「どうした？」

「いや…ひーくんが作ってくれた、振り付けの動画ファイルが…ない…」

その言葉に、リハーサル室の空気がピリッと凍りついた。

「は？ないってどういうことだよ。」

渡辺が、訝しげにパソコンを覗き込む。

その時だった。今まで黙っていたラウールが、震える声で口を開いた。

「…ごめんなさい。…俺、さっきこのパソコンで動画見てて…なんか、変なとこ押しちゃった、かも…」

どんどん声が小さくなり、ついには大きな瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「え…」

岩本の顔が、初めて少し強張った。

「ラウール、泣くな。大丈夫だ、どっかにはあるだろ。」

冷静にそう言いながらも、岩本は急いでパソコンを操作し始める。しかし、ファイルはどこにも見当たらない。

「ごめん、ひーくん…。バックアップも、ないみたい…。ゴミ箱からも完全に削除されちゃってる…。」

阿部が、絶望的な事実を告げる。

「うわー！マジかよ！俺、まだ細かいとこ覚えてないのに！」と佐久間が頭を抱え、

「どないしよ…明日、収録やで…？」と向井が青ざめた顔で呟く。

「…さて、どうしたものか。Party Timeとはいかないようだね。」と宮舘が冷静を装いながらも、その声には焦りの色が滲む。

次々と畳み掛けられる絶望的な状況。そして、何より、自分のせいで…としゃくり上げて泣くラウールの姿。

岩本は、メンバーを、特に泣いているラウールを責めることは一切せず、ただ固く唇を結んでいる。その額には、じんわりと汗が滲んでいた。いつも余裕のあるリーダーの、誰も見たことのない表情だった。

「…照くん、どうします…？」

目黒が、静かに、だが真っ直ぐな目で岩本に問いかける。

数秒の沈黙の後、岩本が顔を上げた。その目には、焦りを超えた、ある種の覚悟が宿っていた。

「…大丈夫だ。」

彼は、泣いているラウールの頭をポンと撫でた。

「俺が、今からもう一回全部踊る。それを撮り直せばいい。時間はねえけど、やるしかねえだろ。みんな、集中しろよ。」

リーダーとして、全員を鼓舞するその姿に、仕掛け人であるはずのメンバーたちも、思わず「おお…」と感嘆の声を漏らす。

そして、岩本が「じゃあ、撮るぞ！」と覚悟を決めて立ち上がった、その瞬間だった。

バッ！とリハーサル室の電気が消え、プロジェクターに、デカデカと文字が映し出された。

『ドッキリ大成功！！！！！！』

映し出された文字と、別室で爆笑している自分たちの映像を見て、岩本は完全に固まった。

「…は？」

何が起こったのか理解できない、という顔で、メンバーたちとスクリーンを交互に見る。

やがて、8人がこらえきれずに一斉に吹き出した。

「「「やったー！！！！」」」

「ひーくんの焦った顔、いただきましたー！」

「ラウールの演技、完璧だったな！」

「『やるしかねえだろ』、名言出ました！」

わいわいと騒ぐメンバーたちに囲まれて、岩本は、その場にへなへなと座り込んだ。

「お前らな…！マジで信じたじゃねえか…！」

顔を覆うその手は、小刻みに震えている。そして、その指の間から見えたのは、いつものキリッとした顔じゃない、本気で安堵した、最高の笑顔だった。

「いやー、でも、さすがリーダーだわ。」

「俺ら、ちょっと感動しちゃったもん。」

結局、どんな状況でも、まず仲間を守ろうとするリーダーの器のデカさを、改めて全員が思い知る結果となった。

「もうやんねえからな！絶対！」

そう言いながらも、やっぱり嬉しそうに笑うリーダーの周りには、彼のことが大好きでたまらない、8人の最高の仲間たちが集まってくるのでした。