テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
眩い程の白に光る電気がつけられ、部屋が一瞬にして光に満ちる。
そんな中、GMの紅色に光る瞳の奥で、誰かが可笑しげに、楽しげに笑った。
だがそんなものは一瞬で、愛華以外は誰も目覚めていない。故に誰もそんな事は知らない。
キンコンカンコン
またもや異物感の拭えない音が鳴る。
そんなチャイム音に、生存者は目を覚まし、辺りの異変を探す。誰もが誰かの死を覚悟しているからだ。
「おい!みんな生きてるか!?」
「あぁ」
「ぉぅ」
「はい。……大丈夫、です」
アメリカの掛け声に三者三様の返事をする中、一人、声を荒げて首を確認するように触れていた。
「い、生きてる…、生きてる!!」
ガタッと音を立てて立ち上がり、フランスは叫んだ。
その声には、絶望と恐怖、そして安堵が混じり合っていた。
「フランス、落ち着いて」
「落ち着いてられるか!」
カナダの制止を振り切り、フランスは目から大粒の涙を溢しながら声を上げる。
「静粛に。ご確認頂いた通り、今回犠牲者はおりませんでした。」
愛華のその一言に、会議室がワッと歓喜の声に包まれた。
「あぁ、本当に良かった……」
胸をなで下ろし、安堵のため息と共に声を漏らす日本。
「犠牲者は、0人……」
少し頬を緩めて声を漏らすロシア。
「誰一人欠けてないアル……。狩人に感謝するアル」
そっと手を合わせ言葉を紡ぐ中華と、それを眺める湾華。
「パンが届きました。」
愛華は、変わらず機械的に、台本を読むようにして、そのセリフを口にする。
何度見たか忘れた香ばしい香りのするパンの入ったバケットを愛華は、長机の中央に置いた。
初めて安堵と歓喜に包まれた会議室にハジマリの音が響いた。
キンコンカンコン
「皆様、昼の議論の時間となりました。制限時間は、次のチャイムが鳴るまでです。では、ごゆるりと。」
一言一句何一つ変わらぬ言葉を述べて、愛華は恭しく辞儀をする。
「じゃあ最初に……、良い?」
愛華が話しを終えるやいなや、炎端が言葉を口にした。
「昨日はドイツを占った。結果は、“白”だ」
変わらない笑顔と淡々とした口調がドイツは人狼では無かったと言う事実だけをその場の全員に告げる。
「やっぱり!やっぱり、ドイツさんは白だったんですよっ」
少し身を乗り出し、苦しそうに、哀しそうに声を震わせながら必死に言葉を紡ぐ。
日本は、最後の最後まで、同僚で、友人のドイツを信じていたのだ。
やがて日本は机に崩れるように嗚咽を漏らしながら突っ伏した。
「Japan……」
「日本……」
フランスとアメリカが席を立ち、日本の背を撫でる。
普段なら、泣く言葉周り(人)に迷惑をかけてしまうから。日本男児ならば…。そんな言葉を口にして声など荒げず、一人静かに泣く事の多い日本でも、信じた友人の死は堪える事の出来るものでは無かった。
それでもなお、必死に嗚咽を抑え込み、涙を拭う日本に、カナダがハンカチを差し出した。
「お見苦しい所をお見せして、申し訳ありません……」
ある程度涙と嗚咽が止んだ頃、日本は顔を赤くしていた。
今の日本の心情を代弁するのであれば、『日本男児としてあるまじき行為……。穴があったら入りたい』と言ったところだ。
「だが、人狼ではないと言うだけで、狂人の可能性はあるぞ」
そんな中、ロシアがそんな言葉を放った。
「おい、今そんな事はっ!!
「ロシアさんの仰るとおりです」
アメリカがいつもの勢いでロシアに掴みかからんとした時、日本がロシアの発言を肯定した。
「白だと言われただけで、ドイツさんが占い師だと証明された訳ではありません」
伏し目がちに、されどしっかりと芯の通った声で話し出す。
「ですが、私はドイツさんを信じたいんですよ!あの生真面目で、頑固で、曲がった事が嫌いなドイツさんの事を……ッ」
絞り出すような叫びと、日本の視界を滲ませる水の膜を前に、彼らは言葉を失った。
「俺だって、幼馴染(ドイツ)を信じたい。だが、証拠が無いんだよ……」
普段無口で発言をする時は大抵アメリカと喧嘩をしている。
だというのに、そのロシアが眉間に普段の倍以上のシワを寄せ、そう語っているのだ。
「ごめんなさい……、私が感情的になったばかりに、貴重な議論の時間を潰してしまいました……」
下唇を微かに噛み締め、涙を確かに拭って、前を向きそう言った。
「そう自分を責めないで」
フランスがそう言いながら日本の背をそっと撫でた。
「じゃあ、そろそろ議論に戻るか。湾華、真実を話してくれても、いいんじゃない?」
琥珀色をしたカナダの瞳が湾華を捉えた。
そんなカナダを他所に、湾華は俯き、肩を揺らしていた。
誰もが肩を揺らし、静かに空気を口から漏らす湾華を注視していた。
「呵呵。哈哈!哈哈哈!等等,我肚子疼!」
唐突に湾華の口から飛び出てきた中国語。だがそれが、お腹を抱えて嗤っていると言うのは一目瞭然であった。
その嗤いに湾華の正面に座っていた中華は目を見開き、困惑を体現している。
「お前、何、言ってる、アルカ…?」
少し震え上がった中華の口から無理に紡がれた言葉。
「お前ッ……!この状況で……、何を、何を嗤ってるんだ……?!」
その直後にアメリカも、困惑と激怒の混ざった声を上げたが、湾華の嗤いは収まらない。
湾華は腹を抱えて笑い転げ、ついには目尻に涙まで浮かべだした。
「いやっ、本当、ごめんごめん。でも、もう無理」
そう話す間も笑い続けたが、急に真顔に戻った。
「湾華、さん……?」
日本は動揺を隠せないと言った様子で、声を震わせた。
「あの演技は精彩的(素晴らしい)。だけどさ、僕、もう飽きたんだよね」
そう告げた湾華の表情は、あまりにも滑稽で、つまらないものを見ているようだった。
「でさぁ、お前、誰だよ。他の奴らは騙せても、僕は騙せないよ。本当、僕の事なめないでくれる?」
そう言って湾華が冷ややかな視線と共に、指を指したのは、中華だった。
「は?」
‘中華’の口からは、驚いたような、とぼけるような声が漏れた。
「マジでさ、姉貴の顔と声でここに存在しないでくれる?キモいんだけど。本当に虫唾が走る」
その言葉と表情は、‘中華’に向けられており、それはまるで汚物でも見るかのようだった。
「シスコン、恐るべしアル。〇〇もまさか、〇〇に〇〇だと思われるとは思ってもいなかったでしょう。アル」
そんな中華の言葉には所々雑音が入り混じっていたが、その声は確かに聞こえた。
そんな時、どこからかクスクスと小さな笑い声が聞こえた。
ーー続クーー